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「Mashup Awards 7」から生まれたIT業界を盛り上げる女子コミュニティ「MUP48」と、Tech総研が開催するIT女子会の第二回!今回は勝間和代さんをゲストに迎え「キャリアを支えるSNS」をテーマに盛り上がった。
(取材・文/ぱうだー 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡)作成日:作成日:11.12.07
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ソーシャルメディアの一般化で、IT業界で働く女性が組織の枠を超えて、ゆるやかにつながる機会が増えてきた。SNSを使ってキャリア形成や人脈作りを行うIT女子も少なくない。今回のIT女子会はゲストに勝間和代さんをお迎えし、「女性のキャリアを構築する、ソーシャルメディアの効果的な使い方」について、講演会や座談会を開催した。
私は中学生の時、数学研究会に入っていました。慶応の附属だったので、隣にある大学の校舎にあるコンピュータ室まで行くんですが、当時はまだパソコンじゃなくてマイコン。パンチカードの時代でした。Basicが出始めの頃で、主力の言語はCOBOLとFORTRAN。高校でやっとTSS(タイムシェアリングシステム)、今で言うクラウドに近いものが出始めて、メインコンピュータにつながった端末でLISPのプログラミングもしていました。PCは8001、8801と使っているうちに、大学で9801になり、C言語が登場してきた頃。C言語でプログラミングしているうちにアプリケーションが増えてきて、自分で組むことが減っていきましたが、中学・高校・大学時代はコンピュータに夢中の日々でした。
経済評論家
勝間 和代さん |
大学卒業後、会計士は性に合わなくて半年で辞め、システムコンサルティング部門でコーディングを担当することになりました。Macintoshのツールを使ってゴルフ場のDBをインタラクティブにプレゼンする資料を作ったり、アキバでバーコードリーダーを買ってきて、98で動く「桐」というソフトでDBを構築していました。今から20年くらい前になりますが、これが私のIT女子の始まりだったと思います。 その後、金融業界に移ることになったのですが、ITの知識や経験はいろんな面で大きな強みになったと思います。私の再就職は第二新卒扱いだったのですが、当時外資の金融は人気が高くて1人の募集に数十人とか、数百人の応募がありました。入社後、人事に私を採用した理由を聞いたところ「システムの資格を持っている人は、めったに金融に来ないから」でした。 当時デリバティブ部門では、まだExcelが今ほど普及していなくて、みな関数電卓で一生懸命計算していました。そこで私がExcelでマクロを組んで、ボタンひとつでシュミレーションできるようにしたら周りに驚かれまして(笑)。会場にいる皆さんならよくお分かりだと思いますが、こういう風にIT女子が重宝される場面ってありますよね。私の経験だと本業がITじゃないところでITを知っていると、大事にされることが多いですね。本業の方が見ると私のコードは汚くてめまいがするらしいですが、そうじゃない人には分かりませんから(笑)。 |
SNSと聞いて思い浮かぶのは、1997年10月に私がコーディングして作ったワーキングマザーのための「ムギ畑」というコミュニティです。当時は意識していませんでしたが、一人ひとりがアカウントとプロフィールを持ち、ユニークにつながっているのはまさにSNSだったと思います。いま私がTwitterやFacebookといったソーシャルメディアを活用できているのも、「ムギ畑」の経験があるからといえます。
「ムギ畑」では、たくさんの収穫がありました。子育てに関するノウハウだけでなく、先輩からの転職アドバイス、子供を育てながら大学院に行くヒント、転職先の紹介など。草の根的な知恵が集まって、メンバー同士の信頼関係を築ける場でした。後から「あなたもムギ畑の人だったの?」と知ってびっくりすることもあったり(笑)。
「ムギ畑」で学んだことに、会社経営があります。コミュニティ内で私は社長もどきで、会社経営の基本をやっていました。「ムギ畑」のミッションステートメントや、規則・権利・運用を考えたり、トラブル時は広報対応もしました。20代後半〜30代前半に、こうした社長の模擬体験をできたのは、自分のキャリア形成に大きく役立ったと思います。ビジネスでSNSを活用したいと思ったら、皆さんにもぜひリーダーシップをとっていただきたいですね。そして直接いろんな人と会うことを推奨したいと思います。
「ビジネスにSNSが役立つの?」とよく聞かれます。マスメディアで公表されるのはその人のごく一部ですが、SNSならありのままの自分を多面的にみせるセルフブランディングが可能になります。いま私はFacebookページに14000人、個人ページに500人ほどのつながりを持っていますが、自分が困った時に支えてくれるのは後者の500人。この身近な人達に定期的に情報発信し、つながり続けることでお互い助け合うのは、キャリア形成上とても有効なことだと思います。
SNSは人のつながりの増幅器。人は実力が5%、運が95%で、運は「人のつながり」だと思います。SNSに積極的に参加して、いろんな人とつながりながら自分を知ってもらう。また他の人がやっていることに興味を持ち、応援したり、一緒に活動したりする。こういう「GIVE」を重ねて誰かをお手伝いすることで、みなさん自身に運が返ってくることがあるかもしれない、そう思っています。人とつながるSNSは運をよくするツール。ぜひIT女子のみなさんにも、積極的に活用してほしいですね。
続いて、勝間和代さんを囲んで、ソーシャルメディアをキャリア形成にどう活用していくかをテーマに、座談会を行った。ビジネスに直結するSNSの活用術、ビジネスとプライベートの切り分け、人とのつながり方などについて、ユーモアも交えた議論となった。
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勝間 和代さん |
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モデレーター:三橋 ゆか里さん |
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パネラー:奥田 浩美さん |
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パネラー:仲 暁子さん |
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パネラー:石川 春奈さん |
三橋 |
前回の座談会で、広瀬さんは勝間さんのアドバイスでTwitterやFacebookを始めたと伺いました。 |
勝間 |
そうなんです。ちょうどあの時広瀬さんはホームページを立ち上げたばかりで、「Twitterやってみたら?」と言ったら、最初は無視でした(笑)。それなのに気付いたら知らないうちに始めていてびっくり。SNSの概念の説明には苦労しましたが、広瀬さんはのみこみが早かったですね。これまでITに接していないからこそ、一生懸命勉強したと思います。広瀬さんのおかげでTwitterやFacebookはかなり広まったのでは? 私はコンサルタントなので、元々人のお手伝いが好きなんです。新しいビジネスモデルをつくって、その行く末を見守る。広瀬さんならキャリアや音楽づくり、社会とのつながりにもSNSを活用できるのでは?と思いました。こうして今、彼女がソーシャルメディアで活躍しているのは、本当にうれしいです。 |
三橋 |
みなさん、仕事でSNSをどう使い分けていますか? |
仲 |
Facebookは情報収集に使っていますね。ベタですが、訪問先の社長のフィードは必ず目を通すようにしています。そうすると話に入りやすい。 |
石川 |
私が担当する新規事業開発は海外のパートナーが多いので、SNSで相手のプロフィールをチェックしたり、共通点を見つけてコミュニケーションで失礼のないようにしています。 |
勝間 |
私はクライアントソフトのHootSuite経由で、情報の投稿先を分けています。個人的にはGoogle+にAPIがもっとあればいいなと思いますが、あれはクローズドな世界ですからね。投稿する内容は、8割コンテンツで2割宣伝を心がけています。私がいま運営しているコミュニティ「勝間塾」では、id、パスワードは渡しますが、プロフィールはTwitterかFacebookに飛ばして、二重化の必要がない設計にしています。 |
奥田 |
私はFacebookが多いですね。Facebookはこれまでカンファレンスでプロデューサーをやっていた私を、黒子から黒幕にしてくれました。FacebookやTwitterを通じて、関係者から感謝の言葉が直接届くようになりました。こうしたつながりはこれまでの20年間の蓄積の上にあります。SNSで見えるのは、自分以上でも以下でもない。力がない人は分かってしまうので、ある意味恐いかもしれませんね。SNSでは仕事だけでも、遊びだけでもないその人の面白さが分かる。私にとっては、「発注」ではなく「この人と仕事をしたい」と思ってもらえる大事な媒体です。 |
三橋 |
SNSがビジネスに直接つながったエピソードはありますか? |
勝間 |
私の場合、集客はほとんどソーシャルメディア経由ですね。最近、勝間塾のメンバー4人でツーリングに行ったんですが、うち2人が「勝間さんはバイク好きだからいい人だと思って勝間塾に申し込んだ」と(笑)。SNSで素が見えると、信頼感が湧くんでしょうね。 |
三橋 |
SNSで人とつながる際に、意識していることは? |
勝間 |
1年ちょっと前、まだ仲さんがFacebookにいる頃に会社にお邪魔したんですが、そこで「友達申請許可は、携帯電話番号の交換イメージで」と教えてもらいました。携帯電話番号を教えてもいい相手なら、許可していいのではということですね。Facebookで友達になるかどうかは、会った回数ではなく、これからも継続的につながっていたいかどうかだと思います。 |
奥田 |
私も同感です。例えば1回しか会ったことがない18歳大学生起業家でも、興味がわけば申請を受けています。次に会いたいかどうかですね。 |
勝間 |
SNSのコミュニケーションでは、たまにdisられることもありますよね(笑)。でもよく知らない人にdisられても関係ない、と思うようにしています。必要であればブロックなど、柔軟性をもってSNSと付き合うようにしています。こういう能力を「スルー力」というらしいですが(笑)。 |
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ソーシャル・リクルーティング
「ウォンテッド」wantedly.com 自分が参加しているイベント、チャリティ活動、起業、勉強会、会社など誘いたい新たな仲間を、ソーシャルの力を使って簡単に探せるサービス。 |
第二回のIT女子会では「IT女子のキャリア形成」をテーマとしたライトニングトークに、MUP48のメンバーが初挑戦。いま活躍中のIT女子が持つ、意外な過去のエピソードに会場が沸いた。IT女子ならではのしなやかなキャリアづくりは、これからの大きな可能性を感じさせるものだった。
「女性がもっと輝ける社会を!」 |
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「Girls be ambitious!」 |
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「Job hopping guide」 |
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株式会社ビズアイキュー
プロデューサー 桂山 奈緒子さん |
熱気あふれる会場では、9月にリリースしたばかりのビジネスSNS「Biz-IQ」(http://biz-iq.jp/)の説明も行われた。Biz-IQは、ビジネスに関わるすべての人のための、会員制ネットワーキングQ&Aプラットフォームで、「会社や組織を超えたビジネスコミュニケーションの活性化し、一人ひとりが豊かに活力にあふれた社会を」というビジョンを掲げている。 Facebookとは異なり、ビジネスに特化したプロフィール・コネクション・情報シェア・Q&Aが特徴だ。ビジネス人脈を一括管理したり、事例収集にも役立つ。壇上では実際にBiz-IQを使ったIT女子たちによるディスカッションも催され、ビジネスSNSへの大きな期待やニーズが語られた。Biz-IQのスマホで使える名刺交換アプリをさっそくダウンロードし、名刺交換をするIT女子もたくさん見受けられた。 >> 講演資料を見る |
株式会社アゲハ取締役 田中里実さん
株式会社リクルート 岩根 敬子さん |
Biz-IQを使った感想を共有するMUPメンバー
田中里実さん、岩根敬子さん、辰巳ゆかりさん |
Biz-IQのコネクション機能がおもしろいです。業種や会社ごとに、人を一覧表示できるのが便利です。Biz-IQで知人の業界に改めて気付くこともありました。ビジネスで困ったことがあったら、Biz-IQで相談してみようと思います
株式会社シータス&ゼネラルプレス 辰巳ゆかりさん
ソーシャルリーダーアプリ「Yomore」(ヨモア)(http://yomore.jp/)のプロジェクトマネージャー。
Biz-IQは履歴書があり会員の身元が明らかなので、安心して仕事の相談ができます。Q&Aコーナーに投稿したら、早速丁寧な回答をいただきました。サービスがローンチして間もない今のうちに、この場で自分の存在感をアピールしておくのもよいかもと感じました。
株式会社リクルート
岩根 敬子さん |
「MUP48」が誕生したのは今年の9月。岩根さんが務める「Mashup Awards 7」事務局では、業界にたくさんいるIT女子を盛り上げよう!ということで、今秋に「MUP48」が発足した。「MUP48」は現在、合計63名で構成されている。今年の「Mashup Awards 7」では「MUP48賞」も新設し、MUP48メンバーが厳選した、女子の心をつかむ作品を表彰する予定だ。MUP48には決まったリーダーはなく、Facebookでメンバー同士ゆるやかにつながりながら、イベントや飲み会などを楽しんでいる。「メンバーはまだまだ募集中。私達と一緒に、MUP48を盛り上げる企画を考えてくれる方、お待ちしています」(岩根) |
第二回のIT女子会イベントも、IT業界の著名人が多く訪れることで有名な六本木のawabarより、たくさんのシャンパンをご提供いただいた。あちこちのテーブルでボトルが開けられるたびに、会場の華やかさが増した。テーブルは、Biz-IQの名刺交換アプリを試したり、自己紹介や歓談で盛り上がる女子たちであふれていた。
今回、女性のキャリアについて数々の提言をしている勝間さんをゲストにお迎えしたこともあり、会場ではIT女子のキャリアについて、フランクに意見交換する人がたくさん見られた。また、これだけの女性同業者が集まる機会が珍しいためか、積極的に名刺交換をして人脈を拡げようとする参加者も多かった。一方、壇上ではIT女子でもある女性起業家の方々が、自社のサービスを思い思いにプレゼンテーションしていた。今回のイベントがきっかけになり、新しいビジネスが生まれそうな盛り上がりを見せる方々も見受けられた。
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