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【神奈川】

話し合い平行線 セシウム検出の冷凍ミカンの給食提供

市教育委員会と保護者らの話し合い=川崎市役所で

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 放射性セシウムが1キログラム当たり9.1ベクレル検出された県産冷凍ミカンを川崎市教育委員会が市内の公立小学校の給食に出し続けている問題で、児童の保護者ら約20人が15日、市教委の渡辺直美教育長らに中止を求めて直談判した。しかし、渡辺教育長は交渉終了後、「心配な人がいるのは分かるが、給食で冷凍ミカンが残る量は多くない。理解を得られている。今後も給食に出し続ける」と語り、中止を要請する声は聞き届けられなかった。 (山本哲正)

 保護者側は、ミカンから放射性セシウムが検出されたことが多くの保護者に十分に伝わっていないとして問題視。給食に使われる食材からセシウムが検出された場合、現行のホームページ上での公表だけでなく、文書で保護者に配布するよう求めた。だが、こうした問題についても渡辺教育長は「(各校の)校長の意見も聞きながら対応策を考えたい」と述べるにとどめた。

 渡辺教育長は「専門家や詳しい市教委の職員から(問題となるのは)放射能が『あるか』『ないか』ではなく『量』と『強さ』だと教わった」と発言。「一般食品の国の基準一キログラム当たり一〇〇ベクレルを下回れば提供しても安全性が確保されている」とする市教委健康教育課の説明の正当性を強調した。

 一方、保護者側は「内部被ばくの影響が解明されていない現状では(食品中の放射性物質は)限りなくゼロに近づけるべきだ」とする国内の専門家や、「これ以下なら安全といえる量はない」との米国科学アカデミーの見解などを踏まえ、放射性物質が検出された場合は子どもに食べさせないでほしいとの立場。市教委とは議論がかみ合わず「政府見解しか評価しないように見える」と、姿勢を批判する声が上がった。

 今回の冷凍ミカン問題を受けて始めた「給食丸ごと測定」についても、渡辺教育長が「不安の解消につながると思った」と説明したのに対し、保護者からは「分母を増やしてミカンの数値が見えないようにした」と指摘する声が上がった。

 今回の交渉の場は、市議の猪俣美恵氏(無所属)と竹田宣広氏(みんなの党)が設定。猪俣氏は「給食は子どもたちの口に入るもの。汚染が分かっている物は取り入れないなど、制御できることはするべきだ」と述べた。

 

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