本当に国民の8割以上が死刑制度を容認しているのか――。かねて「設問が誘導的」と批判がある政府の世論調査について、超党派の国会議員でつくる死刑廃止議員連盟(亀井静香会長)が17日、法務省幹部に改めて考えをただした。幹部は「誘導とは思わない」と説明したが、議連側はなお「世論をミスリードしている」と問題視している。
死刑をめぐる政府の世論調査は、直近では2009年12月に内閣府が実施し、10年2月に結果が公表された。「あなたはどちらの意見に賛成ですか」との問いに用意された選択肢は(1)どんな場合でも死刑は廃止すべきである(2)場合によっては死刑もやむを得ない(3)わからない――の三つ。回答は(2)が85.6%と圧倒的で、政府はこの結果を根拠に「国民の大半が支持している」(小川敏夫法相)としている。
議連の17日の会合では、メンバーから「『どんな場合でも』や『やむを得ない』という表現はあまりにも誘導的。明らかに容認派が多くなる」との意見が相次いだ。一方、同省刑事局の幹部は「複数の専門家に意見を聞いており、誘導とは思わない」と説明。今後、表現を変更しないのか問われたが、「検討する」と述べるにとどまった。
死刑に関する調査は1956年から計9回実施された。94年以降は同じ表現が使われ、「容認派」は94年の73.8%から年々増加している。(田村剛)