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仮設住宅 小さすぎる仕様見直しへ
5月22日 5時1分

仮設住宅 小さすぎる仕様見直しへ
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東日本大震災では5万戸を超える仮設住宅が建設されましたが、法律に基づく仕様で部屋の広さが制限されているため、一般の住宅よりも小さな浴室やキッチンにしなければならず、当初、製品が不足しました。
このため国土交通省と厚生労働省は、一般住宅の製品も使うことができるよう仮設住宅の仕様を見直すことになりました。

仮設住宅の仕様は、災害救助法に基づいて1戸当たりの広さが29.7平方メートル、費用はおよそ240万円などと定められています。
東日本大震災でもこの仕様に沿って5万2600戸余りの仮設住宅が建てられましたが、住宅が狭いため、浴室やキッチンなどは、一般の住宅に使われているものよりも小さい製品が必要となりました。これらの製品は、あまり使われないことから発注を受けたメーカーの生産が追いつかず、当初、製品が不足しました。
このため、国土交通省と厚生労働省では、一般の住宅に使っている製品も使えるようにする必要があるとして、仮設住宅の仕様を見直すことになりました。
国土交通省は仮設住宅を建設しているプレハブ建築協会などと住宅の広さをどれくらい広げたらよいかなど協議を始める予定で、ことし夏をめどに新しい仕様の方針を決める予定です。
仮設住宅の仕様が見直されるのは、阪神・淡路大震災のあとの平成9年に、住宅の広さが見直されて以来です。

メーカー泣かせの仕様

仮設住宅のキッチンや浴室を調達したメーカーでつくる団体によりますと、震災で建てられた仮設住宅の20%余りで一般の住宅よりも小さい間口が75センチのキッチンが使われました。
このキッチンは市場ではほとんど需要がなく、出荷量は市場全体の1%にも満たないうえ、製造できるメーカーも限られているということです。
また、浴室のユニットバスも市場での流通が少ない狭い浴槽と洗面所が一緒になったタイプが使われました。
メーカーは震災後フル生産で対応しましたが、必要な仮設住宅の戸数がすぐに確定しなかったこともあってメーカーでは結果的に多くの在庫を抱えてしまいました。
キッチン・バス工業会の島崎喜和常務理事は「汎用品が使えれば、多くのメーカーで対応でき、しっかりとした生産体制が組める。仮に余っても一般の市場で売ることができる」と話しています。

“脚が伸ばせることは大事”

今回の見直しについて仮設住宅の問題に詳しい東京経済大学現代法学部の森反章夫教授は「仮設住宅は、なるべく早く供給されたほうがよく、一般住宅で使用している汎用品が使えればスピードアップにつながる」としたうえで「仮設住宅のバスタブは非常に狭い。脚が伸ばせることはとても大事で、お風呂が広くなることは大変よいことだと思う」と仮設住宅を使う人にとっても便利になると指摘しています。

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