完全自殺マニュアル


熊編







 苦痛 ● ● ● ● 
 手間 ● ●   
 見苦しさ ● ● ● ● 
 迷惑 ● ●   
 インパクト ● ● ● ● 
 致死度 ● ● ● ● 



子グマにかみ殺されて死んだ女性


89年2月夜7時ごろ、61歳の主婦が自宅から約1時間半ほどの、熊本

県阿蘇町にある阿蘇クマ牧場十二支苑内の子グマ舎へ飛び降りて自殺

した。

ドスーンという音を聞いた飼育係が駆けつけると、柵から2.5m下の子グ

マ舎では、68頭のクマが黒山のように1ヶ所に群がり重なりあっていた。

消火器でクマを追い払うと、白い粉のなかから人の姿が浮かんできた。

死体はすでに子グマに食い荒らされており、内臓はすっかりなくなって、

胃から腸にかけてポッカリと大きな穴が開き、手や足など全身の数ヶ所に

クマに食いちぎられた跡があった。衣服はズタズタに引き裂かれ、裸同然

で、右目は飛び出していた。

彼女は熱心な仏教の信者で、以前から「自分は悪魔の世界に落ちる」

「人間は死んでも魂は生き残る」などと語っていた。昼すぎに家を出るとき

には「私はあの世に行くように言われている」と言い残し、夫宛に遺書も

残していた。近所からは変わり者と見られていた。

この女性は以前に「トラに食べられて死にたい」などともらしていたことか

ら、クマ舎の隣にあるトラの檻に入ろうとしたが、鉄格子がかかっている

ため入れず、代わりに隣のクマ舎に飛び込んだとも噂されている。


チェック!


動物に食べられて自殺するという、意表を突いた方法だ。しかし動機に宗

教的なものが感じられ、あまりにも現実離れした死に方であるため実践

的な死に方の参考にはならない。しかもこの方法は苦痛も大きく、死体も

無惨で、死ねる確実性も薄いことから、まったく薦められない。

あまりにも突飛な手段なので注目度が高い点と、動機が宗教的なもので

あるため神秘的な臭いが漂うところが数少ないメリットである。