経済の死角

神戸市役所が困惑「半年経ったのに・・・」吉本興業さん、震災復興募金のカネはどこへ?

2012年03月26日(月) 週刊現代
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再三、催促しているのに

「決められたルールはきちんと守っていただきたい。吉本興業さんにはそう言いたいですね」

 そう語るのは神戸市役所のある職員。いったい、何が起こったのか。発端は半年前までさかのぼる。

 昨年9月17日~19日、「よしもとワンダーキャンプ関西」というイベントが関西各地で大々的に行われた。吉本興業のHPではこう説明している。

〈〝みんなを、笑いでつなごう。〟をテーマに、在阪民放5局と吉本興業がタッグを組み、京都・大阪・神戸という広範囲で繰り広げられる東日本大震災の被災地へのエールを込めた大規模イベントです〉

〈各会場には募金箱を設置、芸人による募金活動を行い、被災地を応援します〉

〈会場・メディアを通じて日本中に笑顔と元気をお届けします〉

 得意の笑いを届けながら募金活動もやるという、大変結構な趣旨のイベントだったのである。

 募金には特に力を入れていて、「ラフ(笑い)&ピース隊」通称ラフピー隊なるものを結成、17日に大阪で4ヵ所、18日に京都で2ヵ所、最終19日は神戸で3ヵ所に「ラフピー隊募金基地」を結成し、芸人と有志の一般人が一体となって募金を集めた。

 問題は最終日の神戸、市役所の隣にある東遊園地という公園を舞台に起きた。そこは3ヵ所ある募金基地の一つだった。前出の市役所職員が語る。

「神戸市役所の南に隣接する東遊園地の一角で、9月19日に募金活動を行いたいと、吉本興業から事前に申請がありました。当日を含めた4日間のチャリティイベントの一環だときいていました(実際は3日間)。

 本来、神戸市が管理する公共用地などで募金活動を行うことは、公共団体や公益団体を除いて禁止しています。しかし、東日本大震災が発生して以来、個人や一般企業、団体などから『募金活動を通じて被災者を支援したい』『公共用地でも募金ができるようにしてほしい』との要望が多数、寄せられました。

 周知の通り、神戸市は阪神大震災の被災地であり、これまでに全国から多大なご支援をいただいてきました。ですからこの際、恩返しの意味も込め、東日本大震災の被災者支援を目的とした募金活動に限って、公共用地の使用を認めることになりました」

 役所にしては珍しい「特例措置」。しかも、本来なら1m2あたり150円徴収する場所代も無料にすることを決めた。ただ、公共用地である以上、怪しい団体に利用されてはいけないと二つの条件をつけた。

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