- 宮崎哲弥
-
時にさ。松岡事件の真相、知ってるでしょう? あなた。
- 青山繁晴
-
真相とまでいえるか…。宮崎さんもよく知っているじゃないですか?
- 宮崎哲弥
-
いやいやいや、あなたの… (笑)。
- 青山繁晴
-
お互いに譲り合っても (笑)。
- 水道橋博士
-
カメラ撮ってませんよ。カメラ撮ってませんからお二人でどうぞ (笑)。
松岡元農水相 自殺の真相とは
- 青山繁晴
-
いやあ、あの…。
- 宮崎哲弥
-
あの翌日、まさにあなたが首相と会った日に、山崎進一って、元森林開発公団の理事が自殺したでしょう?
- 青山繁晴
-
ドンが死にましたね。
- 宮崎哲弥
-
ドンが死んだでしょう。これは松岡さんの自殺と無関係ではありえないわけですよね。
- 青山繁晴
-
無関係どころか、それは…。
- 宮崎哲弥
-
これは、どう…。
- 青山繁晴
-
いや、あの…。
- 水道橋博士
-
カメラ撮ってませんよ。お二人でどうぞ。ここは若い二人で (笑)。
- 青山繁晴
-
若くない (笑)。
松岡氏は参院選後逮捕される予定だった
- 青山繁晴
-
あの、亡くなった人になかなか言いにくいけど、僕の知っている客観的なことだけ言いますと、松岡さんは、7 月末から 8 月いっぱいにかけて、逮捕の予定でした。それで、検察が「捜査線上になかった」とか、「任意同行もかけていない」と言ってるのは…。
- 宮崎哲弥
-
「全く対象じゃなかった」と言っているのは、真っ赤な嘘。
- 青山繁晴
-
あれは、真っ赤な嘘とも言えるけど、本当でもない嘘でもない、上手な言い方で、それは参議院選挙の前までは、現職閣僚を捜査線上に具体的に挙げたり、任意同行をかけたりするはずがないです。だから、参院選が終わるまでは動く予定がなかったから、その意味では上手な嘘を吐いたわけです。
しかし、逆に参院選が 7 月 22 日に終わると、安倍さんはすぐ内閣改造をやる予定でしたから、久間さん、柳沢さんは、実はまだよくわからないけども、松岡さんだけはクビになるのがはっきりしていて…。
- 宮崎哲弥
-
いや、それはね、松岡さんだけをクビにするわけにはいかないから、大規模改造をやりますよ。
- 青山繁晴
-
まあ、そりゃそう。とにかく、松岡さんは辞めることが決まっていて、しかもその時点では国会も閉じていますから、逮捕の許諾請求もいらないので、秋は臨時国会をやるかもしれないから、臨時国会が始まる前、7 月末から 8 月いっぱいまでの間に、任意よりも何よりも、とにかく逮捕すると。
というのは、はっきり言うと、松岡さんが触っていた談合って、ちっちゃな談合ですから。たかが林道ですよ。日本には、もっと巨大な談合があって、それは例えば道路だったら高速道路ですよね。数百億と、云兆円の違いで、林道なんか捜査されるわけがないと思っていたから、事務所、自宅その他に有力な証拠だらけなわけです。
松岡氏の遺書の真相
- 青山繁晴
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松岡さんの遺書の中に重大なヒントがあるのは、「女房が知っている」と。「女房に聞いてくれたら出すから」って書いてあったでしょう。
あれを、ちょっと言いにくいけど、内閣の中にいる人から僕に電話があって、朝の 4 時頃に、「青ちゃん、あれはどういう意味なんだ?」と。「いくらなんでも、いくら松岡でも」、呼び捨てだったです。「いくら松岡でも、女房に罪を着せるって酷いんじゃないか」って言われたので、僕は「いや、それは違うでしょう」と。
そうじゃなくて、物事追いつめられた人は、例えば「逮捕された自分が気になる」、「牢屋に入るのが気になる」云々かんぬん、「たくさんのことが気になる」じゃなくて、何か特定のとこに神経が集中してしまうわけです。
松岡さんのあの遺書を見ると、家宅捜索をされて、松岡さんの私的な問題まで、手紙から何から全部荒らされるのが、一番最後は気になっていたようで、捜査側の見方も、だから家宅捜索やめてくれと。女房に聞いてくれたら…。
- 水道橋博士
-
出す物は出しますからっていうことですか。
- 青山繁晴
-
そういう意味なんです。
遺書は改ざんされた?
- 宮崎哲弥
-
ところがね、あの遺書は、途中で改竄されたんじゃないか、といわれているわけですよ。
- 青山繁晴
-
うーん…。
- 宮崎哲弥
-
つまり、最初にメディアに出た文面というのは「内情は妻が知っている」。「だから妻に聞いてくれ」と。ところが、これは…。
- 水道橋博士
-
「内情は」って言葉がなくなった…。
- 宮崎哲弥
-
ところが、これは後から「内情は」って言葉がなくなって、遺書のありかは妻が知っているという風に変えられたんだよ。
- 青山繁晴
-
そんな風に変えられました?
- 宮崎哲弥
-
変えられました。
- 水道橋博士
-
これは最初…。
- 宮崎哲弥
-
「内情」という言葉がきれいに消えてしまった。でもね、あれは肉親から記者が話を聞いて書いたメモなんですよ、一番最初。これ、記者をやっていたからわかると思うんだけど、こういう時に「内情」という言葉を聞き間違えるわけがない。
- 青山繁晴
-
わけがない。ええ、そのとおり。僕はその後、変えられたと知らない…。
- 宮崎哲弥
-
これは間違いない。変えられています。
- 水道橋博士
-
第一報のには入っていたんですね。それが次の日から無くなった。
- 宮崎哲弥
-
「内情」という言葉が消されたの。
- 青山繁晴
-
あの、松岡さんにとって阿蘇の事務所を家宅捜索されたんで、あれが痛撃になったと思いますよ。さっき言ったとおり、「林道のように小さい話を捜査されると思っていない」、「阿蘇のあの小さな事務所まで来ると思っていない」、「だからもう逃れられない」と。
なぜ松岡氏はあの時期に自殺したのか
- 宮崎哲弥
-
一つ聞きたいんだけど、私の知る限りでは、首相も、あるいは官房長官も一つ分からないことがあると。
何で松岡氏はあの時期に死んだのか。
つまり、仮に、参議院選挙後に逮捕が近付いてきているとしても、人ってなかなか希望を捨てないものだから、何とか逃れられるんじゃないかと、最後まで思うものでしょう。ところが、何であの時期に死んだのか? っていうのは、これがわからないと。どう?
- 青山繁晴
-
いや、僕もわからないですよ。はっきり言うと。
それは、あの鈴木宗男さんと組んで、はっきり言うと悪いことをしていたわけですよ、宗男さんには申し訳ないけど。それで、その宗男さんが逮捕された一方で、松岡さんは大臣にまでなったわけでしょう。その逞しさを持った人が、逮捕もされない内に死ぬっていうのは、だから僕はやっぱり意外だったですよ。
- 宮崎哲弥
-
ある程度覚悟はしていたと思う。
「もう一人の宗男」っていうのがいて、高木宗男っていう人が、緑資源公団の、この人も一つキーパーソンで、どうもこの人は「完落ち」したらしい。「完落ち」って全てを喋ったらしいというような情報が出ていたので、いずれ自分のところに来るなというような覚悟はあったと思う。
ただ、あの時期なのかがわからない。
- 青山繁晴
-
うーん。その時期なのかもわからないし、仮に有罪になったとしても、ですよ。例えば中村喜四郎さんのように、有罪になってなお代議士でいる人もいるわけだから。
- 水道橋博士
-
宗男さんも戦ったわけですものね。
- 青山繁晴
-
だから、よくメディアに、「松岡さんが命を懸けてまで守ろうとした秘密は何なのか?」って書いてありますが、僕はそれは違うと思います。
何かの秘密を守ろうとしてじゃなくて、またさっきの話にちょっと戻りますけど、ガサ入れ、家宅捜索のことだけに集中していくっていうのは、少なくとも僕が事件記者当時に見た、自殺の多くのケースは、たくさん問題がある内の、みんなが気になるんじゃなくて、グーッとひとつのとこに絞り込んでいった時に神経がもたなくなる。それじゃないかなあと。
- 宮崎哲弥
-
もうひとつは、例えば逮捕されてしまうと、議員を辞職しなくてはならなくなりますよね。あとの地盤をどうするのかという時に、例えば松岡さんがご子息に「ここの地盤を譲りたい」と思っても逮捕されていたらだめなんだよ。やっぱり。それは、残念ながら亡くなった方が、弔い合戦にもなるし、地盤を継がせることが非常に容易になるわけです。そこも考えたんじゃないかと。
だから動機はわりと明確なの。時期の理由がわからないということなんですね。
- 青山繁晴
-
まあ、もたなかったってことじゃないのかなあ。
安倍氏・塩崎氏と松岡氏の関係
- 青山繁晴
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安倍さんや塩崎さんに対する復讐があるのかなあ、と宮崎さんは思われたのかもしれないけど、それは、塩崎さんは別として、安倍さんは一瞬感じたようですよ。「ひょっとしてそうじゃないか」と。
- 水道橋博士
-
「辞めさせてくれない」ことにですか?
- 青山繁晴
-
辞めさせてくれない説は、鈴木宗男さんが流している説で、僕は眉唾だと思ってますから。
- 宮崎哲弥
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私も眉唾だと思う。
- 青山繁晴
-
そうじゃなくて、安倍さんや塩崎さんには、松岡さんの本当の苦しみは分からなかったと思うんですよ。良い悪いじゃなくて。二世、三世で、お金の心配が根本的にない人と、林道とか、こまいせこいやつたくさんかき集めて…。
- 水道橋博士
-
宗男さんも松岡さんも叩き上げですからね。
- 青山繁晴
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だから、大臣をしてくれたことを感謝しつつも、「何でそんなせこい金集めをするんだ? お前は」って雰囲気を、松岡さんは感じていたんじゃないでしょうか。
松岡氏 農水相としての功績
- 宮崎哲弥
-
ただ、政治家っていうのは、ちゃんと公平に評価しなきゃならない部分もあって、松岡さんが大臣になられてやられたことっていうのは、例えば WTO やオーストラリア FTA、あるいは中国に日本の米を輸出する、こういう試みというのは、これからのあるべき農政の姿を開いたと。
だから、安倍さんが辞めさせたくなかったというのは、彼がやった事、業績と能力から言っても無理はないという風に思う。そこの部分っていうのは、この自殺によって、すっ飛んでしまっているきらいがあるので、「農水大臣としての松岡さんというのは、とても優秀だった」ということは、ちゃんと言っておかないといけないと。ね?
- 青山繁晴
-
そのとおりです。
- 水道橋博士
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故人の名誉のためにもね…。
「松岡氏との最後の会合」を公表した鈴木宗男氏の狙い
- 青山繁晴
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そのとおりで、鈴木宗男さんの名前をちらっと出したから、これもきちんと言っておきたいんですけど、僕は、宗男さんは人間としてはむしろ好きな方ですけど、TV タックルで一緒になった時もワーワー言い合いましたけど、やっぱり面白い人だなあと。
ただし、今回ブログに、鈴木宗男さんが松岡さんに「とにかく謝りなさい」と言ったと。そうしたら松岡さんが「そんなことを言ってくれるのは鈴木先生だけです」とか言って寂しく笑った、みたいなことが書いてあるでしょう。
「そんなことを言ってくれるのはマルマル先生だけです」なんて、政治家いつもいつも言っているわけですよ。
- 水道橋博士
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まあ、そうですね。言ってますよね (笑)。
- 青山繁晴
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そんなのに、わざわざ特別な意味があるように書いて、あなたは、少なくとも前はパートナーだった松岡さんの自死まで利用して、自分が庶民に受けたいのかと、愕然としますよ。
人の死をも利用する政治家たち
- 青山繁晴
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僕が思い出したのは、小渕総理が小沢さんに裏切られて、その後、現職総理のまま死んだでしょう。その後、色んな政治家が、特に小渕さんと親しかった人々が「あれは小沢に殺されたんだ」とずっと言っていますよね。だけどそれは、小沢さんの裏切りはショックだったけれども、直接的には病気で死んでいるわけですから。だから、実は小渕さんを悼む振りをしながら、結局は自分達の政治的な野心のために利用しているわけでしょう。
本当に政治家って、宗男さんも、自死した松岡さんも含めて、はっきり言うと、なんと浅はかな人々なんだと。
内情を知っている評論家は政治家にはならない
- 宮崎哲弥
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あのね、俺は評論家だから専業の政治評論家じゃないんだけど、敢えて政治評論家だとして、政治評論家は政治家になりたがるものじゃないと思うよ。だって、内情を知ってるから。とてもじゃないけど、こんなことはやれないと。
今、色々と人道に反するようなことをやったと例を挙げられたけど、これは、ある意味で永田町では日常茶飯事。
- 水道橋博士
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常識だっていう事ですよね。
- 青山繁晴
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そうです。