グローバル経済がユーロ圏の危機に足を引っ張られている。大規模な預金引出し(バンクラン)の波がギリシャを越え、スペインにまで襲う兆しが見えると、世界の金融市場は軒並み乱高下し、特に、国内金融市場は「パニック(恐怖)」ともいえるほど、過度に敏感に反応した。政府は、「行き過ぎと言われるほど、安全網を構築している」と鎮火に乗り出したが、市場の混乱は当面続くものと見られる。
18日、ソウル証券市場での総合株価指数(コスピ)は62.78ポイント(3.40%)急落の1782.46で取引を終え、昨年12月20日(1793.06)以来初めて1800ポイント台を割り込んだ。コスピは5月に入り、199.53ポイント(10.06%)も急落し、計115兆ウォンの時価総額が消えてしまった。外国人らは同日、4349億ウォン分を投売りするなど、今月だけでも13取引日連続の売り越を記録し、計3兆1609億ウォンを売りつけた。日本(マイナス2.99%)、台湾(マイナス2.79%)、香港(マイナス1.74%)など、アジア証券市場も軒並み下落した。これに先だって17日(現地時間)、英国やドイツ、フランスなどの欧州所要諸国の証券市場が軒並み1%以上急落した中、米ダウ指数も1.24%下がった。
ソウル外国為替市場での対ドルウォン相場は1ドル=9.9ウォンウォン高ドル安の1ドル=1172.8ウォンで取引を終えた。為替相場が5月だけでも1ドル=42.8ウォンウォン高ドル安が進み、米国債格下げを招いた昨年8月の1ヶ月間のウォン高ドル安幅(12.3ウォン)の3倍を上回っている。急激なウォン高ドル安は、輸出価格の競争力には役立つものの、グローバル景気が低迷から脱することができなければ、輸出増大の効果より、輸入物価や原油導入価格の上昇のような悪材料が膨らみ、国内経済には悪影響を及ぼすものと懸念される。
政府は外貨保有高が豊富であり、銀行圏の外貨流動性危機の兆しが見えないなど、経済ファンダメンタルは何時になく頑丈なものの、不安心理が実体経済へと広がることを積極的に食い止める方針だ。企画財政部の朴宰完(バク・ジェワン)長官は、「様々状況に備えて非常計画を立てており、過度に敏感に反応する必要などない」と強調した。金錫東(キム・ソクドン)金融委員長も、「昨年、貯蓄銀行の構造調整や外貨安定性確保、金融危険の健全性強化に力を入れ、市場への影響を最小限に止める装置を十分に確保している」と主張した。
実際、国内の外国為替事情は、1997年の通貨危機や08年のグローバル金融危機時に比べ、大変良好な状態だ。4月末基準の外貨保有高は計3186億ドルと、金融危機後引き続き、「3000億ドル+アルファ」を維持している。経済危機の「引き金」と指摘されてきた短期外債は、昨年末基準で計1361億ドルと、総外債(3984億ドル)の34.2%に過ぎない。01年以降10年ぶりの最低水準だ。
また政府は、通貨スワップ(相互の通貨を交換する取引)契約規模を、昨年11月に日本とは130億ドルから700億ドルに、中国とは1800億人民元から3600億人民元へとそれぞれ増やした。10〜11年に相次いでまとめた外貨健全性3種パッケージ(外国人の債券投資への課税、マクロ健全性負担金へ賦課、先物為替ポジション規制)により、短期資金の流出入の敷居も高くなった。
しかし、金融投資業界では、政府の防御策とは関係なく、市場不安は当面続くだろうと見ている。小規模開放経済の特性上、激しい外部からの衝撃に見舞われるたびに、何時でも揺らぎかねない上、欧州財政危機は、経済と政治とが複雑に絡んでおり、解決策を見出すのは容易でないからだ。ソロモン投資証券の李鍾雨(イ・ジョンウ)リサーチセンター長は、「昨年8月に比べ、恐怖や株価暴落の度合いは弱いが、回復時間はさらにかかるかも知れない」と見込んだ。
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