神戸を舞台に戦時下を生き抜いた一家を描く映画「少年H」(来夏公開)で、兵庫県内でのロケ撮影が19日、加古川市加古川町本町のニッケ社宅で始まった。撮影現場は昭和初期の町並みが残り、主演俳優の水谷豊さんは「物語の舞台となった兵庫に来て、気持ちが新たになった」と語った。
原作は神戸市長田区出身の舞台美術家・エッセイスト妹尾河童さんが書いた自伝的小説。映画では少年Hの父親(水谷さん)を主人公として描く。母親役は妻の伊藤蘭さんで、2人は結婚後初共演。伊藤さんは「ここの空気を吸うことが芝居の糧になる」と話した。
同社宅は日本毛織が1899(明治32)年から昭和初期にかけて造成した歴史的建築群。家屋内部を使った場面のほか、長屋の壁に当時を思わせるポスターを張った街頭撮影もあった。
現場を訪れた妹尾さんは「これまで映画化を断ってきたが、水谷さんならいい映画にしてくれるはず」と太鼓判を押した。20日以降も神戸市内などで撮影がある。(金川 篤)
(2012/05/19 20:24)
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