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ここから本文エリア ああ幻 さいたまタワー2012年05月19日
◇墨田区に惜敗／関係者なお悔しさ 世間は２２日に開業する東京スカイツリーの話題で持ちきり。それを複雑な表情で見つめる人たちがいる。高さ世界一の称号をぜひ埼玉にと、誘致活動に取り組んだ人々だ。「さいたまタワー」の夢が完全に幻になった今、「敗北」を振り返ってもらった。 ◇予定地には病院建設へ 「ツリーは県内からよく見えるんです。こんな近くに建てられてしまってね。逃した大魚の大きさを今さらながら実感しています」 悔しさをにじませるのは、県商工会連合会長の大久保義海さん（７６）だ。経済団体代表の一人として、誘致活動に関わった。 東京タワーに代わるデジタル放送用新タワーの誘致合戦は激烈をきわめた。複数の候補地の中から、東京都墨田区とさいたま市の新都心が最終選考に残った。 「墨田区が本命視されましたが、液状化の危険がある墨田に対し、強固な大宮台地の方が断然優位だと信じていた」 が、朗報は届かなかった。東京より電波障害が多発するという理由だった。 「それは表向きの理由で総合力で負けたのだと思います。埼玉にはシンボルがない。イメージアップのためにタワーはほしかった」 経済効果が６７０億円という巨大タワー誘致に県とさいたま市が本格的に乗り出したのは０４年から。墨田区に決まる０６年までに約１億円のカネを投入し、県民世論の喚起を促した。 「落選はやはりショックでした。汗だくで活動していましたから」と振り返るのは、県都市整備部副部長の茂木皇治さん（５５）だ。 担当職員として真夏に着ぐるみ姿で街頭ＰＲをした。人口の４分の１に当たる１７６万人の署名を集め、イベントを開催するなどしたが、県民の反応はいま一つだった。 一方、さいたま市都市局長の�ヅ隋覆呂い靴沺頬�志さん（５８）は「貴重な経験だった」と当時を思い返す。「行政マンは現実と向き合うのが仕事。でも、誘致に取り組んだ２年間は夢を追えましたから」 タワー誘致に失敗後、建設予定地では、代替案として民間による商業ビル建設が計画されたがリーマン・ショックで頓挫。昨年になって、県主導でさいたま市内の二つの病院を移転させることが決まった。 大久保さんは言う。 「にぎわいの拠点にと思い描いていたイメージとは異なりますが、後世の検証に耐えられる施設にしてほしい」
マイタウン埼玉
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