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白頭山、噴火の可能性 巨大地震と相関あり 東北大名誉教授

白頭山山頂に広がるカルデラ湖「天池」(谷口名誉教授提供)

 中国と北朝鮮の国境に位置する白頭山(中国名・長白山、2750メートル)が近い将来、東日本大震災に関連して噴火する可能性があるという研究結果を、東北大の谷口宏充名誉教授(火山学)=宮城県塩釜市=がまとめた。過去1100年間の白頭山の噴火と、海溝型巨大地震の発生年代を分析した。白頭山については、これまでも中国からの情報を基に韓国などで噴火の兆候が報道されているが、日本を襲った巨大地震との相関関係から結論づけたのは初めて。

 谷口名誉教授は研究で、白頭山の噴火が記録または推定されている六つの年代に慶長三陸地震(1611年)、明治三陸地震(1896年)など五つの巨大地震が発生していることを確認した。
 残る10世紀の大噴火についても、貞観地震(869年)との関連性が強いとみており、噴火と巨大地震との間に年代的な相関があるとしている。
 また噴火が起きるという前提で、過去のデータを基に今後の発生時期を予測したところ、2019年までに68%、32年までに99%以上という計算値が出た。噴火規模は火山爆発指数(VEI)で最大5程度となり、1980年のセント・ヘレンズ山(米国)噴火に匹敵するという。
 白頭山が噴火した場合、火山灰が偏西風に乗って日本の東北、北海道に到達することが予想される。さらに白頭山の北西約100キロに位置する中国の赤松原子力発電所(建設中)が火山泥流に襲われる可能性が高く、稼働後に噴火すれば甚大な被害が出ることも懸念されている。
 谷口名誉教授は、1999年から中国と共同で現地調査を行うなど、火山学の立場から白頭山に長年携わっている。
 谷口名誉教授は「東日本大震災の巨大地震による水平地殻変動は中国でも起き、プレートの運動は白頭山にも影響を与えた」と指摘。「もし噴火が起きれば北朝鮮や中国の情勢が激変するだけでなく、日本、韓国、ロシアなど周辺国にも大きく影響する。そのような事態に備えることが必要だと警告したい」と話している。
 研究結果は、23日に千葉市の幕張メッセで開かれる日本地球惑星科学連合の2012年大会で発表される。


2012年05月16日水曜日


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