前回の「鯖を読む」で触れたように、予習シリーズ5年上の国語に取り上げられている慣用句やことわざの知識のうち、由来があるものや理科の知識を必要とするものなどについて扱っていきます。今回は、「食指が動く(しょくしがうごく)」です。
シュサイ:「ここに書いてある「食指が動く」って知ってる?」
小5の生徒:「いいえ、初めて聞きました。」
シュサイ:「そうだよねえ。5年生じゃ無理ないよね。まず、食指ってどの指のことだろう?」
生徒:「・・・・・はあ?」
シュサイ:「食指っていうのは、人差し指のことなんだ。昔の中国に鄭(てい >>詳しくはこちら)という国があって、その王様である霊公(れいこう)が、楚(そ)という別の国の王様で、友達だった荘王(そうおう >>詳しくはこちら)から鼈(スッポン >>詳しくはこちら)をもらったんだ。そして、そのスッポンを料理して、自分の家臣にご馳走することにしたわけ。霊公は、家臣たちを驚かせて喜ばせようと思って、きっと用件はまったく教えずに、家臣たちを「皆、王宮に来い」、と呼び出した。普通は、急に呼び出されたら、何かあったのかと心配しながら来るでしょ。その中に子宋(しそう)という家臣もいたんだけど・・・・・この子宋という人には面白いクセがあったらしくて、珍しいものを食べることができるときには、その前触れとして人差し指が自然に動いたんだって。さて、王宮に向かう道すがら、子宋は同僚の子家(しか)という人と「自分の人差し指が動いたから、きっと珍しいものが食べられるぞ。」という話をしながら来たわけ。そうしたら、案の定、スッポン料理が出てきたもんだから、子家と子宋は顔を見合わせて笑ったんだ。そして、その様子を見ていた霊公が不思議に思って、何で笑ったのかをたずねたので、子宋は、「実は・・・・・」と話をした。ところが、家臣を驚かせるつもりで呼び出した霊公には、それが面白くなかったんだろうなあ。子どもっぽい話だけど、わざと子宋にだけスッポン料理を食べさせないというイジワルをしたんだ。」
小5の生徒:「ホントに子どもっぽい話ですね。」
シュサイ:「全くだ。ところが、中国という国では、その類のことは、日本人のように笑って済ませない。侮辱されたと思った子宋は、皆の前で、スッポン鍋に指を突っ込んで舐めた後で、怒って帰っちゃったわけ。」
小5の生徒:「どっちも子どもみたい。」
シュサイ:「子どもみたいな王様相手にそんなことしたら、もう火に油を注ぐようなものだから、霊公も子宋を殺そうとばかり怒ったわけだ。それを子家たちが諌(いさ)めた、つまり説得してやめさせたわけ。」
小5の生徒:「そりゃ、止めますよね。」
シュサイ:「ところが、食べ物の恨みは怖いもので・・・・・おいしいものを食べられなかったばかりか、屈辱を与えられたと思っている子宋は、その後もず〜っと、このことを恨んでいて、最終的には謀反(むほん)を起こして、霊公を殺しちゃうんだよ。」
小5の生徒:「ヒエ〜〜。ありえない。」
シュサイ:「食指が動く(>>詳しくはこちら)という言葉は、最初は食欲が起こるという意味で使われるようになって、その後に、ものを欲しがったり、興味や関心が湧くという意味に使われるようになったんだけど、その由来にはこんな話があったのさ。」
小5の生徒:「他にもあったら教えてください。」
シュサイ:「たくさんあるから、少しずつ勉強していこう。じゃあ、今日はここまでね。」
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2008年07月31日
今日の教養:「食指が動く」
posted by 主宰 at 10:00| Comment(0)
| 今日の教養
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