「同じ時期に転職した同僚は周囲から『メグちゃん』って呼ばれているんです。なのに私だけいつまでたっても『坂本さん』というのは、やっぱり職場に馴染めていないような気がして…。同僚と一緒にお昼を食べているし、飲み会にもよく誘われるので気にしなくてもいいのかもしれませんが…」とエリコさんは話してくれた。
呼び名以外で特に問題が無いのなら、気にする必要もないかもしれない。ただ呼び名は人間関係の距離感が現れるものだけに、エリコさんの悩みも理解できる。
エリコさんの悩みを聞いて思い出したのが学生時代の友人・土金ムツミさん(仮名/27歳・IT関連)の話だ。
ムツミさんの職場は上司部下関係なく「さん付け」が基本となっているが、飲み会などではニックネームか「ちゃん付け」になる。 以前は飲み会でも「土金(つちがね)さん」と呼ばれていたムツミさんだが、たまたまメガネをコンタクトレンズに髪型をショートカットにしたところニックネーム呼びに変わったという。
「学生時代に『ドキンちゃん』って呼ばれていたことを話したら、その日からドキンちゃんになりました。前にも飲み会でニックネームの話はしていたんですけれど「土金だからドキンなのね」くらいの反応でまったく定着しなかったんですよ(苦笑)。とりあえず上司や同僚との距離も縮まった気がして嬉しかったです」とムツミさんは話してくれた。
ところで呼び名から恋愛関係が分かってしまうことは多い。残業を終えたイクミさん(34歳・家電メーカー)が会社近くお店で食事をしていたところ、たまたまサブマネージャーのTさん(36歳)と同僚のM子さん(28歳)が、近くの席に座った。イクミさんに気づかないまま話し始めた二人…。
「ウチの職場では残業後に一緒にお茶や食事をすることは珍しくないんですけど、TさんとM子は、み〜ちゃん、たあ君って呼び始めたんです。ビックリしましたよ。いつの間にそういう関係に! って感じでした。今では職場でも公認のカップルで、オンオフでの二人の呼び名の切り替えも名物化しています(笑)」とイクミさん。身近なところで同様の体験をしている人も多いかもしれない。
男女間での呼び名は距離が縮まるごとに「さん付け」から「ちゃん付け」、或は名字呼びから名前呼びに変わっていく。さらに二人だけの呼び方になったなら、心の距離もぐっと縮まっている証拠。しかし、反対にお互いを名前で呼び合っていたカップルが別れ、「名字+さん付け」に戻ったときは痛々しい。
たかが呼び名、されど呼び名…。職場の中堅社員である独女なら呼び名の効果をうまく活用することで、後輩との距離を縮めたり職場の雰囲気を変えることもできるだろう。例えばランチタイムや飲み会の席で、今ひとつ職場の雰囲気に馴染めていない新入社員を「名前+ちゃん付け」や学生時代の呼び名で呼んでみる。呼び名が変わることで職場に馴染めたと感じる新入社員もいるはずだ。
もちろん恋愛でも呼び名をフル活用! 独女ならではの年齢とポジションをフル活用して、気になる年下男子の呼び名も変えてみよう。案外と大きな一歩になるかもしれない。
(オフィスエムツー/神田はるひ)
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