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ドキュメント轟さん 〜ラスト・ワルツ〜
職人という定義はむずかしい
ボクは職人というものに憧れて
必死で突き進んできたら
商人になっていた
まったくの反対側だ
それでも自慢出来るほど数々の職人や
天才に会ってきた
本当の職人というものを目の前にして
生きる道を探して商人になったのか
商人でいられたからこそ
天才たちに会えたのかはもう解らない
そんな職人もほとんどいなくなった
人生をかけてまで
やり尽くせる仕事を見つけられたボクは
恵まれていると思う
生きる糧や土台作りばかりに
ここ数年間チカラを注いできた
商人になることで道を見つけてきた
ボクの頭のなかには
しっかりとした理想の靴が出来上がっている
出会ってきた先輩たちにたたき込まれた
もう一度理想の靴を
追い求めようと思う
ボクなりのアプローチで
職人を目指そうと思う
たった10日間だけだったけど初めて人に来てもらい、作業分のお金を払ったのは彼が初めてだった
27歳のボクにとって当時の事務所の家賃よりも高い金額を人に払うなんて想像も出来なかった
いくら徹夜をしても終わらない仕事と孤独の中で人を使うっていう新しい定義を教えてくれた
一年ぶりに彼にあった
彼は少し小さくなっていた
数年前にボクがユニクロで買ってあげた
ブルーのダウンとシャツを暖かそうに着ていた
彼は生活保護を受けるらしい
彼の生活を考えて
少し裏から手を回して
生活保護を取れるようにした時も
頑なに断った
”まっすぐ道を歩けなくなる�瓩辰討�
浅草は借りと恩の駆け引きで
いろいろなものが手に入る
ギターを無くしたロバート・ジョンソンは
ただのならず者
ボクにとって彼は青春だった
ギターが弾けない彼だけど
素敵な音の出し方を教えてもらった
彼の独特な型紙が好きだった
きき手の左手がずっと震えていることを
もう隠さなくていいよ
轟さん…
この名は世界にとどろかない
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