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2011-11-23 22:26:30

今の人はそれを記憶と呼びます。

テーマ:韻文
あの人はもう死にたいと言った。

私はまだ死ぬなと言った。

 
あの人はもう生きたくないと言った。

私はまだ生きろと言った。

 

あの人はそれならば中間にいたいと言った。

私はそれならば中間にいろと言った。

 

だからあの人はまだいるのです。

死んでいるのでも生きているのでもない中間のところにいるのです。



 







2011-11-16 22:05:18

「違和感」についての一考察

テーマ:日記

「違和感」についての一考察



生まれてはすぐに充たされていく虚勢された欲望。
摩滅していく五感。
肉体的痛覚から乖離した生活。

この現実の仮想性はそういった点に起因するのかもしれない。
現実の仮想化。あるいは現実のゲーム化。
漂白されたリビドー。

蓋をされる異形の現実。
異形の現実が現実の仮想性を浮き彫りにする。




それはつまりとある
桜の満開シーズン。
所狭しとブルーシートを敷いて、肉を焼き、あるいは一升瓶を片手に酩酊する花見の人だかり。道行く人々を抱擁する柔らかな春の陽光。嬌声に喚声。泥のように生温い平和が見渡す限りを覆い尽くしている。



mso-hansi-font-family:Century">ふと姿を現す一人のホームレス。
鋼のようにごわついたどす黒い長髪。同じくらいに黒ずんだ垢がとりかえしのつかないほどに顔面にこびりついている。対照的に不自然なほどに真っ白な対の目。サイズ違いの灰色のスニーカー。ほつれた手袋。幾重にも重ね着をしたボロ服。破れたビニール袋を片手に、のそり、のそりと人々の間を歩いていく。

そのブラックホールのような吸引力。
誰もが彼の姿を穴があくほどに凝視しながら、みえない振りをしている。
そのあまりにも生々しいリアリティー。
人々の偽善の仮面を完膚なきまでに叩きおとしていく破壊力。
現実の顔そのものに、一対一で対峙させられることから生まれる見慣れぬ恐怖。
われわれはその異形を解釈するいかなる種類の言葉ももたない。
われわれはみな舌を失ったかのように、憮然として思考を放棄する。
そしてその漠然とした気持ちと決別するかのように、
あるものは傲然と異形のものの背中を睨み、あるものは不必要な笑みを浮かべ、
またあるものは目をそらして話題を変えるだろう。

そしてみなバーチャルリアリティーが与えてくれる暖かいベッドの中に帰っていく。



社会という巨大生物が無自覚的に生み出していくこの居心地のよい集団幻想は、
無垢で蒙昧な死人を増産するのだ。

われわれは生きていない。
われわれは現実とかかわっていない。

関わっている様に映るのは現実のうわずみだ。
それはいっそのこと現実が見ている夢といってもいいかもしれない。




2011-11-09 00:48:23

赤い糸がみえない理由

テーマ:日記
どこで見聞きした言葉かは忘れてしまったけれど、
それなりに長い時間を経てもなお、なんとなく記憶にひっかかっている言葉。
ふとした瞬間に、なんの脈絡もなく、ぽこっと浮かんでくる言葉。
そんな言葉が真理のカケラをまとっていたとしてもなんら不思議ではない。


 「赤い糸、それはみつけるものではない。
  赤い糸、それは紡ぐものだ。」
 
それは、
人生の過半を共にすごし、愛しがたきを愛しあい、ゆるしがたきをゆるしあった、
そんな一対の男女が、そんな男女だけが、
互いの死の間際になって初めて見える糸。
 
だからその赤い糸は、逆説的に、人の目に見られることはない。 
赤い糸がその人の目の前にあらわれる時、
その視界は滂沱の涙に覆われていて、
その理性は時の不可逆性に打ちのめされていて、
その霊魂はもはや地上になどいないのだから。

 
2011-10-30 23:18:58

もし世界がジュール・マスネの旋律で綴られていたなら。

テーマ:ピアノ
もし世界がジュール・マスネの旋律で綴られていたなら。

まるで明日、世界が終わることが、
明日、世界が均等に失われることが、
そんなことが世界中の不文律になっているような、
そんな世界になっていたのではないでしょうか。

そんな世界の様相をしばし夢想します。

その柔らかな地平線を。
その無私の慈しみを。
その純粋な魂の発露を。
その超越した恋慕を。

そしてそのような様相が、
世界の終焉の前夜までは、
決して、
私たちを
訪問することがないということを。

時間の到達点を更新しつづけている、
この生々しくもソリッドなリアル。

ジュール・マスネの旋律が言葉を持つことは、
ただ終焉を迎え入れるその前夜の他にはいないとしたら、
これほど悲しい話がありますか?

2011-09-04 23:26:29

フロムムーン2

テーマ:短編小説
人の流れが絶えることはなかった。
提灯を点らせたタクシーは礼儀正しい深海魚のように一列に並んでいた。
誰もがどこからか来て、どこかへ向かっていた。
止まっているのは私とソウゲツだけだった。
そして雲の裏側に隠れてしまった月。

湿気を含んだ風がふいた。
小さな雨粒がぽつりと頬にとまった。

私はその場にしゃがみこみ、
貝のように押し黙ったソウゲツを正面から抱いた。
湧いたそばからすぐにかき消されてしまうようなかすかな嗚咽がきこえた。

「月のことを心配、、、しているんだね?」

耳元でささやいた。
嗚咽がとまった。

「月に、、、、、、帰りたいのか?」

どん。
私の肩に通行人の脚が当たって、
私とソウゲツは雨に湿ったアスファルトの上に倒れ込んだ。
ソウゲツは足を組んだまま仰向けになった。
そして空を見上げた。
分厚く垂れ込んだ黒い雨雲を。
そしておそらくはその先にある月を。

私は、私の眼下で光るソウゲツの瞳を不安な心持ちで見下ろした。
その二対の眼球は、もうここにはいなかった。
雲をつきぬけ、大気圏を越えて、宇宙の真空に漂っていた。
その冷たくて暗くて一人ぼっちで、それでも月にいっそう近いその場所に。


2011-08-31 22:31:33

フロムムーン

テーマ:短編小説
雲が割れ、月明かりがあたりに降り注いだ。

街が白銀の海に浮かび、
通りの人々はふとその歩みをとめて、
自分たちの頭上にこつ然と現れた月を不思議そうに見上げた。

その瞬間、ソウゲツは私の右手を離し、冷たく乾いたアスファルトの路面に腰を下ろした。
状況を飲み込めなかった私は、コンパスを失った帆船のようにその場に立ち尽くした。
そして、かすかに肩を震わせるソウゲツを見下ろしていた。

雲が流れ月が姿を隠した。
街の雑踏は、夢から覚めた羊の群れのように動き出した。

ソウゲツは膝に頭を埋めて、胎児のように丸まっていた。
誰かの肩が私の背中にぶつかり、数歩ふらふらとよろめいた。
子供を連れた妙齢の婦人が、憮然とした表情を隠しもせずに私の鼻先を通り過ぎていった。

「ねぇ、誰もソウゲツを連れ帰ることなんてできないよ?」

私はソウゲツの耳元に口を近づけてそうささやいた。
しばらくたっても返答はなかった。
かわりに返ってきたのは鉄鋼のように頑な無言だった。

私たちは通りの真ん中で、
無口なテトラポットのようになって
寄せてはかえす人波に洗われていた。

〈続く〉


2011-08-07 18:04:30

2011神宮外苑花火

テーマ:日記
華火を愛でるホームパーティーに行ってきました。



@パークアクシス青山一丁目タワー



花火のように生きていきたい、
いや、生きていける、
そう思っていた時期が俺にもありました。


だが今は、
火を絶やさずに、
灯し続けるだけで精一杯です。


でも、思うんだ。
この世界はそもそも圧倒的可能性に満ち溢れていたはずじゃないか、ってね。
可能性は世界の随所にアプリオリに実在している。
そのことは歴史を紐解けば、火を見るよりも明らかじゃないか。



俺たちが灯しているのは、
今はそう、ちっぽけで頼りなくて、
今にも消え入りそうな種火かもしれない。


でも、灯し続けていれば、
いつかきっと、いや必ず、
あの夏の夜に燦然と咲き乱れる華のようにだってなれるさ。



人の生は儚い刹那の夢だ。
どうせ消えいくものならば
ぽとりと落ちて人知れず消えるのではなく、
あの夏の夜の華のように、大勢の心に触れながら消えていこうではないか。



安西先生も言っていたじゃないか。
そう、


諦めたらそ、、、、



うわなにをするやめrくぁwせdrftgyふじこlp;@:

2011-07-25 00:31:49

私が愛した写像

テーマ:短編小説
手のひらは空をつかんだ。
私はキョウコに触れることができなかった。
そしてこう訊ねた。


「きみは、、、、きみは幽霊なのか?」


キョウコは少し笑ってから、答えた。


「いいえ。私は実在する。私は質量を持つれっきとした生物だ。
ただ、、、、」


彼女はそう言って、目をふせた。
一陣の風がたち、ローソクの炎が消えた。
闇はいっそう深くなった。


「私は、、、お前に見えている私は、未来の写像だ。
私の想念を事象の地平面に照射して
お前が進行させている時空間に反射させたにすぎない。
だからお前は私を触れない。私もお前を触れない」


世界が5メートルくらいずれた。
思考が激しく鳴動し、そして静止した。


そして私は眠った。
時が永遠に停止した世界で、
私は永遠の現在を受け入れたのだ。


2011-07-21 00:47:15

坂道を下りる理由

テーマ:韻文
潮香る街
海見える坂道
白いイスに腰掛けて
登ってくるのを待っていた

空染まり
風が冷たくなって
ビールの泡がなくなっても
あなたは登ってこなかった

闇が満ち
グラスが乾き
気がつけば
私だけになった

ずっと先になって
私が一人の老人となった時

私はまた白いイスに腰掛けて
あなたを待とう

思い出の中にくらい
あなたはきっと
登ってきてくれる




2011-07-11 20:58:29

しあわせメソッド(珍しく仕事の話)

テーマ:日記
最近、注力している番組です。


番組では、美肌、ビューティースープ、ウォーキング、手作りアクセサリー、ネイル選びといった、
女子力アップのためのメソッドをご紹介しています。



$TOKYOリーマンライフ

番組HP
http://www.fujitv.co.jp/shiawase_method/index.html

モバイルはこちら




この企画をやっているうちに、
気がつけばデスクの本棚がこんな感じに(;^ω^A

$TOKYOリーマンライフ






twitterで、知りたいメソッドの募集もしていますので、
興味があったらのぞいて頂けると嬉しいです(^ε^)♪


番組公式twitterのサチコさん

$TOKYOリーマンライフ

しあわせメソッド→幸せメソッド→幸子→サチコさん
というネーミングになりました(o^-')b


が、言うまで誰にも気づかれません笑


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知りたいメソッドの投稿はこちらから↓
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(*^ー^)ノペタしてね


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