学校の風景140年:修学旅行/上 普段と違う体験、重視へ
毎日新聞 2012年05月21日 東京朝刊
高校までの生徒たちにとって最大のイベントは修学旅行だ。「修学」とは裏腹に、枕投げや就寝時間後のおしゃべりだけが思い出に残る人も多いだろう。40歳の私(記者)も、中学では京都と奈良、高校時代は北海道に行ったが、昼間巡った場所はあまり記憶に残っていない。「修学旅行」という言葉が誕生して120年あまり。旅先や内容は多様化し、行動も集団から少人数の班単位へと変わりつつある。最新の修学旅行事情とその変遷をたどった。【三木陽介】
◇行き先、内容が多様化 増える班単位、農村「民泊型」
青い体操着に長靴姿の男子中学生5人が慣れぬ手つきで、イネの種まきの準備作業を手伝っていた。16日、熊本県・阿蘇山のふもとの民家。5人は大阪市立佃中(大阪市西淀川区)の修学旅行中の3年生だ。前夜から農業、山部今朝範さん(68)の家に滞在している。
生徒約160人は4〜5人ずつ阿蘇山周辺の民家に分宿。山部さん方の5人は到着した夜、山部さんの家族7人とバーベキューを楽しんだ後、近くの温泉で汗を流した。翌朝は6時に起きて牛のえさやりや山菜を採り、種まき作業が終わると、わき水を使った流しそうめん。さらに昼は食卓を囲み、山部さんの妻優子さんお手製の郷土料理「だんご汁」と高菜めしに舌鼓を打った。