サムスンSDIの朴商鎮(パク・サンジン)社長は16日、本紙のインタビューに対し、今年第1四半期(1-3月)の2次電池市場で世界シェアが過去最高の26%に達し、世界首位の座を固めたことを明らかにした。
朴社長は「2位メーカー(パナソニック)を大差で上回り、首位に立つなど、事業に弾みが付いている。電気自動車用の電池事業でも近く目に見える成果が表れるとみている」と述べた。
2次電池とは、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末に主に使われるバッテリーだ。2010年に業界4位だったパナソニックは、2位の三洋電機を合併したのを機に、サムスンSDIと激しい首位争いを展開している。昨年のシェアはサムスンSDIが23.6%、パナソニックが22.7%で小差だったが、今年第1四半期はサムスンSDIが26%代後半にシェアを伸ばす一方、パナソニックのシェアは20%未満に後退した。
朴社長は成長の背景について「スマートフォンとタブレット端末の需要が伸びた上、電動工具、電気自動車用のバッテリーなど新たな市場を発掘した結果だ」と説明した。2次電池市場は年間12兆ウォン(約8300億円)規模で、朴社長は「成長が続く分野だけに期待が大きい」と述べた。
サムスンSDIは2011年12月期の売上高が5兆4000億ウォン(約3720億円)だった。売上構成は2次電池が50%、テレビ用のプラズマディスプレーパネル(PDP)が40%となっている。PDP事業の不振などで一時苦戦したが、昨年初めに朴社長が就任して以降、業績が伸びている。2次電池の好調を受け、今年第1四半期には、市場予測を上回る670億ウォン(約46億円)の営業利益を上げた。また、35%を出資する「サムスン・モバイルディスプレー」の事業も本格化し、利益貢献に期待感が高まっている。
サムスンSDIは特に、電気自動車用バッテリーの供給で注目されている。朴社長は最近、サムスングループの李在鎔(イ・ジェヨン)社長に同行し、ドイツでフォルクスワーゲンのマルティン・ヴィンターコーン最高経営責任者(CEO)らと会談した。朴社長は「自動車用電池事業の拡大に向け、海外で多くの取引先と接触している。グループの最高経営陣が直接関心を持っており、良い結果が出ることを期待している」と述べた。
一方、サムスンSDIは同日、創立42周年を迎え、ディスプレー製品中心から「環境にやさしい電子化学融合・複合エネルギー製品」中心の企業へと脱皮していくことを宣言した。朴社長は「今後会社がエネルギー中心の企業に生まれ変わるという意味だ。電気自動車用電池、家庭・企業用のエネルギー貯蔵システム(ESS)、太陽電池などエネルギー事業が売り上げに占める割合を現在の2-3%から2015年には30%、20年には70%まで引き上げることが目標だ」と述べた。
PDP事業について、朴社長は「業界首位である上、まだ利益が出ているため、当面は事業を継続する計画だ」とした。