2012-05-18(Fri)

タクシー「免許制」復活案 悪しき流れ転換のチャンス

規制改革に逆行の恐れ」・・・・何を恐れているのか

日経新聞が、タクシーについても記事を書いている。
民主党が準備しているらしい、タクシー「免許制」復活案について
規制改革に逆行の恐れ」などと。

高速ツアーバス事故の社説でも、
「『規制緩和が泥沼の価格競争を招き、安全軽視につながった』という見方は一面的である。」
と、「規制緩和」は悪くないと主張している。

元日経記者のブログ「タクシーを語る」が、
規制緩和が絶対善なんて、いつまで思い込んでいるのでしょうか。
ほとんどイデオロギー新聞になってしまい、OBとして残念でなりません。
その規制緩和で現実に何が起きたのか。理屈が先行して現実を見なくなったら新聞記者は終わりでしょう。」
と指摘しているが、全くその通りだと思った。

タクシー分野で、なぜ、規制を強化しなければならないか、
09年の法改正の時にも議論された。
参考に当時のブログを紹介する。

<参考>
2009-06-20(Sat)
タクシー規制強化法成立  全会一致  規制緩和を転換
自公政権が進めてきた規制緩和路線の流れを規制強化・安全優先に転換する第一歩
http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-627.html

2009-06-10(Wed)
タクシー法案・衆院委員会通過 野党案取り入れ政府案を修正議決
画期的な出来事 「運賃ダンピング」規制を取り入れ、需給調整規制等を検討条項に
http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-604.html

タクシーを語る
http://footcall.blog24.fc2.com/






日経新聞 2012/5/12 1:30
タクシー「免許制」復活案 規制改革に逆行の恐れ
民主が検討
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E3E2E1E68DE3E3E2E7E0E2E3E09797E3E2E2E2
 タクシー業界の規制を強化する動きが再び浮上してきた。民主党は供給過剰による競争の激化を抑えるため、2002年に撤廃した需給調整制度を復活させる新法案を検討。今国会への提出を目指して調整に入った。国主導でタクシーの台数制限に乗り出す内容で、サービス競争を促してきたこれまでの規制改革の流れに逆行しかねない。
 民主党が検討する新法の名称は「一般乗用旅客自動車運送事業法」(仮称)。議員立法で今国会への提出を目指す。11日までに分かった法案の原案によると、国が需給バランスを調整する「免許制」を約10年ぶりに全国で復活させることが柱になっている。安全性など一定基準を満たせば新規参入が可能な現行の「許可制」から規制を強化することになる。
 法案では運賃の設定についても規制強化を検討している。国土交通相が営業区域ごとに示した範囲内で運賃を設定する規定を盛り込むことで、これまでの弾力的な料金設定に制約を設ける。
 もともとタクシー業界では政府による需給調整制度があり、新規参入のハードルが高かった。このため02年の規制緩和で調整制度をやめて異業種参入や増車を進め、サービス面での自由競争を促してきた。ただタクシーの台数が大幅に増えた結果、供給過剰による値下げ競争がタクシー会社の経営を圧迫し、安全性が損なわれたのではないかとの指摘もある。
 政府は09年に特定地域で減車を促す特別措置法を施行し、一定の規制強化に乗り出した。特定地域には東京23区など全国約160地域が指定されているが、民主党は環境がなお改善されていないと判断。需給を調整できる「免許制」を全国で復活させることで、国が主導的に関与する姿勢を打ち出す構えだ。
 民主党が再び規制強化に乗り出す背景には、小泉改革路線を否定することで安全確保に重きを置く姿勢を印象づけたいとの政治的な狙いもある。だが政府内では「参入規制の強化がただちに安全性の向上につながるかについては甚だ疑問だ」との見方も多い。
 02年の規制緩和以降、タクシー台数が一気に増えて運転手の歩合制の収入が減ったこともあり、経営が厳しくなった既存のタクシー業者は今回の規制強化を歓迎する可能性が高い。ただ規制緩和で新規参入した業者の中には、自由競争を阻害する規制強化に批判的な声もある。格安料金や介護サービスとの連携などの独自色を打ち出そうとする業者の経営努力をしぼませる恐れもある。

日経新聞 2012/5/12 6:00
タクシーの免許制と許可制
 「免許制」は需給バランスに基づいて政府が事業者の参入を規制するもので、タクシー業界のほか、かつてバス業界でも取り入れていた。これに対し、「許可制」は安全性などの一定条件を満たせば参入できる。バス業界もタクシー業界とほぼ同時期に許可制に移行している。許可制は新規参入を進め、自由競争を促す狙いがある。


ZAKZAK -  2012.05.18
連載:「日本」の解き方
タクシー”免許制復活にみる民主の勘違い
関越道で防音壁に激突し、大破した高速ツアーバス=4月30日、群馬県高崎市【拡大】
 民主党がタクシーの免許制を復活させる新法案の提出を検討していると報じられた。また、先日の高速バス事故を受けて前原誠司政調会長は規制緩和の見直しを指示した。このように規制を強化することで改善されることはあるのか、そして得をするのは誰なのか。
 交通分野での規制緩和は先進国に多くの例があるが、日本での取り組みは遅れ、1996年末の段階で当時の運輸省がようやく発表し、98年度からの3カ年計画である第2次規制緩和推進計画に盛り込まれた。
 貸し切りバスが先行して2000年2月に、乗り合いバスについては02年2月に、需給調整規制の廃止等を内容とする改正道路運送法等が施行された。タクシーについても02年2月に規制緩和された。
 これらにより、事業の参入については、需給調整規制を前提とした免許制から、輸送の安全等に関する資格要件をチェックする許可制へ移行し、運賃制度についても、事業者の創意工夫により多様な運賃を設定することが可能となった。
 あまり知られていないことだが、免許制と認可制は安全面での行政実務としてはあまり大差ない。国が需給バランスを調整するという点が異なるだけだ。
 民主党は、国による需給調整を復活させ、運賃の設定についても規制強化を検討している。国土交通相が営業区域ごとに示した範囲内で運賃を設定する規定を盛り込むようだ。
 民主党の政策には、政府が需給調整できることや価格を適切に設定できるということが前提にある。一方、他の先進国の規制緩和では、政府にはこうした調整ができないので市場に委ねるが、安全面だけはチェックするという考えが背景にある。
 小泉政権の時には、そうした先進国の流れに従い、安全性を考慮しながら、市場での競争成果を得ようとしていた。
 民主党の成長戦略にも、政府が成長産業を選び出せるという前提がある。こうした政府が全知全能であるという前提は、経済学ではハーべーロードの前提といい、あり得ないものとされている。
 ハーべーロードの前提に立った需給調整や産業政策をやってみても、官僚その他の既得権者を潤すだけのレント・シーキング(特殊利益追求)を生むだけとされている。参入規制によって超過利潤が発生して、それを既得権者で分け合うわけで、社会的には資源浪費である。
 私はかつて公正取引委員会事務局に勤務していたが、そうした実例を多くみてきた。政府は09年に一定の規制強化を行った。それでどの程度安全になったのかを定量的に示す必要がある。その上で、レント・シーキングによる資源浪費も明らかにして、国民の判断を仰ぐべきだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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