牛生レバー:「禁止は過剰介入」と業界反発

毎日新聞 2012年05月20日 08時00分

 厚生労働省が7月1日から提供禁止に踏み切る方針の牛生レバー。昨秋の生牛肉全般(内臓除く)に続く規制強化について、同省は「安全が最優先」と強調する。しかし、生肉のリスクは周知の事実だけに、焼き肉店など食肉業界は「何を今更。食文化への過剰な介入だ」と反発、見直しを訴え続ける構えだ。

 契機はチェーン店「焼肉酒家(やきにくざかや)えびす」の集団食中毒事件。厚労省は原因の腸管出血性大腸菌が牛から多く検出されることなどに注目し、昨年10月、牛生肉表面の削り取り(トリミング)や専用加工設備の確保を業者に義務づけ、営業停止処分など罰則も盛り込んだ。通常1年程度かかる制度改正が異例のスピードで進んだ背景には政府の意向もあった。

 この過程で問題になったのが生レバーだ。内臓以外の生牛肉による食中毒は98〜10年に5件しかないのに、生レバーは同じ期間で116件も発生。改めて調べると、腸管にしかいないとされていた病原性大腸菌O157が肝臓内部でも確認され、提供禁止は不可避との判断に傾いた。「生産者への打撃や『食べたい』という消費者の気持ちも分かるが、食の安全が最優先される時代になった」と厚労省幹部は語る。

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