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 ・浴衣の洗いかたと干しかた  ・日常的なお手入れ(いかにそのへんに丸めておくか) ・本格的なお手入れとたたみかた


本格的なお手入れとたたみかた

シーズンが終わって、着物を来年までしまっておくときの本格的なお手入れと、たたみかたです。
ここはがんばりましょう。ちゃんとお手入れしてたたんでおけば、来年「着ようかな」と思ったとき、すぐに出して気軽に着られるのです。


もくじ

まずキレイにする。
アイロンをかけてちゃんとたたむ
着物の収納
着物の素材いろいろ

ふだんの簡単なお手入れとたたみかたはこちら



 ・まずキレイにする。


着物、一般的に「水洗い」はタブーとなっております。型くずれのもとになるからです。
で、お手入れの基本は、ジミチに水拭きです。

着物のお手入れ
タライにぬるま湯を入れて、あれば日本手ぬぐい、なければタオルを軽くしぼります。
ひたすら拭きます。拭きます。表も裏も拭きます。
エリ、そで、すそ周りは汚れているので念入りに。
キレイに拭いたら干しておきましょう。
終わりです。

しぼって


 ・アイロンをかけてキレイにたたむ


さあたたみましょう。いつかは通らなければならない道です。がんばろう。
まあ、慣れればどうってことはありません。きちんとたたんだ着物は、繊維に負担がかからないからか、なんだか機嫌がいいですよ。

浴衣は少ししめった状態で、普通にアイロンをかけます。
ウールやおかいこの着物は、無防備にアイロン当てるとテカることがあるので、スチームモードにしたほうが無難です。
綿の浴衣はともかく、着物はそんなにシワにならない素材が多いので、温度は低めで大丈夫ですよ。


たたみかた1 1:
まず、図のように景気よくばっと床に広げます。
アイロンをかけるのでアイロン台がいりそうなもんですが、まあ、下が畳の場合は二つ折りのシーツしいときゃ十分です。
ていうか絨毯でやったことないんですが、絨毯だったらアイロン台いるかもしれません。
が、ワタクシ、アイロン台使ったことないのであの段差がある状態でのたたみかたわかりません。すまんです。

座り位置はばってんの位置です。以降座り位置変わらず。
で、全体にざっとアイロンをかけます。面積大きいのと、この時点では立体なので、ちゃんとかけようとするとパニックです。ざっと。
スソとエリの裏側だけはしっかりかけます。
↓赤い線がありますが、「3」の工程で使うので今は気にしないでくださいね。
たたみかた2
2:
座り位置からだと向こう側にあたる、右前身ごろをこっちに折り返してアイロンをかけましょう。
ここでもエリには気を使います。エリ目立ちます。右側なので下の方は隠れますけど。
前身ごろは布2枚でできています。小さい方の布(おくみ)が、大きい方にかぶさるように折られていますので、アイロンは手前から奥にむかってかけます。「おくみ」が「えり」に重なるところ「剣先」がキレイに折れてるように気を付けましょう、目立ちます。
ていうか、もともと折れてるように仕立ててあるので、そんな難しくないですよ。ていねいにやれば大丈夫です。
あと、袖にもアイロンかけます。ちゃんと仕立てたキモノや浴衣は、袖が本体に2ミリほどかぶさってるのですが、ここの折り目が大事なのです。キレイにアイロンかけましょう。
一度袖の上下を手でもってパンパンと引っ張ると折り目がキレイに出ますよ。
一応、↓、「剣先」と「袖の縫い付け部分折り目」の断面図です。
剣先 袖の付け根
たたみかた3 3:
キレイにアイロンかけた右前身ごろを、向こう側に折り返します。
これが、クリーニング屋さんに出すとなぜか「おくみ」の縫い目のところで折られてくるのですが、どう考えてもこれってまちがいですよ。
どこで折るかというと、「エリの付け根からまっすぐ下に」です。図2のした位置です。だってここで折らないとシワになるじゃん。
ワタクシはここから下にまっすぐ折りますが、斜めに折るやりかたもあるようです。まあてきとうでいいんじゃないでしょうか。
で、折り目にアイロンかけます。しっかり折り目つけましょう。
たたみかた4 4:
座り位置から手前にあたる、左前身ごろにアイロンかけます。要領は「2」と同じです。手前だからやりやすいです。袖にもね。
たたみかた5 5:
「3」とおなじようなかんじで折り返します。アイロンで折り目つけましょう。
このとき、左右が完全に対照になるように気を付けて折り返してください。じゃないと後でかなり困ります。
こうやって折り返すとエリの上の方、着ると首の後ろにあたる場所が、図のように下に折れます。

この段階で着物が完全に「平面」になります。そして「着物たたんでる」雰囲気が出てきます。なんか落ち着いた気分。
この段階で 「しわ」が残ってったらミシミシアイロンかけてのばしましょう。この状態が一番アイロンかけやすいですよ。
たたみかた6 6:
さて、ここからがちょっと難しいです。気合いで。
いま一度、座り位置からのながめで図5の状態を描いてみますね。
これを縦半分に折りますよ。
たたみかた7 7:
座り位置から向こうがわ、図のマルで囲んだ部分をそれぞれ両手でしっかり持って下さい。
折り返した部分と、その下の脇部分とを一緒に持つのです。ずれないようにしっかり持ってください。
そのまま手前に持ってきます。全体を半分に折るのです。
失敗すると、折ってアイロンかけた左身ごろがぐちゃぐちゃになってしまいます。そしたら元に戻して図6の状態に折りなおして、再トライしてください。
着物は図体がでかいのでカタチを維持したまま折り返すのはちょっと大変ですが、まあ、なれればどうってことありません。
たたみかた8 8:
うまく折れましたか?折れましたね。
エリの左右のはじっこがぴったり重なるなずです。で、「折れ目」も無事なはずなのですが、不安な場合はそ〜〜っとまくって確認しましょう。
あまり派手にまくると却ってシワになるので、あくまでそ〜っとね。
たたみかた9 9:
右後ろ身ごろが上に来ている状態です。アイロンかけましょう。
さっき裏からざっとアイロンかけてありますが、やはり直接アイロンかけるとパリっとしますよ。
とくに袖の後ろ側はまったくアイロンかかってませんので念入りにいきましょう。
たたみかた10 10:
そでを折り返します。
縫い目で折らず、ちょっと手前で折る方がいいようです(縫い目が崩れない)。
そして、左袖の裏側が上にくるので、はりきってアイロンかけますよ。
たたみかた11 11:
スソのほうからアタマにむかって折ります。このへんにいくと、アイロンでカタチができているのでかなり扱いやすいです。四角い固まりというかんじ?折り返して出てきた部分は、まだアイロンかかってませんからいちおうかけましょう。
12:
で、これを、えいやっとひっくり返します。最後のアイロンバージン部分をなんとかするためです。
逆いうと、特にシワのない着物をただたたむだけ、のときは「11」で終わりです。いちいちひっくり返す必要はありません。



この時点で、着物も浴衣も少々湿気を持っております。
このまま、まる一日ほど放置しましょう。半分に折らずに放置できればさらにナイスです。
完全に乾いてからしまいこみましょう。

ていうか、着物ってきちんとたたんでおくとけっこうシワがのびますので、いわゆる「着ジワ」程度ならいちいちアイロンかけなくてもたたんで置けば直ります。
あとは、まあ、ご自宅の収納条件に合わせて、このまましまうなり、さらに半分にたたむなり、一度「10」に戻して3つ折りにするなりします。
シワが出ないように平面に折ってありさえすれば、細かいことは自分の都合のいいようにすればいいのです。

さて、これはアイロンをかけながらのたたみかたです。
一度アイロンをかけた、「おくみ」の折り目がちゃんと付いている着物の場合、慣れると以下のたたみかたのほうが楽で、失敗も少ないです。
このたたみかたじゃないとダメ、というシチュエーションは存在しませんが、参考までに載せます。楽だし。
上の手順のだと7番からにあたりますが、3〜6の「おくみ」を折り返すところで、手前の「おくみ」だけを折っておきます。反対側はほっておきます。そのぶん楽です。

向こう側のエリをこちら側に向かって折り返します。ぴったり重ねます。
本体は勝手に付いてきますね。
このままワキの縫い目を持って、これまた手前に重ねます。
自然に「おくみ」のところで布が折れます。
「これだけ?」ってかんじですが、ちゃんと8番の状態になります。着物は左右対称ですから、一方をちゃんと折れば片方は、それに合わせれば自然にちゃんとなるのです。
とはいえ、慣れないウチは失敗するかもしれません。できるようになると楽なので覚えておくのもいいかもしれません。


 
 ・収納グッズ


今は「着物収納不織布ボックス」とかそのへんで数百円で売ってますので、てきとうに買ってください。
高い着物は「たとう紙」に包まれておうちにやってきますが、絶対にこれにしまっておかなければならないわけではありません。
ていうか古くなった「たとう紙」はむしろ虫を呼びます。


防虫剤は入れましょう。とはいえいくらマメに防虫剤替えても、何年もほっておくとやはりムシは付きやすくなります。
最大のムシ対策は「ときどき着る」ですよ

着物にはニオイを付けたほうがかっこいいです。男着物でもニオイは付けます。
「誰が袖」(たがそで)という商品をワタクシ使ってます。「みやこ」がお気に入り。
リンクです↓
http://www2.shoyeido.co.jp/tagasode/index2.html 

しまうとき一緒に入れるだけです。香料系はかなり苦手で、シャンプーも洗剤もアタマ痛くなるワタクシですが、和服のニオイ袋は平気です。合成香料じゃないし、原料がいいからでしょうね。

何枚か着物がある場合、通販で見かける桐の着物入れる箱が欲しくなると思いますが、
どうだろう、あれ、いちいち箱を開けて全部取り出さなきゃいけないので、出し入れめんどうじゃありませんか?
着物と付き合うとき、できるだけ「気軽にできる」に気を付けた方がいいと思います。すぐめんどくさくなってしまい込んでしまうから。
どうしてもしっかりした着物収納場所がほしいときは、ちょっと割高でも引き出しになった箪笥タイプにしたほうがいいです。本物の桐箪笥じゃなくても、探せば安いのありますよ、大丈夫。
洋服用の引き出しチェストだと、奥行きが足りないと思います。サイズに気を付けて購入してください。とくに紳士着物は婦人着物より横幅があります。内寸奥行きが最低45・ないとムリですよ。

ていうかよくある不織布の着物ケースに入れるか、でなかったらもう、風呂敷にでも包んでそのへんに置いておけばいいのです。特に問題はおきません、大丈夫。
出来る限り金も手間もかけずにてきとうに付き合うのが、着物ライフを長続きさせるコツだと思います。


 ・着物の素材いろいろ


今普通に出回っているキモノには3種類あります。
ポリエステル
ウール
おかいこ(絹)

ポリエステルは扱いが簡単です、アイロンすらいりません。洗って干せばよろしいらしいです(持ってません)。
ただ、偏見かもしれませんが今売っている紳士物のポリエステル着物は、縫製がイマイチなのが多い気がします。
着物はともかく、縫製の悪い羽織ほどみっともねえものはございません。
できれば、ネット通販で売っているポリエステル着物には手を出さないことをオススメしますよ。ホントにひどいのあります。

ワタクシなら、街でそういう着物みかけたら、すれ違いざま鼻で笑います。多分笑います。ごめんなさい。

ポリエステルの反物を買って来て「お仕立て」に出すのはいいかもしれません。少なくともお手入れは楽。
あと、ポリの着物は当然ですが防寒性において劣ります。冬着るのはどうだろ。夏は浴衣で充分ですから、わりと着る時期が限られます。

ウールの着物、一般的な紳士物はこれです。
おねだんによって絹が混ざっていたり、逆にナイロンが混ざっていたりします。絹よりは扱いやすいです。それなりに暖かいですしね。

おかいこの着物、高いです。絹布は薄いので、絹、または「塩花」と呼ばれる上等な木綿布で「裏」を付けて「袷(あわせ)」にします。かっちょええ、あたたかい、軽い、すばらしいですね。
ただお手入れはしにくいです。絹は弱いし。

他に夏物の麻混や、綿ですが特別な織り方の「縮」なんかがあります。扱いはおかいこに準じます。


以上が公式見解ですが、
ワタクシ、普段の外出用のウールのキモノなんかは(ええほうのべべじゃないほう)、
シーズンが終わって、しまうとき、こっそり見つからないように(誰に)ネットに入れて洗濯機で洗います
汚れが取れて長持ちするか、布が傷んで寿命が縮むかは今のところ不明。でもダニも心配だし。
自己責任でよろしく。



   



=着物の着かた図解=
=羽織の着かたとたたみかた図解=
=角帯の締めかた図解=
=ふんどしの締め方図解=
=着物の防寒=