野田政権は21日、今年度の国家公務員給与について、平均0.23%引き下げを盛り込んだ人事院勧告の実施を事実上見送り、平均7.8%下げる特例法案の成立を図る方針を固めた。法案は東日本大震災の復興財源を確保する目的で6月に国会提出しており、今国会中の成立を目指す。
人事院勧告は、国家公務員の労働基本権制約の代償措置で、実施をすべて見送るのは、財政難で給与引き上げ勧告の実施を見送った1982年以来となる。人事院は「勧告を尊重しないと憲法違反の可能性がある」(幹部)と、なお抵抗する構えだ。
藤村修官房長官、川端達夫総務相らが21日午前、首相官邸で梶田信一郎内閣法制局長官と会談し、特例法案の正当性を確認した。法制局長官は「国の厳しい財政状況や大震災に対処する必要性から臨時の特例措置として行うもので、人事院勧告の不実施が直ちに憲法の趣旨に反するとは言えない」との見解を示した。政権はまた、大幅引き下げの特例法案が人勧引き下げ分の内容を含むとの見解もまとめた。これらの方針を28日にも閣議決定する。