沖ノ鳥島は、南北1.7キロ、東西4.5キロの大きさのサンゴ礁で、満潮時にはほとんどが海中に沈む。このように人間が住むことができない岩は、国連海洋法条約上、排他的経済水域(EEZ)と大陸棚を持つことができない。それにもかかわらず、日本は2008年、国連大陸棚限界委員会(CLCS)に対し、沖ノ鳥島海域をはじめ、周辺7海域、74万平方キロを大陸棚として認めるよう申し立てた。
同委が日本政府の主張を認め、日本本土から1740キロ離れた沖ノ鳥島を島と認める措置を取った場合、日本は沖ノ鳥島周辺の25万平方キロの大陸棚で独占的な開発権を得ることができる。
しかし、同委は、沖ノ鳥島を島ではなく岩だと見なし、周辺の大陸棚で日本の開発権を認めない決定を下した。
同委は今回の決定で、沖ノ鳥島などを除く5海域31万平方キロについてのみ、日本の大陸棚として認定した。
岩にすぎない沖ノ鳥島を島だと強弁する日本政府の主張に対し、韓国よりも強く反発しているのは中国だ。中国は太平洋への進出に絶対的に必要な沖ノ鳥島周辺海域が日本の支配下に置かれることを強く警戒している。
中国外務省の洪磊副報道局長は、同委の議長声明が出された直後の16日、「日本が沖之鳥礁(沖ノ鳥島の中国名)を基点に主張した大陸棚は、委員会で認められなかった。委員会が沖之島礁を島として認めたとの日本の主張には全く根拠がない」と述べた。
韓国政府は沖ノ鳥島問題と直接関係がないが、日本の海洋領土欲をけん制するため、強硬に対応している。外交部(省に相当)当局者は「人類共有の遺産(大陸棚)は共同で享有すべきで、国際海底機関(ISBA)を通じて(利用権を)分け合っている。(日本の主張は)悪い前例になる可能性がある」と指摘した。
日本の無理な主張に対しては、国際社会も批判的だ。外交筋は「日本政府は大陸棚限界委の最終決定が出る前に報道発表で、自分たちの要求が通ったと主張した。国際機関の公正で中立的な判断に影響を与えようとする意図があったのではないかと疑われる」と語った。
とはいえ、日本が今回の決定で31万平方キロの大陸棚を獲得した事実に注目すべきだとの主張もある。日本は資源確保を目的として、大陸棚開発を国家的戦略として推進している。大陸棚の開発権は、鉱物や天然ガスから海の生き物まで幅広い資源の所有権を認めるもので、日本は国連の決定で大きな恩恵を受けるといえる。日本は今後も沖ノ鳥島周辺の大陸棚に豊富に存在するとされるメタンハイドレート、希少資源の獲得を目指す、沖ノ鳥島が島として認められるよう、努力を続けるとみられる。それに対する体系的な対応が求められるとの指摘が出ている。
■排他的経済水域(EEZ)とは
自国の海岸線から200カイリ(約370キロ)以内の水域を指し、水産資源、鉱物資源などを開発する権利がある。
■大陸棚とは
排他的経済水域内の海底を指すが、国連海洋法条約に基づき、海底の地殻が陸地と同じ地質であることを証明すれば、最長で350カイリ(約650キロ)まで延長し、海底資源を開発することが可能だ。