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千葉で断水相次ぐ 順次給水再開へ
5月19日 23時28分

千葉で断水相次ぐ 順次給水再開へ

利根川水系の浄水場で国の基準値を超える化学物質のホルムアルデヒドが検出された問題で、千葉県内では、浄水場が取水を停止したため5つの市で一時33万世帯余りが断水しました。
現在も取水を停止している浄水場は1か所だけで、4つの市では順次、給水が再開されています。

利根川水系の群馬、埼玉、千葉県にある6か所の浄水場では、18日から19日にかけて、処理を済ませた水道水から国の基準値を超える化学物質のホルムアルデヒドが検出されました。
この影響で、千葉県の3か所の浄水場で取水が停止されたため、柏、野田、流山、我孫子、八千代の5つの市で、水道水の供給に支障が出て、19日夕方には合わせて33万世帯余りが断水しました。
その後、2か所の浄水場は取水を再開し、取水を停止しているのは野田市の「上花輪浄水場」だけとなっています。
これを受けて、流山市が午後7時30分から各家庭への給水が再開したのに続き、午後9時半には柏市と我孫子市も給水を再開しました。
また、八千代市でも、午後11時に給水が始まりました。
しかし、いずれの市でも、地域や世帯によっては、水が出にくいなどの影響が残っているということです。
一方、断水が市内全域のおよそ5万4000世帯に及ぶ野田市では、給水の再開は20日午前4時ごろになる見通しだということです。
千葉県の森田知事は、こうした地域の給水に当たってもらうよう、自衛隊に災害派遣を要請しました。
また、ホルムアルデヒドは、川の中に流れ出たなんらかの化学物質が浄水場の塩素と反応して生成された可能性があり、埼玉県と群馬県では、利根川の上流を遡って調査を行い汚染源の特定を急いでいます。

各市の給水対応

断水により千葉県内の自治体は給水所を設けて対応しています。

柏市

柏市は、市内16か所に給水所を設けています。
▽県立柏の葉公園▽田中中学校▽西原小学校▽松葉第一小学校▽柏中学校▽柏第二小学校▽旭小学校▽関場町の防災備蓄倉庫▽柏第三小学校▽増尾西小学校▽柏第四中学校▽酒井根小学校▽藤心小学校▽東部消防署逆井分署▽高田小学校▽二松学舎大学柏高校の16か所です。

野田市

野田市です。
▽中根配水所と▽東金野井浄水場の2か所に給水所を設けています。
さらに、新たに4か所を設置することを決めました。
新たに設置する給水所は、▽南部中学校▽野田市役所、▽野田市春日町16の1の北コミュニティセンター、▽野田市東宝珠花237の1の「いちいのホール」の4か所です。
いずれも、午後8時半から給水開始です。
野田市では断水の解除が20日午前4時ごろになる見込みで、それまでの間、給水を続けるということです。

我孫子市

我孫子市は、▽手賀沼公園の西側駐車場の隣にある敷地と▽中央学院大学総合グラウンドの入り口付近▽我孫子市水道局の3か所に給水所を設けています。

流山市

流山市は、午後4時に市内4か所に給水所を設けました。
▽江戸川台東1丁目にある江戸川台浄水場、▽西初石5丁目にある、おおたかの森浄水場、▽名都借395にある東部浄水場、▽西平井1490にある西平井浄水場です。

八千代市

八千代市は、市内の7か所に給水所を設けています。
▽村上中学校、▽新木戸小学校、▽大和田小学校▽萱田小学校、▽阿蘇小学校、▽むつ浄水場、▽上下水道局です。

“塩素投入でホルムアルデヒド生成か”

利根川水系から取水している浄水場の水道水から化学物質のホルムアルデヒドが検出された問題について、専門家は「川の上流でホルムアルデヒドのもととなるなんらかの物質が大量に流され、浄水場で塩素を投入する過程でホルムアルデヒドが生成された可能性が高い」と指摘しています。
国の基準値を超えるホルムアルデヒドが浄水場の水道水から検出されたことについて、水道工学が専門の東京大学大学院の滝沢智教授は、「浄水場で塩素を添加したものと、していないものの両方の水質を調べて、塩素を添加したものだけからホルムアルデヒドが検出されている。川の中に流れている物質はホルムアルデヒドそのものではなく、塩素と反応することでホルムアルデヒドを作ってしまう物質ではないか」と指摘しています。
さらに、広い範囲で国の基準を超えるホルムアルデヒドが検出されたことについて、滝沢教授は、「利根川は大きな河川で、僅かな量であれば希釈されてしまうため、もともと流れ出した汚染物質もそれなりに多い量だったと推定される。塩素は非常に酸化力が強く、塩素と反応することでいろいろな物質からホルムアルデヒドが出る。一日も早く原因物質を特定する必要がある」としています。

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