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震災、津波、原発事故 東邦銀が震災時の体験を2冊に集約

東邦銀行がまとめた「東日本大震災の総括」(左)と「東日本大震災の記憶」

 東邦銀行は東日本大震災時の体験を検証し、2冊組みの冊子「東日本大震災の総括」「東日本大震災の記憶−現場からの声」にまとめた。危機管理計画の見直しに生かすほか、物資提供などの支援を受けた全国の金融機関に配り、災害時の備えに役立ててもらう。
 「総括」は地震、津波に福島第1原発事故という複合災害に直面した各部署の対応を時系列や分野別に写真と表でまとめ、反省点や改善方針を示した。
 同行は昨年3月11日の震災直後、本店役員会議室に総合緊急対策本部を設け、北村清士頭取が陣頭指揮を執った。福島県内を中心に113ある支店のうち沿岸部の避難区域にある小高、浪江、富岡、双葉、楢葉、大熊の6支店は今も休業中だ。
 震災翌日の12日、通帳や印鑑、キャッシュカードを失った顧客が払い戻しを求めて各地の支店を訪れた。既存の災害対応マニュアルで想定外の事態に戸惑う現場からの相談に、北村頭取が「母印でいい」と即答するなど、臨機応変に判断した。
 対策本部と各支店との意思疎通で役に立ったのが、2010年に稼働したテレビ会議システム。通信と電源が確保できた全拠点と同時に通話でき、現場の状況報告と本店の指示などの情報を速やかに共有できた。
 「記憶」は現場の率直な意見を集めた。富岡支店長の渡辺康志さん(53)は停電した店に若手行員と泊まり込んだ経験から「毛布や防寒アルミシート、高感度のラジオが必要」と指摘した。
 浪江支店長の小桧山茂雄さん(53)は原発危機で浪江町が3月12日朝に出した避難指示を受け、浜通りに自宅のある従業員の避難先確保に悩んだ。公設避難所は既に満杯で、「行員の実家に女性5人が半月ほど世話になり、本当に助かった」と振り返った。
 大熊支店長の西形憲司さん(53)は携帯電話番号の分からない取引先の状況把握に苦労した。顧客情報の漏えいを防ぐため、取引先の携帯番号を登録して持ち歩くのは好ましくないとされていた。福島市の本店などで支店業務を続けた際、顧客から「どこに連絡すればいいのか分からなかった」と言われ、申し訳ない気持ちを抱いたという。
 同行は冊子の記録を基に今秋をめどに危機管理計画を見直す。


2012年05月21日月曜日


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