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【経済】

ノンアルコール あま〜く浸透 甘党の若者増加?

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 ビール各社が、お酒風味のノンアルコール飲料の販売に力を入れている。先駆けとなったビール風味の「ノンアルコールビール」にとどまらず、カクテルやチューハイ、梅酒風味などを急速に拡大中だ。お酒の気分を楽しみたい人が増えるとともに、若者の味覚が甘党へ変化していることも背景にあるようだ。(須藤恵里)

 サッポロビールは今月、チューハイ風味のノンアルコール飲料「すっきり果実のゼロ」を七月に発売すると発表した。

 ビール風味以外のノンアルコール分野では、サントリーが昨年十月以降、カクテルとチューハイ風味の「のんある気分」を発売。予想を上回る好調で、今年の販売計画を四割増やした。アサヒビールの「ダブルゼロカクテル」も一〜四月で販売が前年同期比三割増。サッポロの参入によりビール大手三社が競争に入る。

 ノンアルコール市場は、三年前の十倍超と急拡大している。当初は車の運転時など「やむを得ない時に飲むもの」だったが、すでに「飲み会や家で、お酒を飲まずにお酒の気分を楽しむためのものに変化」(サントリー)しているという。

 さらに「苦味を好まない若者が増えた」(サッポロ)ことが、ビール風味以外の商品の発売を後押しした。今の二十代の若者は「子どものころから食事中でも甘いジュースを飲んで育った世代で、味覚がいわば幼稚化している」(ビール大手幹部)との分析は各社とも共通だ。

 各社は「お酒らしさ」を再現するため、独特の香りや苦味を調合してジュースとは一線を画す味の実現を目指している。サントリー酒類の山田真二RTD部長は「若者のアルコール離れや、高齢化でお酒を控える層が増えている。お酒とノンアルコール飲料が共存共栄する時代が来る」とみる。ビール大手で唯一、ビール風味以外の分野を出していないキリンビールは、ノンアルコールビールの火付け役となった存在で、次の一手を検討中とみられている。

 

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