神戸市役所が困惑「半年経ったのに・・・」吉本興業さん、震災復興募金のカネはどこへ?

2012年03月26日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 この職員も、公園の使用料を吉本に請求するのは避けたいと言う。

「1m2あたり150円というと、使用料は1万円にも満たない。そんなおカネを請求するなんて、こっちも嫌ですよ。公共用地を開放したのは、神戸市としても何かお役に立てれば、という善意からです。金額の多寡にかかわらず、おカネを請求したら、それは善意ではなくビジネスになってしまいますから」

 かつて大震災に見舞われた自治体として、東北の人たちに何かできないかと特例措置を設けた神戸市だったが、吉本興業が約束を守ってくれないため、善意とルールの狭間で困惑しているようだ。

 神戸市に報告していないということは、集めた募金はまだ、被災地には届いていないのだろうか。「ワンダーキャンプ関西」の募金活動は神戸だけでなく、大阪や京都の各地で行われている。HPによると、〈合わせて約560万円(9月19日16:30現在集計金額)の募金が寄せられました〉そうだが、神戸市に報告できないのが本当に「経理処理が遅れている」という理由なら、大阪、京都で集めた募金も被災地に届いていない可能性がある。

 吉本興業の社員が言う。

「震災直後に吉本が主催した『沖縄国際映画祭』でも9400万円の義援金を集めたと報道された。それなのに『ワンダーキャンプ』の募金額がまったく報道されないので、我々もおかしいと思っていました。社風として、そうした成果は積極的にマスコミにアピールするはずなので(笑)。

 社員の中には『まさか会社が募金を懐に・・・・・・』なんて悪い冗談を言う人もいます。さすがにそれはありえないと思うけど、こんな流言が飛び出す背景には、昨年9月の中間決算で15億円の赤字を計上した会社の財務状況に対する不安がある。このままでは3月末に締める2011年度決算でも、2年連続の大赤字になるのは確実です」

 吉本興業に取材をしたところ、回答しなかった。その代わり、というわけでもないのだろうが、神戸市からこんな続報が届いた。

「偶然だと思うんですが、先ほど吉本さんから、『まもなく報告します』と連絡がありました」

 今度こそ約束が果たされるといいが。

「週刊現代」2012年3月31日号より

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