一昨日、私の双子の弟、武本真樹夫が自殺しました。弟は今年の三月末まで、ある県で公立中学校の国語教師として勤務していました。しかし、前任校で受けたパワーハラスメントが原因で弟は「精神疾患」を患い、退職した学校に移ってからも調子を取り戻すことなく、今年の3月に退職してしまいました。
 遺族である私達は詳しい事情も知らされず、真樹夫は元気に教壇に立っているものとばかり思っておりました。しかし、現実はそうではなかった…家族にも内緒で真樹夫は精神科病棟に入院し、病気と一人闘っていたことがわかりました。それも、葬儀の日にこのことを知らされるなんて…家族の無念、皆さんにはご理解いただけないでしょう。そんな真樹夫はこの四月から「教育評論家」「作家」を名告り、執筆活動をネット上で始めたようですね。今、弟の日記にそう書いてあります。弟は、病気も完治していないのに随分と無理をしていた様です。多分、兄の私が考えますに、職を失った弟は「生きがい」を求めていたのだと思うし、何らかの形で「社会に貢献」したいと思っていたのでしょう。
 そして、4月17日(火)の日記に「福原で中学生のソープ嬢が補導される」悲しい事件だ。未成年者に対して大人は社会は何をしているんだ。あまりにも醜い社会の現実に心が折れる。と書かれています。そして、自分のTwitterとBLOGが炎上していると書かれてあります。

 弟の日記によると、蒼井そらというAV女優さんと相互フォローを結びたい理由として「中国メディアに蒼井さんが利用されている」と弟は考えていたようです。マスコミのこともよく知らず、病気のせいもあり一途な弟の行動はなんとなくですが兄である私には頷けるような気がします。その他の著名人への相互フォローも、弟には弟なりの考えがあって、相互フォローを申し込んでいたようです。多分、弟にはTwitterというツールに対する認識が欠落していたものと思われます。

 その後、弟の死に繋がった原因はTwitter、BLOGへの書き込み「誹謗・中傷」が引き金になっていたようです。4月18日(水)の日記には、弟の悲痛な叫びが綴られており、遺族として心が痛みます。

 なぜ、皆さんは弟を「死」にまで追いつめたのですか?軽い「苛め」の気持ちからなのですか?
 弟の「非」は「死」をもって償わなければならないほど、大きなものだったのでしょうか?

 私達、遺族には弟の「心情」もその奥までは推し量ることはできませんし、兄の私にもそのことは計り知ることはできません。しかし、今皆さんに考えていただきたいのは「弟はその罪を死をもって償った」ということだけです。弟の死を望んでいらした皆さん。おめでとうございます。

 弟、武本真樹夫は死にました。

 もともと、この武本真樹夫というペンネームは私の学生時代「同人誌」に私が書いた登場人物の名前でした。真樹夫は何の断りもなく使用していたので、私は驚きを隠せません。
 私の小説に登場する「武本真樹夫」もまた、最後は自殺してしまったのですから…。

 さて、皆さんにお願いですが、今、ネットで「武本真樹夫」と検索すると、その居住地から本名まで明らかになってしまうようです。これ以上「死者に鞭を打つ」ようなことは、されませんように即刻ページの削除をお願いできないでしょうか?これでは真樹夫は浮かばれません。皆さんも後味が悪いと思いますし、ぜひそうされてください。

 また、私は武本真樹夫という名を真樹夫から返してもらおうと思います。今後、本日5月19日(土曜日)以降、「武本真樹夫」という名前を皆さんがご覧になったとしても、それは皆さんの想像される「武本真樹夫」ではありません。私が真樹夫の意志を引き継ぎたいと思います。

 しかし、ネット社会というものは恐ろしい。

 このように簡単に一人の人間、精神障害者をあの世に送ってしまうことができるのですから…

 今回の「武本真樹夫」に関する騒動はこれで、終わりにしていただきたいと思います。

 最後に、我々遺族は、蒼井そらさん始め、関係者の皆さんに何の怒りも憤りももっておりませんので、ご安心ください。逆にご迷惑をおかけしたのはこちらのようですので、遺族として心よりお詫び申し上げます。

 生前、武本真樹夫と懇意にしていただいた皆様。真樹夫の葬儀は無宗教の家族葬で送っております。
 供物、香典の類いは一切受け取っておりませんので、そのようになさってください。

 真樹夫の墓はとある寺院(無宗派)の納骨堂に安置する予定です。
 墓参りなど遠方になりますのでご遠慮申し上げます。

 では、失礼いたします。
 
 武本真樹夫(兄) 拝