生産計画やプロジェクト・マネジメントに従事するホワイトカラーも日誌をつけよう、と
前回書いたが、お仕事の日誌を習慣づける一番簡単な方法は、To Do Listとともに使うことだ。
To Do Listとは文字通り、「やるべき用事(to do)」のリストである。仕事の上でやらなくてはいけない用事を、リストの形で書いておく。毎日の仕事とは、誰かに電話をかけるとか、製品Aの昨年度の実績を調べるとか、来週の会議用資料を用意しておくとか、やらなければいけないこまごまとした用事の集合体であるとも言える。
そこで、To Do Listのフォロー結果が、そのまま日誌になるようなスタイルを考えてみよう。毎朝、職場に着いたら、まずその日にやらなければいけない用事のリストを作成する。その中には、前日のTo Do Listもにあったのだが、前日にはできなかった用事も含まれるだろう。また、その日に新たに付け加わった仕事もあるにちがいない。
リストができたら、つぎに、その中で今日の内にどうしてもやっておきたい事、やっておかなければならない事を選び出す。それを日誌に書き写す。そして、一日の仕事が終わったら、かえる前に、もう一度日誌の中のTo Do Listを見なおして、やり終わったものには丸印をつける。必要なら、手短なコメント、たとえば「相談の結果、2/14から製造する予定」などと書いておく。こうすれば、一日の終わりに自動的に日誌が出来上がっている。所要時間は、朝の5分と、夕方の5分の、合計10分。簡単である。
To Do Listの具体的な項目や形については、拙著「時間管理術」にも書いたので参照してほしい。ただし、効果的なTo Do Listをつくるには、守るべき原則が4つほどある。それを説明しよう。
(1)一元化すること 何よりも、これが一番大事な原則だ。自分のTo Do Listは、ただ一つに集中すること。やるべき用事が、手帳と、会議のノートと、PCのメモパッドと、e-mailの受信ボックスと、机の上のポストイットと、あれやこれやに散らばっていたら、どこから手をつけていいか自分でも解る訳がない。To Doは必ず一元化しなければならない。
もしあなたがTo Do ListをデスクトップPC上のExcelファイルで管理したければ、それでもかまわない。しかし、そのときは、会議で決まったことやメールで依頼されたことなども、すべてそれに記録しておかなければならない。一つの空港に管制塔がいくつもあったら、パイロットは発狂するだろう。あなたの管制塔もたった一つにしておこう。
(2)先日付のTo Doを書き込める場所もつくっておくこと 用事の中には先日付、たとえば来週の金曜日になってから、はじめればいいと分かっているものもある。こうした先日付の用事を記録しておくためには、あらかじめ向こう数週間か数ヶ月分の記入枠を用意しておき、その該当日付に書き込むようにする。ようするに「
カムアップ・システム」である。この目的のためにも、To Do Listと日誌は統合化するメリットがあるのだ。
(3)中期的なタスクを考えながら、日々のTo Doに落とすこと やるべき仕事の中には、飛び込みの用件や突発事故への対応などのように、あらかじめ予測も予定もたてづらいものがある一方で、中期的な「テーマ」ないしタスクも多く存在する。むしろ、仕事というものは、毎日のイベント・ドリブンな用件を減らして、いかに計画的にすすめていけるようにするかが、大事である。
ただし中期的なタスクそれ自体をTo Do Listにそのままのせるのは、おすすめできない。人間は誰しも、同じTo Doを毎日毎日ずっとながめつづけると、いやになってしまうものだ。たとえば、「主力製品の需要パターンを分析しておく」などといった大きなタスクは、「昨年の製品Bの月別出荷量を調べて表にする」「住宅着工件数との対比でグラフ化する」のように、1-2日で完了できる程度の小さな用事に分解して、順に片づけるようにする方がいい。
(4)優先度は日々見直すこと 私は上記の本の中で、「To Do Listには優先度をつけろ」と書いた。ただし、優先度はずっと固定してはいないはずだ。期日が迫ってくれば(スケジュール上の自由度がなくなってくるため)優先度を上げて仕事をせざるを得ない。客先の要請などの事情で、優先度をかえることも、無論あり得る。
米国のPMコンサルタント、Neal Whitten氏は「能力のあるプロジェクト・マネージャかどうかを見分けるのは簡単だ。
その日にするべき仕事Top 3を聞いてみればよい」といっている。まともなプロマネならば、すぐにきちんと答えられるからだ。仕事のできる人は、やるべき事に適切な優先度をつけている。そして時間を無駄にしない。
時間を大切にし、時間の悩みを取り去るためにも、日誌とTo Do Listを活用しよう。
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