社説:ホテル火災 実効性ある行政指導を

毎日新聞 2012年05月22日 02時30分

 一方、福山市と地元の消防組合も、そういう防火上の不備があることを以前から把握していた。完成時に適法な建物であれば、現行の建築基準法に反した状態でも、強制力のある指導ができないというのが市の説明だった。ところが火災後の内部調査で、ホテルが87年の査察までに建築確認を受けずに大規模改修していたことがわかった。職員がその時に気づき、違法建築と判断すれば、是正や使用禁止を命じ、罰金を科すこともできたのに、その後の査察でも違法性を見逃してきたのだ。

 消防組合は、03年を最後に査察を実施していなかった。それまでの査察で指摘した不備を改善したかどうかの確認もしていない。2年に1度の査察を定めた内規や、是正されるまで徹底した指導を求める消防庁の通知にも反した対応だった。

 44人が死亡した東京・歌舞伎町の雑居ビル火災(01年9月)を受けた消防法の改正で、事前通告なしに立ち入り検査し、その場で避難障害物の撤去命令を出せるようにした。関係機関との連携強化も図ったが、行政指導が形骸化していれば、法改正で権限を強めても意味がない。

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