保安院 旧指針で“問題なし”要求5月18日 4時0分
6年前、原子力発電所の耐震性の指針が見直された際、原子力安全・保安院が、指針をつくった原子力安全委員会に対して古い指針でも原発の耐震性に問題がないことを示すよう文書で求めていたことが分かりました。
保安院は原発の運転停止や訴訟を恐れて要請したと認めていて、規制機関としてのあり方が問われています。
原発の耐震性を巡っては、6年前の平成18年に原子力安全委員会がそれまでより厳しい指針に見直しました。
ところが、この年の3月から4月にかけて原子力安全・保安院が安全委員会に対し、古い指針で建設された原発の耐震性に問題がないことを示すよう文書で求めていたことが分かりました。
文書には、「古い指針でも耐震性に問題がないと明示しない場合、重大な問題が発生する」と記したうえで、「マスコミや国会で批判が厳しくなり、反論できない原発は運転停止を余儀なくされたり、運転を差し止める裁判が増えたりする」などと書かれています。
文書を受け取った安全委員会は、この年の9月に新たな指針を運用する手順書の中で「既に建設された原発の安全審査のやり直しは必要ない」とする見解を示しています。
これについて、保安院の森山善範原子力災害対策監は「中立的な立場で原発の安全性を考えるべき規制機関が誤解を招く配慮を欠く対応をしてしまい、大変反省しなければならない」と話しています。
原発に関する指針を巡っては、同じ平成18年に、原発事故の防災指針を見直そうとした際に当時の保安院長が安全委員会に対して見直しをやめるよう厳しい口調で迫っていたことが明らかになっていて、保安院の規制機関としてのあり方が問われています。
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