先週末は、大学生的に学園祭ラッシュの時期であった。
僕はと言うと、土曜は朝、夏に介護体験に行った養護学校の文化祭に行ってきた。
ちょうど自分が担当させていただいたクラスの催し物の時だったので、
久々に子供達の姿を見ることが出来て、胸がいっぱいになった。
お世話になった先生方はその子供達の相手に忙しそうで、
ほとんど挨拶も出来なかったのが心残りだったけど、
子供達の声も、クラス雰囲気も、9月の時と変わっていなくて、
それを見に行けただけでも多くの元気をもらえたような気がする。
そのあと、午後はたまプラーザに行われている自分の大学の学園祭に行き、
今年の芥川賞受賞者の諏訪哲治さんの講演を聞きに行った。
自分の大学の卒業生でありながら、作品も読んでなければ
当初は興味もあまり無かったのだけど(今から思えば本当に勿体なかったと思う)、
今日のためにあわてて作品を読んで、講演を聴きに行ったら一気に好きになった。
「アサッテの人」という作品は一見する限り、不可解であり、
回りくどい記述が多くて、純粋な物語を求める人にとっては
あまり面白くない小説だと思うのだけど(少なくとも僕自身はそう思っていた)、
諏訪さんの講演は、そのような疑問を全て払拭してくれるような素晴らしいものだった。
諏訪さんは、この作品のために会社を辞めて2年間、
仕事もせずにひたすら執筆に没頭していたのだという。
その目的とは、賞を受賞するためでも、
小説家として食べていくためでもなく、
ただ、大学時代に従事していた先生(故・種村季弘氏)に、
納得して書いた作品を読んでもらいたい一心で・・・という、
本当に、信じられないような動機なのだけど、
それを本当にやってのけた末に、数年経って「群像」という雑誌に
投稿したのが今日に至った結果であったのだという。
(ちなみに「群像」でも群像新人文学賞を受賞しており、
芥川賞とのW受賞は村上龍以来30年振りの快挙とのこと)
この2年間の孤独と苦悩は、想像を絶するものであると思われる。
(実際、ものすごく辛かったと語っておられた)
そのような末に書かれた物語が、面白いとか面白くないとかと
語られること自体が陳腐であるように思うのだが、
それでもこうしてこの作品が日の目を見ることになったのは、
何か、理屈では計れない世の中の一面を見たような気がする。
ちなみにこの講演の後、素晴らしい友人が僕に声を掛けてくれて、
翌日、諏訪さんが懇意にしていた先生との食事会があるとのことで、
なんとその会に誘ってくださるではないですか。驚愕!!!!!
ということで…、今日書いた文はその時に直接諏訪さんから
お聞きしたお話もあり、どこまで書いて載せて良いのか分からないのだけど、
本当に素晴らしい話だったので書いてしまいました。
実際の諏訪さんは、気さくで面白い方で、しかし自分の作品に対しては
どこまでも真摯で、本当に素敵な方です。
最近全然日記を書いていないけど、大学で起きている様々なこと、
そこで出会う人々は、今自分にものすごく刺激を与えてくれていて、
それが辛いと思うこともあるけど、本当に毎日が楽しいと感じている。
いつか書ける日が来たら、それもぜひ書きたいと思っています。
諏訪さん(左)と美少女Wさんと、毎度ワンパターンな表情のわたくし。
食事会に参加したメンバー。様々な分野で、すごい学生ばっかりです。
こんな素晴らしい会に誘っていただいて、本当にありがとうございました。
(オール無許可で写真を載せていますので、問題がある場合はご連絡ください)