今の人はそれを記憶と呼びます。
テーマ:韻文私はまだ死ぬなと言った。
私はまだ生きろと言った。
あの人はそれならば中間にいたいと言った。
私はそれならば中間にいろと言った。
だからあの人はまだいるのです。
死んでいるのでも生きているのでもない中間のところにいるのです。
私はまだ死ぬなと言った。
私はまだ生きろと言った。
あの人はそれならば中間にいたいと言った。
私はそれならば中間にいろと言った。
だからあの人はまだいるのです。
死んでいるのでも生きているのでもない中間のところにいるのです。
「違和感」についての一考察
生まれてはすぐに充たされていく虚勢された欲望。
摩滅していく五感。
肉体的痛覚から乖離した生活。
この現実の仮想性はそういった点に起因するのかもしれない。
現実の仮想化。あるいは現実のゲーム化。
漂白されたリビドー。
蓋をされる異形の現実。
異形の現実が現実の仮想性を浮き彫りにする。
それはつまりとある
所狭しとブルーシートを敷いて、肉を焼き、あるいは一升瓶を片手に酩酊する花見の人だかり。道行く人々を抱擁する柔らかな春の陽光。嬌声に喚声。泥のように生温い平和が見渡す限りを覆い尽くしている。
mso-hansi-font-family:Century">ふと姿を現す一人のホームレス。
鋼のようにごわついたどす黒い長髪。同じくらいに黒ずんだ垢がとりかえしのつかないほどに顔面にこびりついている。対照的に不自然なほどに真っ白な対の目。サイズ違いの灰色のスニーカー。ほつれた手袋。幾重にも重ね着をしたボロ服。破れたビニール袋を片手に、のそり、のそりと人々の間を歩いていく。
そのブラックホールのような吸引力。
誰もが彼の姿を穴があくほどに凝視しながら、みえない振りをしている。
そのあまりにも生々しいリアリティー。
人々の偽善の仮面を完膚なきまでに叩きおとしていく破壊力。
現実の顔そのものに、一対一で対峙させられることから生まれる見慣れぬ恐怖。
われわれはその異形を解釈するいかなる種類の言葉ももたない。
われわれはみな舌を失ったかのように、憮然として思考を放棄する。
そしてその漠然とした気持ちと決別するかのように、
あるものは傲然と異形のものの背中を睨み、あるものは不必要な笑みを浮かべ、
またあるものは目をそらして話題を変えるだろう。
そしてみなバーチャルリアリティーが与えてくれる暖かいベッドの中に帰っていく。
社会という巨大生物が無自覚的に生み出していくこの居心地のよい集団幻想は、
無垢で蒙昧な死人を増産するのだ。
われわれは生きていない。
われわれは現実とかかわっていない。
関わっている様に映るのは現実のうわずみだ。
それはいっそのこと現実が見ている夢といってもいいかもしれない。
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