22日に開業する「東京スカイツリー」は、足元からてっぺんまで日本企業の最新技術に支えられている。地震にも風にも強く、ながめも快適で、夜のライトアップもみせる。企業は、ここで得た技術を生かした新ビジネスの獲得にも期待を膨らませている。
ツリーに使われた技術の中でも、重要度が高く、世界初なのが、塔のど真ん中にある「心柱(しんばしら)」をつかった制振システムだ。日建設計と大林組がつくった。鉄筋コンクリート製の高さ375メートルが、ツリー本体とは分離した形で立つことで、地震などの際に本体とは違う動きをして、ツリー全体の揺れを抑える。
設計した日建設計によると、ヒントは日本古来の木造建築「五重塔」だ。地震による倒壊例が少ない。心柱と周囲のはりが離れていて、それぞれが揺れを相殺し合うとされる。スカイツリーの場合、心柱の内部は非常階段になっている。
地上350メートルの天望デッキまで約50秒で到着するエレベーターをつくったのが東芝エレベータ。分速600メートルは、一般的なマンションの10倍近い速さだ。定員40人という大容量のものでは国内最速となる。
速くても、乗り心地が悪ければ意味がない。同社がこだわったのが「揺れない」こと。エレベーター室が上下に走る際に使うレール部分のつなぎ目の段差は、「0.001ミリ以下。つまり、ほぼゼロ」(担当者)にした。エレベーター室の上部と下部の覆いを斜めにすることで、空気抵抗も減らしている。
ツリーに隣接する「すみだ水族館」にも、世界で珍しい技術が使われている。大成建設が開発した「人工海水」だ。いちいち海から運ばなくてもいいので、内陸部でも水族館を運営しやすい。日本では京都水族館に次ぐ2番目の施設だ。