お笑いコンビ「次長課長」の河本準一(37)が、母親を扶養するだけの十分な収入がありながら母親に生活保護を受給させている疑惑があるとして、自民党の片山さつき参院議員(53)らが真相解明に乗り出したことが16日、分かった。所属事務所の吉本興業は、河本の母親が過去に生活保護を受けていたことを認めたうえで、その受給が河本の無名の時代に開始されたものであることを理由に、不正受給ではないと反論。だが、片山氏は徹底追及の構えを崩さず、18日に同社の担当者と協議することを明かした。
「パンチパーマで板東英二に似ている」など、バラエティー番組などでたびたびネタにしてきた河本の母親に、生活保護の不正受給疑惑が浮上した。女性週刊誌が4月下旬、匿名でこの疑惑を報道。片山氏は今月2日のブログで河本の実名を公表し、「厚労省の担当課長に調査を依頼しました」と追及に乗り出すことを明かしていた。
河本は5本のレギュラーなど多数の番組に出演しており、年収は5000万円とも言われる。妻と2人の子どもがいるが、母親を扶養するには十分な収入があるとみられている。
女性誌の報道によると、河本の母親は居住地の岡山市から生活保護を受給し、受給期間も10年近いという。吉本興業はこの日、不正受給疑惑についての見解を公式サイトに掲載。「一説に述べられているような高額な収入ではなく、時期によって上下している」「さまざまな事情から生活の援助を行わなければならない親族が複数いる」などとした。受給はすでにストップしており、河本自身が会見を開いて説明する予定はないとした。
しかし、文書の内容を伝え聞いた片山氏は、「全く趣旨を理解していない。残念です。そもそも(事務所ではなく)本人が説明しないのはおかしい。あれだけお母さんをネタにしているのに」と指摘した。
吉本が受給の正当性の理由として「浮き沈みの激しい業界」としたが、「それでは自由業の方の親は、みんな生活保護を受給できるのでしょうか」と片山氏。「河本さんにダメージを負わせることは意図しない」としたが、「公人である河本さんのケースが良しとされて多くの人に広まれば、抜け道の推進になる」と問題視した。
18日に同じく自民党の生活保護プロジェクトチーム座長を務める世耕弘成参院議員(49)を伴い、吉本の担当者と会談するが、片山氏は「正当化するのはかなり難しいケース」と指摘。不正受給として、徹底的に究明する姿勢をみせている。吉本側から十分な説明が得られない場合、国会の議題に取り上げることも辞さない構えだ。
◆生活保護制度 資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する人に対し、憲法で規定されている健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長する制度。金額は地域や世帯の状況によって異なるが、単身者の場合、一般的には月10~15万円程度が支給される。資産がなく、親族の援助も受けられず、働くのも困難であることが支給の条件。経済不況などから今年2月の受給者は約210万人に達し、昨年7月から8か月連続で過去最多を更新している。
[2012/5/17-06:03 スポーツ報知]