　競技ゴルフを目指すゴルファーには、いま人生二度のチャンスがある。一度は若い時。二度目は５０歳で出場資格が生じるシニア競技だ。

　今年の日本シニアOpenは、１０月２５日から４日間。九州のくまもと中央ＣＣで行われる。９月５日に行われたその東日本Ｂブロック予選で、６０歳のアマチュアが堂々の４位タイで、初の出場資格を得た。

　呉本公太さんは、長野県諏訪市の会社経営者。
　「３０年のゴルフ歴で、初めてシニアオープンの予選に挑んだ理由。それは開催がホームコースだったためです」

　１９６３年開場の諏訪湖ＣＣは、長野県
有数の歴史を誇るコース。呉本さんは、
その諏訪湖ＣＣで３０年ゴルフを楽しみ、
これ迄クラブチャンピオンを八度獲得し
ている実力者。
　１７３センチ、８２キロの偉丈夫だけに
距離も出る。

　「ホームコースの利点もあり、グリーン
上でパッティングラインが、よく読めた」
ことも手伝い、４バーディ２ボギーで２
アンダーを記録。初のトライで日本シニ
アオープン出場と言う金的を射止めた。

　ところで、この諏訪湖ＣＣにはＪＧＡ(日
本ゴルフ協会）及びＫＧＡ(関東ゴルフ連
盟)主催の競技での隠れた実績がある。
それを達成したのは所属プロの福沢孝秋だ。

　ツアープロの中でも、トップクラスの飛距離を持ちながら、芽が出なかった男が４０歳で初優勝したのはＫＧＡ主催の関東オープン。その後、彼は２００２年日本シニアオープンのタイトルも掌中に納めた。

　ことにシニアオープンで優勝した時の開催コースは千葉の我孫子ゴルフ倶楽部。ここは青木功や海老原清治がキャディからプロに成長した彼らの本拠地。
　だから二人はコースは熟知していたし、最終日はフェアウェイ両側がビッシリ埋まるほど地元のギャラリーが詰め掛け、声援した。

　青木については説明する必要がない。一方の海老原は、この頃欧州シニアツアーで賞金一位に就いている。そんなことで福沢にとっては完全なアウェイ。だが逆境を跳ね返し、この時福沢はナショナル選手権のタイトルに手を届かせている。
　その前後に福沢は全英オープンにも出場している。

　「言われてみれば、クラブとしてのその様な伝統が、メンバーの一人（呉本さん)に受け継がれた、とも言えます。
　ホームコースのアドバンテージがあったとは言え、初出場のアマチュアが、プロの強豪を抑え４位タイで本戦出場を果たした。これは諏訪湖ＣＣのメンバーばかりか、県内の多くのアマチュアに具体的な目標を与えたと思う」と、平林平治総支配人は目を細めた。

　翻って海外では、テレビ解説者としても売れっ子のニック・ファルド。５０歳になった彼が初出場した今年の全英シニアオープン(ミュアフィールド）は、トム・ワトソンが優勝した。彼の場合レギュラーツアー時代にも全英オープンで５度優勝してる。
　「リンクスゴルフの王者」健在を示したワトソンも、然し現在５８歳。それでも５０歳以上の競技では、依然頂点に立ち続けている。

　米国やスコットランドから日本迄、いま二度目の青春を満喫しているゴルファアーは、世界に溢れている。