現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ニュース
  3. 文化
  4. トピックス
  5. 記事
2012年5月18日10時17分

印刷印刷用画面を開く

mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加

ロマンポルノ名作、34本一挙上映

写真:「ラブホテル」(c)日活拡大「ラブホテル」(c)日活

 1970〜80年代の日本映画を語るのに欠かせない日活ロマンポルノ。成人映画として不当な評価も受けてきたが、自由な発想で数々の名作が生まれた。約700本の作品群から、映画評論家の蓮實重彦、山田宏一、山根貞男の3氏が選んだ34本が、東京・渋谷のユーロスペースで上映されている。

 50〜60年代の日本映画は大手5社がそれぞれ撮影所を持ち、専属の監督や俳優を抱えて作品を量産した。ところがテレビに押され、70年前後に自社製作から基本的に撤退。成人映画路線に転換した日活だけが、従来の撮影所システムを維持した。

 性的な場面さえ入れておけば比較的自由に撮れたため、男女の愛憎を斬新に、深く掘り下げた作品が現れた。その中から「赫(あか)い髪の女」の神代(くましろ)辰巳や「実録阿部定」の田中登らの才能が開花。根岸吉太郎や相米慎二ら80年代以降の日本映画を支えた監督が育った。

 山根さんは「埋もれた作品も積極的に選んだ。今回が偏見なく見られる初の機会では。これを入り口にもっと見てほしい」と話す。日活によると、女性専用シートを設けた効果もあり、女性客が3割を占めるという。大阪、京都、名古屋、広島、福岡、大分、那覇の上映も決まっている。

■「時代変わりうれしい」

 アナーキーな喜劇から叙情豊かな恋愛ドラマまで幅広い作風で、日活ロマンポルノの中核を担った曽根中生(ちゅうせい)監督(74)。今回は5本が上映される。「エロ映画と言われた時代から考えると、本当にうれしいですね」

 かつては撮影所が学校だった。助監督時代は主に鈴木清順監督に付き、監督デビュー後は若手を数多く育てた。「助監督の相米に『何でそんな芝居をつけるんですか』と怒られてね。彼の思うようにやらせた。すると『ああ、やっぱりつまらないですね』って」。

 男性客の性的満足を意識して撮ったことはないという。「僕は映画を作っていた。自分を曲げて観客におもねると逆に客を呼べなくなる。何か一つでも自分のやりたいことをやる。そのあたりは清順さんの影響だと思います」(石飛徳樹)

PR情報
検索フォーム

おすすめリンク

初心者でもすぐ使えるデザインノウハウを基礎から応用まで300枚以上の作例と共に紹介・解説。

直木賞作家、村松友視氏の作品を集めました

ニコニコ動画で新しい文化を創造しつつある会社・ドワンゴは、いかに生まれ、育ってきたか?異能たちが織りなすビジネス群像劇

座敷わらしを知らない子どもたちに向けて『愛しの座敷わらし』の著者が書き下ろす、心温まるオリジナル絵本

女性のみずみずしい感覚を描く作家として人気の江國香織さんの関連書籍

復帰前後の出来事や風景を沖縄タイムスが撮影した写真で振り返る。


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介