“規制当局に「安全文化」が欠如”5月18日 5時21分
国会の原発事故調査委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、これまでに明らかになった論点を整理し、この中では、「政府の原子力規制当局には安全に関する最高の知見を求め、規制に反映していくという『安全文化』が欠如していた」などと指摘しています。
国会の原発事故調査委員会は、去年12月から、事故原因の究明や、政府の対応の検証などを進めてきており、17日、海江田元経済産業大臣を参考人として招致して質疑を行いました。
そして、来月にも提出する報告書の取りまとめに向けて、これまでの調査で明らかになった論点を整理しました。
それによりますと、政府の原子力規制当局について、「常により高いレベルの安全性の実現に向けて安全に関する最高の知見を求め、規制に反映していくという『安全文化』が欠如していた」と指摘しています。
そのうえで、規制当局は、緊急時の事故対応を専門性を生かして、みずからの責任のもとに事業者や政治から独立して判断していく仕組みが欠けていたとしています。
一方、東京電力などの事業者に対しては、原子力発電所の危機管理について、「安全確保を最優先にしたものではなく、稼働率の向上や厳しい規制の導入によるコストの上昇の回避を目的としていた可能性がある」と指摘しています。
そのうえで、論点整理では、多くの安全施策が事業者の自主的な対応に委ねられ、実行されなかったことが今回の事故に直結したとして、「事業者がみずから進んで最高の安全を求めていくための制度的な枠組みが必要だ」としています。
17日の委員会のあと、記者会見した黒川委員長は「論点整理として、現時点の委員会の問題意識を示した。今後、報告書の作成に向けて、さらに議論して、ほかの論点についても近く示したい」と述べました。
事故調査委員会では、今月27日に、当時、官房長官を務めていた枝野経済産業大臣を、翌28日にも、菅前総理大臣をそれぞれ招致することにしており、政府首脳らの対応に問題がなかったか、明らかにしたいとしています。
[関連リンク] |
|