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20120518

[]虚構新聞のアレ今日知った

 情弱もいいとこだ。

 ちょっと前からTLでやたら虚構新聞がどうこうっていうポストは多かったんだけど「ああまたなんかやったのかな」くらいの認識で、それっきり特に興味を持たずにいたんだけど、今日シロクマさんがリンク貼ってて、それ読んでみたらけっこうおもしろそうだったんで、しばらく読みふけっていた。だいたいこの手の「言及されまくる」ものって、なんらかの点で「本質的な議論」とやらに絡んでくるものが多くて、それについて言及することで自分のスタンスをあきらかにできるからつい書いてしまうってのがある。つまりなんだ、おもしろいんだよ。

 というわけで、いまさらエントリ書くことへのエクスキューズも終わったところで、本文。

 関連記事で読んだ範囲は、上記のエントリと、あとはこちらの本文とリンク先までです。


 虚構新聞そのものに関する俺のスタンスとしては、どこかから流れてきた情報を「え、まじで?」とリンク踏んで、リンク先が虚構新聞だった場合に「くそやられたwwww」というところまでで娯楽としてワンセットです。もうここ数年ずっとそうなんですけど、情報源ってついったーのTLだけなんですよ。たまにはてなのトッペプベージからホッテントリ覗くようなことも以前はしてたんですが、さすがにここんとこのライフハックとかグラビアとかそういうのばっかの状態だと見る気もしないんで、そっちは見なくなった。

 で、俺がフォローしてる範囲の人なんて、基本的にはネット慣れした人ばっかなんで、そういう状況だと、URLなんかよりも先に、いきなり「今回の件に関する意見」のほうが流れてくる。ソーシャルブックマークとツイッターを連携させてる人もいるんで、そういう人ならURLも一緒に流れてくるとかそんくらいです。こうなるともう騙されようもない。どっちにしろ流れてくる情報に重要度とかそういう指標もなんにもないんでね。「今度の三女はリビングでおもらしするらしい」っていう情報と、今回の虚構新聞関連の件と、単に同じようにTLに並んでるわけなんで、どっちが重要かっていったらそりゃおもらしに決まってますよね。

 まあそんなわけで、ネタはどうあれ、単なる消費されるべきコンテンツである、という点においては同じです。なんで、この文章を書いてる俺の立場は「たいていのことは読んで1日経てば忘れてしまう」「おもしろいかどうかだけで物事を判断し、そこにモラルとかは関係させない」単なるコンテンツ消費者である、ということになります。

 今回の件がこれだけ言及される理由って「ネットリテラシー」ってものが非常にわかりやすいかたちで表面化してるからですよね。ツイッターでの拡散で怒っちゃった人とかいるとか、橋下なんとかさん自身もツイッター使ってるとか、お膳立てがいろいろ整いすぎてます。んで、俺はリテラシーとかそういう横文字出てくるとちょっと思考停止しちゃう癖があるんですけど、これ要するに、どこに「これはネタですよ」って書いてあるかってことでいいんですよね? システム的にどうやって情報を流そうとしても「これはネタですよー」ってくっついてくるならそれはネタであるとだれにもわかるだろうし、サイト本体を見ればわかるパターン、サイト本体を見てもなおわからず、著者プロフィールに潜り込んでさらに「詳しく見る」をクリックしないとわかんないようなパターン、まあいろいろ考えられますけど、要はわかりづらければわかりづらいほど、騙される人は増えると。

 えーとだからこれってつまり「程度問題」って話ですよね。どこでネタとして判明するかっていう話だと、俺(を含めて多くのネット慣れした人)にとっては「虚構新聞」ってタイトルだけで充分です。んで、いま虚構新聞のサイトを見てきたんですけど「これはネタです」って注意書き(サイトそのものに関するものも含め)って、もんのすげえわかりづらい場所にあるんですね……。ああ、これは叩かれるわけだ(意見が変節しかけた瞬間)。

 ただ、どっちにしろ「程度問題」って話だと、リンク貼ったときに強制的に「これは嘘です」ってタグかなんか付加されても、サイト本体に明記してあっても本質的には一緒じゃんって思います。だって、流布する過程でいくらだって改変はできるわけですもん。サイト側がどんだけ良心的に「現実とあると勘違いされないよう」対策を施したって、悪意で流布しようとする人がいれば意味ないっしょ。だったらできる対策って「これは嘘ですよー」って記事本体にはっきりと記すことですけど、それじゃ読んでしばらく経って「……? まてよ、これ虚構新聞なんじゃ?」って思っていちばん上見て「くっそやられたwww」って思う俺の楽しみはなくなります。……っていうほど別にこのサイトに思い入れあるわけじゃないですけど。

 俺のような楽しみかたをしてる人って決して少なくないと思うんで、でもそれって「わかりづらさ」が必須条件じゃないですか。そのわかりづらさがリテラシーという面では問題になってるわけで、こういう状況だと、わかりづらさって単なる「悪趣味」に還元されると俺は思ってます。笑いの質としてもかなり悪趣味であることは事実ですし。悪趣味ってのはいつの時代もそれを嫌う人が多数派で、いままではネットにその多数派が入ってこなかっただけの話。サイトの作り手に拡散させる意図があるかどうか、悪意があるかどうかは問題じゃなくて、コンテンツの消費のされかたとしてどうなんだ、という点しか俺は興味がなくて、だとするなら、たとえわかりづらくても「嘘ですよー」って記述がはっきりなされている以上、これはアリだという判断です。

 今回、関連した文章をいくつか読んでみて思ったのは、原理原則としての言論の自由ってものは認めていて「そのうえで」これからの時代そうもいかんだろって人と、いやいや際限なく自由は認められるべきでしょっていう原理原則どおりの人とで分かれてるよなーみたいなことでした。原理原則ってそのまま貫き通すとおかしなことになるんで、作り手側の現実的な運用としてはモラルとか重要だよねーって話になるんですけど、俺そういうの別になくてもいいと思うし、読み手が勝手に判断すりゃいいんだし、なによりですね、ホッテントリ八分っていう輝かしい過去を持つ俺としては「おんなのこボディにはおしっこスイッチとうんちスイッチあるから気をつけて押そうね」みたいなこと書いただけでネット社会的に抹殺されちゃったらすごい困るわけです。叩かれるのはかまいません。叩かれた結果、俺がなに書いても需要なくなって「だれも見向きもしない」という事態になるのもかまいません。ただし「なんか書く自由だけはくれ」というわけです。それが明確な犯罪性を帯びてる場合を除き、という留保はつきますけど。


 というわけで、俺の意見としては「虚構新聞もっとやれ」ということになります。別にもっとやらなくても俺の生活には大して影響ないんでどうでもいいっちゃいいんですけども、やりたい人はそういうことじゃんじゃんやっていいと思います。もちろんそれに対して怒る人はじゃんじゃん怒ればいいと思います。そういう二つの派閥が融和していくのか、あるいは全面的に対立して戦争になるのか、まあ未来のことはわかんないですけども、悲観的に考えるのならば、将来的にネットの自由がいまより格段に少なくなることを考えれば、怒られそうなことはあらかじめ自粛しといたほうがいんじゃね?ってことにもなるでしょうし、あるいは、いずれ日本の全国民がネットリテラシーとやらを身につけるようになるね、みたいな超楽観的な考えかたもあるでしょう。まあそんな日は来ないだろうが。

 俺としてはまあ、虚構新聞「的」なものが圧殺されるような世のなかが来たら、そこでは俺自身も自由にものを言えなくなる可能性があるんで「ちょっと待ってや」くらいのことを意見として表明する可能性はありますけど、現状程度ではまだまだなんじゃないでしょうか。

 あと、なにより無料だしな。無料のものに質なんか保証されねえよ。だって、タダなんだから。裏のないタダのものなんて、あれだろ、自己満足で提供されるもんだろ。

20120511

[]乙女ゲーやっとった

 んーと諸般の事情により、タイトル出して検索エンジンに引っかかるといやだから、リンク先だけで。

http://www.sugar-beans.com/products/sb03/index.html

 これやってました。

 まだ一人目の攻略中で、しかもルートの途中、最初のエロシーン終わったあたりですね。なんで、全体からすれば序盤って感じなんですが。


 んで、プレーする前からテーマみたいなの決めてまして。こういうとこ気にしながらやってみよう、みたいなの。ふだんあんまりこういうこと考えないんですけどね。今回はあえて。

 俺はヘビーユーザーってほどではないですけど、まあエロゲやる人です。乙女ゲーってなんなのっていえば、エロゲの反対側にあるもの、と考えるわけですな。で、事前からある程度のイメージって持ってるわけですよ。雛形になるのは、コンビニの片隅に並んでる分厚くてやや判型の小さい絶対恋愛なんとかとか、ああいうのですな。女性向けの、それも二次絵ベースのエロ媒体っていうと、とりあえずあれしか知らんわけです。BLは除くとして。

 ところで俺は、80年代から90年代半ばくらいまで、少女マンガのものすげーヘビーユーザーでした。いまではだいぶ記憶が薄れてはいますが、この時期の少女マンガについて、俺ほど読んでる人間はかなり珍しいはずです。当時、少女マンガ雑誌を出版してた会社で、俺が読んでないのってたぶんないと思います。少なくとも、主婦の友社や大陸書房あたりまでは簡単に思い出せます。

 これは別に俺の知識自慢ということではなくて「その時期に」「大量に」読んでいた、ということが重要なわけです。あまりに多くの例外を含むことを承知でいえば、その時期の少女マンガって、基本的には「なんの取り柄もない女の子が」「そのままで愛される」という物語であったはずです。当時の少女マンガの輝かしい達成を、たとえば綿の国星とか日出処の天子だとか、まあほかにもいくらでもありますけど、そういうものだとして、その下には無数の「読み捨てられる」少女マンガがあって、そうしたものの基本的な色彩は「無条件に愛される」ものであったはずです。ただし、女性としでのジェンダー規範はかなり強く要求されてたとは思いますが。

 ところで昨今の少女マンガには、この色彩がかなり薄い。なにもしないヒロインの存在は許されていない。つーかそんなもん求められてもいないんでしょうが、ちょうど俺が少女マンガから離れ始めたころからですね、その傾向が出てきた。

 んじゃ「愛される私」はどこ行ったのっていうと、上述の絶対恋愛なんとやらとか、ああいうとこにけっこう流入してると思ってんですよね。あれエロ要素はあるんですが、展開自体はものすごくクラシカルな少女マンガのスタイルだったりするじゃないですか。エロってものの性質もあるでしょうが、いちばん「はしたない」女性の最大公約数的な欲望があそこでは展開されているといってもいい。ま、男女問わずエロってのは身も蓋もないですわね。

 んで、さて。乙女ゲーです。これユーザーのメインの年代層実はよくわかってないです。意外に高い、意外に低い、両方考えられるんですけども、なんにせよ「一人の女の子」が、多くの男に愛されるというその性質上、ここには身も蓋もない「愛される私」が存在してるんじゃないか、それが事前の俺の予測でした。なるほど、まずはそれを確認しよう、と。

 あとは、やっぱエロゲとの対照性です。合わせ鏡のようにきれいな対照を見せているのか。それともそうじゃないのか。

 それと……そうだなあ、ヒロイン以外の女性がどんだけ排除されてるか。このへんも気になるところではあります。

 最後にエロですな。これは男女で最大の違いがありそうなところじゃないですか。それが女性視点から語られるときにどうなるのかな、と。このへんはわりと下世話な興味でもあります。エロシーンに至るまでの描写の丁寧さ、あとはくどいピロートークなんかを期待しておりました。


 さて、そんなこんなで始めました。

 面食らったのは名前設定ですな。ああ、これあるんだ、と。昨今のエロゲじゃこの機能ってないことも多いし、あったとしても使わない人ってけっこう多いじゃないですか。ゲームを進めていくうちにわかったんですけど、名前設定機能がある関係上か、ヒロインの名前は決して発音されない。それは不自然な空白を作ってまでそうで、このへんはわりと興味深かったですね。音声がフルであるときに、この名前設定の問題って浮上するじゃないですか。それをある程度切り捨てる方向に進んだのが通常のエロゲで、不自然さを残してでもその機能がある乙女ゲー。このへんの違いはおもしろいです。

 そうそう、今回俺がこのゲームにぶち当たった理由のひとつとして「ヒロインに音声あり」というのを条件にしたんですが、聞くところによると、このゲームに限らず、ヒロインボイスありのゲームはけっこう多いらしい。もちろんオフにする機能はありますが、通常のエロゲにおける主人公ボイス機能がほぼ要求されていないのに対し、乙女ゲーでは需要があるわけですな。あと、乙女ゲーでは(おそらくは)目なし主人公というのもちょっと考えづらい。少なくともヒロインは「かわいい」という条件は是が非でも満たしている必要はあるわけで。


 お話としては、異世界の設定にかなりシャレにならない脱落というか矛盾というか、そういうものがあります。基本的にそういうこといっさい気にしない俺でもツッコミ入れざるを得ないような、かなりまずいレベルでの矛盾です。

 そこんとこはまあいいでしょう。このゲームの機能はそれじゃない。

 ここんとこ、事前の俺の予測はかなり当たってた、ということになります。ヒロインの女の子は別になにしてるってわけじゃない。特に親しい友だちもいない、取り柄もない。しかし愛される。わけわからんくらい。興味深いのはこのシナリオにおけるヒロインの設定ですね。異世界においては人間ってのは貴重な存在なんで、人間のことを研究してる博士に買われて、実験材料にされるよ、ということなんですけども、これだと当初の段階では「人間でありさえすれば」いい。もちろんそれだけじゃお話は駆動しないんで、実際には意外と料理ができたりとか、あとそもそもの属性として「実はかわいい」「おっぱいおっきい」なんかが与えられてます。この「おっぱいおっきい」あたりは、ヒロインにとってのコンプレックスになってるってのがまた巧妙な隠れ蓑になってますね。コンプレックスだろうがなんだろうが、おっぱい大きいとたいていの男はふらふらと寄ってったりするわけで、最終的には役に立ってる。

 しかし最後に武器になるのは、料理でもおっぱいでもない。

 デルタというキャラは、一口でいうと研究バカで天才傲慢ドSキャラなんですけども、反面、日常生活では無能。とにかく怖いんで、最初ヒロインは怯えてばかりいるんですが、ヒロインがデルタの愛情を得たと思われるあたりから立場が入れ替わる。恋愛とかよくわからないデルタに対して「女の子は最初からそれをわかってる」という点で優位に立つわけです。

 ここから先はもうすごいですね。かわいらしいおねだりで困らせたり、本棚の高いとこに手が届かない私かわいいだし、なんていうんだろ、女性が天然で持っていると「されている」美徳が、そのまんま武器になってるという状態です。男としては愛情を人質に取られて振り回されてる状態になります。

 んで、男の立場からこれを見ると、ヒロインにだんだん行動の自由を奪われて、絡めとられていくようにすら感じます。なんかねー、怖くなってくるんですよ。

 これどういうことかっていうと、お話が完全にヒロインの欲望に沿って動いてるってことですよね。そりゃもちろん、それが目的のゲームなんであたりまえなんですけども、それを「欲望」と感じさせない仕掛けがあちこちにされている。状況がそうなっちゃったからこうなった、という感じでお話は流れていきます。

 俺がそれを「怖い」と思えるのは、俺が男だからですな。

 すごいのはエロシーン直前あたりで、男のほうがついに「おまえがいたせいで俺はおまえを好きになってしまった。どうしてくれる」理論持ちだすんですよ。これ、最初の俺様状態からしてみれば屈服寸前ってことで、そんで最後にはついにヒロインのことを好きだって言ってしまう。ヒロインが持ってる武器は基本的に「愛情」と、あと「肉体」ですな。ヒロイン自身は自分に魅力がないという前提で動いてますが、実際の絵の描写なんかはやたらえろかったりする。男が「おまえが好きだ」と告白することが、状況としてはほぼ「屈服」に近いかたちになっていて、ああなるほど、これはヒロインの欲望が反映したかたちなんだと、よくわかる感じです。

 ちなみに俺はこういうの大好きです。


 次にエロシーンですが、これはさすが女性向け、という感じです。実際の行為までの手続きが、なんつーか入念ですね。エロゲですと、非常に大雑把に要約しますと、ぱんつみえたー、はだかみちゃったー、好きになっちゃったー、わーセックスだーみたいな単純さがありまして、これだけだと成立のしようがねえんで、ここにストーリーってものを絡ませていかなければならない必然性が強くなるんでしょうが、このゲームだと、恋愛関係が発生してからは、最初からセックス視野に入ってる。このへん現実的ですよね。流れとしては、男が自分の肉体を求めるのは前提条件であって、あとはそれを「どう許すか」が問題になって、そこで「好きだ」という言葉を引き出す必要が出てくるわけです。

 これは、こういう心情の流れそのものがお話になるんで、しぜんセックスに至るまでの心理描写は緻密にならざるを得ず、即セ感はありません。

 エロそのものについては、これ、同じ男でも受け取りかただいぶ変わるんじゃないかな、と思いました。俺は「女性の欲望」に対して興奮する傾向がありますんで、そういう意味では女性一人称のエロシーン、というだけで興奮する条件は揃っているわけです。キスしたあとのぼーっとした感じとかモノローグでやられたらりゃ大興奮ですよ。「ああそうか女の子気持ちいいんだなあ、セックスしたいんだなあ、それは大変だじゃあセックスしていいのかなしたいんだからしてもいいよなあ」みたいな流れです。俺みたいな人種にとってはめちゃくちゃエロかったといえますね。あと男の声優さんの声えろすぎてまじ妊娠するかと思った。

 とにかく同じ描写であっても、女性一人称でやられるとやたらえろくなる、という感覚があったりするわけです。これはエロシーンじゃないですが、図書室の高い場所にある棚に手が届かなくて、ヒロインがぴょんぴょん跳ねてる、っていうベタなエピソードがあるんですが、これ男性側から見るとその行為そのものがかわいい、ということになりますが、女性側から見ると「からかわれるのが嬉しい」とか「ちょっと拗ねてみせる」とかそういう要素が強くなって、やっぱり俺みたいな人種にはえろく見えます。


 そんで最後に。

 こういう視点を持ってしまうっていうのは、やっぱプレーヤーである俺が「男である」という特殊性に由来してますね。なんていうか、主人公であるヒロインをメタに把握せざるを得ない、ほかのやりかたが選べない、というのがあるんですよ。そこからズレが生じるし、そのズレがもたらす違和感そのものがおもしろい、ということになります。さらにいえば、俺にとってこういう典型的な「なにもできない」ヒロイン像って、それ自体がツボなんで「男に感情移入してヒロインを攻略する気になってるかと思ったら、実は愛情による支配に屈服する感じがたまらなく気持ちいい」というややこしい消費のしかたが可能です。

 とにかくねー、なんだかやたらえろかったです。通常の男性向けの即セ感が苦手な人、男が女を欲望するのではなく、女が欲望してるのを見るときに興奮すんだみたいな気質の人は、乙女ゲーおもしろいかもしれないです。

 つーわけで、ちょっと散漫になっちまいましたが、とりあえずの感想。

20120509

[]落とされるのを全裸で待っている

http://anond.hatelabo.jp/20120507234609

 これ読んでた。

 おもしろかったので、全力で釣られてみようと思いました。すでにブコメでさんざん暴れたあとではありますが。以下、引用部分は……えーと、なんかそんな機能がはてダにあったような……?


・アイプチかプチ整形で目を大きくして黒目コンタクトを入れる(オタクは女の可愛さを目の大きさでしか判断できないので、目さえ大きくなればどうとでもなります)

 えー目の大きさとかそんなに重要じゃないよ。まず重要なのは身長でしょ身長! 145センチの聖域を突破してはならぬ! あと年齢(初っ端から最終回)。あとマジレスするなら、目の大きさとかよりも、顔全体の造作が幼いこと、愛嬌のある丸顔系であることが重要ではないだろうか。表情全体に攻撃性がないことはかなり大事なことだと思う。まあ元エントリは「落とすには」ということだから、努力でできる範囲のことを書けば「人当たりのいい笑顔の練習をする」ということだと思う。

 朝目が覚めて、家のなかでお兄ちゃんと会う前に、鏡の前で笑顔の練習、最高の笑顔でお兄ちゃんの一日をスタートさせてあげたいな、ちょっとはかわいいって思ってくれるかな、という実妹の出現を全裸で待っています。

 あるいは本来はプログラムされていない感情が芽生えつつあるロボットの女の子が鏡に向かって笑顔の練習をして「……作られた表情」とかさびしそうに呟くのを実はマジックミラーだった鏡の向こう側でなめるように全裸で見ることを楽しみにしています。


・ツヤツヤの黒髪にする

 世のなかには銀髪好きとか金髪好きという人も多数いてな……。それはむしろ黒髪好きよりも多いのではないか。特に銀髪好きはかなり業の深い人が多いと思いました。印象だけの話ですけど。なに二次と三次をごっちゃにするなとな? なにゆってんすか。二次を現実に投影して「ああ、あれで銀髪でありさえすればなあ」とか思い始めたところがスタート地点ですよ。

 というわけで、実はひいおばあちゃんあたりが北欧貴族で、超隔世遺伝みたいな遺伝子のいたずらによって金髪に生まれてしまった実妹が、自分の髪をコンプレックスに思いつつも「でもいいもん。お兄ちゃんはこの髪、きれいだって言ってくれた。だから、絶対に染めないの。校則違反だっていわれても、絶対にこのままでいる」とか強く思っちゃってる実妹が僕の前に出現してくれるをことを全裸で待っていて髪コキ。

 あるいはロボット少女の販売店なんかで、実際に販売してみたら意外と人気がなかった北欧少女型の女の子がショーウィンドウにさびしそうに座っていて、値札を見る大ディスカウント。これならボーナスをすべてつぎ込めば買えるんじゃないかなと思って、清水の舞台から全裸で飛び降りるつもりで購入。「このままお持ち帰りになられますか?」との店主の質問に応と答え、手をつないで帰る帰り道。雪なんかがちらちらと舞っていて「あの……おかしいですよね、こんな外見なのに、日本語って……だからわたし、売れ残っちゃって……あの、買ってくれて、ありがとうございます……」とか卑屈なことを言い出すので、そのロボット少女の髪を手にとって「ほら、こんなにきれいだ。街灯の光を透かして見ると、きらきらって、金色に光って……」折しも遠くから聞こえるクリスマスソング、浮かれた若者たちの声、世界から切り取られたやさしい聖域みたいな場所で「はじめまして、メリークリスマス」「メリー……?」もちろんそんなイベントのことは知らないロボット少女「君に出会えてよかった、ってことだよ」って答えて家に帰ったら髪コキからスタート。


・前髪は下ろす(AKBスタイルにする)

 クァーーーーーッッッッッッッ!!!!!

 ブコメにもあったが、デコ好きの存在を黙殺するとは笑止千万! ぬるいこと言われちゃ困りますな。いいか。むしろまゆげだ。まゆげに着目しろ。上げた前髪の下にある太いまゆげだ。オタの伝統芸能のひとつ、太いまゆげ好き。この一派は確実に存在する。だれかって? いや、俺。すいませんね。生きてて。

 つーか前髪上げてないとデコピンしにくいでしょ!? そりゃ下ろした前髪をかきあげてそこにわざわざデコピンするのもイベントとしては儀式めいてていいのかもしんねえけどさ、それ敷居高いでしょ? それよりも最初からはしたなくさらけ出されて誘ってやがる、この淫乱め、そんなに俺のデコピンが欲しいのか……くくく、しょうがねえ生え際だとか思いながら、なにかのついでのようにデコピンする距離感がいいんでしょ!!

 というわけで、おでこが広いことと太いまゆげがコンプレックスでありながらも、お兄ちゃんにデコピンされるっていう些細な身体接触がうれしくてつい期待しちゃう実妹が僕の前に出現してくれることを全裸で待っています。お兄ちゃんがちょっと手を上げると目をぎゅっとつぶって身構えちゃって、でもちょっと期待しちゃってるんだけど、斜め上に期待が裏切られてなでなでされたときの「うわ……」っていうため息まじりのつぶやきを録音して両方の耳から脳に刻む。

 あるいは……えーと……息切れしてきた。なんでもいいから全裸で待ってるわ。つーか実は髪型とかけっこうどうでもいい。


・メイクはファンデーションとチークとマスカラだけ(オタクはスッピンと勘違いする)

 勘違いしてなにが悪い! 男の性欲は本能ではない! 対象となる幻想と結びついて初めて方向性を持つものだ! スッピン幻想大いにけっこう! そもそもナチュラルに見えるメイクの意図はどこにあるか? もしメイクによる顔面が女性にとってひとつの作品であり、社会的立場としての意思表示であるのならば、それは「自然に見られたい」ということなのではないのか。

 その意志どおりに動くのだ。この場合オタクこそが正義であり、わざわざ見破るほうが無粋というものだ。

 というわけで(以下読みたくない人はスルー推奨。俺は意地でもラストまで続ける)、メイクデビューの手始めにファンデーションとチークとマスカラを友人の手ほどきで始めてみて、最初に出会う相手はお兄ちゃんと決めて、いつもより早くごはん食べて、食卓でどきどきしながらお兄ちゃんを待ってると、お兄ちゃんは一瞬「……ん?」というような顔をするも「母さん、俺納豆に卵まぜんなつっただろ」とか言い出して完全スルーされた血のつながった妹さんの内心の「お兄ちゃんのばか!」を全裸の俺が白メシに振りかけて丼3杯食うよ。

 あるいは、主人公の幼なじみの女の子(すでにルートから外れてる)から「◯◯ちゃん(幼なじみは主人公を「ちゃん」付けで呼ぶという法律がこのあいだ制定されたのを国会中継で見ました)のこと、好きなんだ」と図星をさされたロボット少女が「わたしは、機械です。機械には、すき、という感情は……ない……」とか言いながら涙腺機能が働いちゃってはらはらと落涙。「あれ……故障、でしょうか……」とか言い出すのを幼なじみの女の子がやさしく抱きしめて「ううん、故障なんかじゃない、ちがうよ……」って言う。そんで、悪友ポジションの別のヒロインに余計な知識を植え付けられて、ほんのりとメイクしたうえで、夜になると主人公の部屋に布団敷いて、そのうえに正座して待ってて「男の子を好きになった女の子は、こうするものと教わりました」って真っ赤になってる、その布団とロボット少女のあいだに存在するぬくもりを暖房として摂取して「もーえろよもえろーよー炎よもーえーろー」って全裸で踊りながら2分後に死ぬ。


・「彼氏できたことありません」と公言する(処女アピール)

 いや、知ってるよ。実妹なんだから。いや別にお兄ちゃんのこと好きすぎてついオナニーがひどめになっちゃった妹が「おにいちゃん」って書いたそういう用途の玩具でまちがって処女喪失して、いざ本番ってときになって「ごめんね、処女じゃなくてごめんね」って言うんでもかまわないけど。

 あるいは「おまえ試作品なんだろ。このあいだ生まれたばっかなんだから彼氏とかいたわけないじゃん」って言えるよね。どうでもいいけど処女膜なくなったらご主人さまのものになる認証機能はとうぜんついてるよね?


・オタク男が好きそうな漫画(萌え系など)を読み、読んでいることを公言する

 公言する必要とかどこにもないよ! そんなの俺にだけそっと打ち明けてくれればそれでいいよ! むしろ公言すんなよ! でないと、偶然駅前の本屋で見かけた実妹がお兄ちゃんのことなんてぜんぜん好きじゃないんだからとか立ち読みしてて「お、おまえ……」「お、おおおお兄ちゃん!?」っていうイベントが発生しねえだろうが! あと棺担ぎのクロとか大好きだって言われたらふつうに落ちる可能性はあります。キノの旅でもいいんでしょうが、こっちは個人的趣味よりパスです(うぜえ)。

 ロボット少女については……こっちはあんまり妄想できないですね。人間の男女のありかたについて勉強しました系のネタしかちょっと思いつかないのでだれか補完してください。


・オタク男が多いサークルなどに所属する

 むしろ来ないでください。そんな空間に女の子いたら「おもらしじゃない、おしっこだ! 排尿そのものに意味があるんだ!」「おもらしをした女の子の羞恥に意味がある!」「ぼくは羞恥なし派です」「おいどんはおまたゆるんじゃう派です」などの議論ができないじゃないか!(TLの影響)


・ニーソをはく

 あ、ごめん。俺、このへん守備範囲外。一日履いたあとのものなら、ニーソだろうがなんだろうが全部煮込んでダシでうどん食う。ひだまり荘201号室の排水口の下で待ってます♪(ヌルリ


・チェックのスカートをはく

 ごめん、これよくわかんない。どうして?


・上品な言葉遣いにする、敬語を使うようにする

 ごめん、これもまじでわかんないんだけど、初対面に近い状況で、ふつうに下品な言葉づかいで敬語もないってやなんじゃないの? それのっけっからタメ口ってことでしょ? ふつうそういう人に好感持つ人って、男女問わずあんまりいないんじゃないかと思うんだけど……まあ、人の趣味はさまざまだから別にいいか。

 え、違う? 敬語キャラ? 実妹敬語キャラのこと?

 ふふ……呼んだね、俺のことを呼んだね……?

 まあいい。とりあえず恋騎士の体験版でもやってからもう一度来いや。これで実妹敬語キャラのよさがわからなければ……もうだめだな、おまえには見込みがない。

 まあいい。説明してやろう。実妹というのはなにか。実の妹ということだ。これが敬語を使って兄に話す。おかしい。違和感すごいあるな。しかしそういう妹でも子供のころからそうだったわけじゃない。もちろん育ちがよすぎたせいでそうなることもあるだろう。そうなるとお嬢様という別の要素が絡むが、こっちも俺は大好物だから問題ない。気弱妹で「にいさま」が呼称だったりした場合にはどっちにしろ俺が落下傘なしでナイアガラの滝から飛び降りる勢いで落ちるから問題ない。

 しかしそうでなかった場合、敬語になったのには理由がある。現在に敬語実妹キャラであったにしても、子供のころはそうではなかった。というのは、環境の変化か、あるいは本人の意志による場合がある。もしそれが本人の意志であった場合、そこになにが読み取れるか。「お兄ちゃんと距離をおこう」という意志だ。そうでもしないとお兄ちゃん大好きすぎて大変に危ないからデアリマス。危ない。危ないなあもう。

 あとロボット少女については昔から敬語だってマルチの昔から決まってるのでどうでもいいです。これでマルチが「ヘイ!ヒロユキ!」とかゆって登場したら「このキチガイ外タレめ!!!」とかゆってディスプレー叩き割ります。


・「オタクの男の人は頭がよさそうだし優しそう」とイメージでおだてる

 すいません。息切れしてきました。女の子におだてられたら、よほど警戒心の強いねじくれた人間以外はたいてい気分いいと思います。「兄妹はじめました」の葵に「頼りになるのはお兄ちゃんだけなの!」って両手を胸の前で組んで「……とかいって、自分が掃除やりたくないだけだろ」とか言いながら、ちょっと嬉しい気分になって掃除とか押し付けられたいなあって思いました。ご褒美は晩ごはんのちょっとしたごちそうと「よくできました」のなでなででお願いします。


・料理上手をアピールする

・安物の服やバッグを身につけて(あえてダサくするくらいで良い)、お高くとまった女ではなく気安い女であることをアピール

・女友達とつるまない(リア充っぽい雰囲気が出るから)

・ぼっちアピールをして共感を集める

 飽きた。

 あとだれかやって。


 全体としていえることは「そりゃちょっと保守的な女性に対する嗜好持ってる人間なら、だれだってこういうタイプには好感もつだろー?」くらいのことで、そういう保守的な趣味傾向って別にオタだけの専売特許じゃないっすよ、てゆうことくらいですかね。要するにこれって一昔前の「よくできた娘さん」のことなんで、そうした価値観をうっかり内面化した世代の女性に育てられた男が、こういうものに好感を持ちがちなのはあたりまえじゃんくらいの。もっともいまではそういう「規範」のうすぼんやりとしたイメージが先鋭化してって、いわゆる「オタク」に消費される傾向はあるんじゃないかなーくらいのことは思いますけど、それもなあ、ここまで典型的なヒロイン出してきたら、そりゃ裏勘ぐられるのはあたりまえで、勘ぐられる前に二面性とか与えておくくらいのことはしないとオタといえど飛びつかないとは思いますが。

 つーか、近傍におけるけいおんの澪の扱われかたなんか見てると、ぼっちアピールとかは裏を勘ぐられる可能性がいちばん強い危険な賭けなんじゃないかと思うけど。

 まあ、そういうものがリアルに出現したらのぼせ上がる可能性なしとはしませんが、そんなことより俺はロボット少女より実妹のほうが属性として強くなったなあと思う41歳の春でした。夜勤明けのテンションは前半しか持続しませんでした。