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2007年7月 4日 (水)

準ちゃん会最高

僕はこの男と出会って変わりました。

河本準一です。

僕はもともと、クラブ、カラオケ、ボーリング、ビリヤード、ダーツ

その手のみんなで盛り上がるものが嫌いでした。

どちらかと言えば、飲んでお喋りをするのが好き。

ワイワイ騒ぐのが嫌いだったんです。

素人の時もそうでしたが

芸人になってからはさらに嫌いになりました。

「カラオケで盛り上がるなんて芸人の遊び方じゃねえ」

という偏見がありました。

そんなことより、お笑いについて語りたいと思っていました。

それでも付き合いでカラオケなんかに行ったりもします。

そんな時はなるべく目立たないように隅に座り。

順番が回ってきたら、尾崎豊を歌うのがパターンです。

騒がしく盛り上がってるのを見て「早く終わんねえかな」

とすら思っていました。

そんな僕を河本さんは

ことごとく騒がしい所に連れて行きました。

最初に二人で飲んだときは

クラブ(踊る方)に連れていかれました。

ガラガラで誰もいないダンスホールで河本さんは

一人で3時間踊り続けました。

僕はそれを見てるだけ

河本さんは何度も「踊ろうぜ」と僕の手を引っ張りましたが

僕は「嫌だ」の一点張りでした。

断られても楽しそうに僕の前で踊り続ける河本さん。

なんなんだこの男はと思いました。

 

やがて河本さんは「準ちゃん会」なるものを作りました。

後輩がそれぞれカラオケ用の自分のネタを披露する。

河本さんがツッコム。

そういうノリノリの会です。

その会に最初に参加した時も僕は苦痛でしょうがなかったのです。

乗り切れないんです。

僕は後輩達が汗を流してカラオケで歌うのを

ただ見ているだけでした。

しかし、準じゃん会に2回3回と参加しているうちに

自分の中で何かが変わり始めました。

俺は後輩が必死で笑い取ろうとしてるのに

何、のんびり座って酒飲んでんだ。

俺がそんな感じだったら、みんな弾けられねえじゃねえか。

嫌だったら行かなければいいじゃないか。

参加するんだったら

黙って座って空気壊してないで

一緒に盛り上がらないと汗をかいている後輩に失礼じゃないか。

って言うか、そんなの全然楽しくねえじゃねえか。

って言うか、

まさに踊るアホウに見るアホウどうせアホなら踊らにゃ損損です。

0か100

参加しないか

盛り上がるか

芸人はそうじゃないとダメだろ。

と言うワケで最近の僕はノリノリです。

スゴイでしょ。

レゲエがかかればタオルを振り回し

パンクがかかれば飛び跳ねる。

上半身裸ですけど

これはお洒落なノリです。

クラブです。

しかし、そんな中一人ダサい男が

タカさんです。

バカボンです。

踊りもダサいです。

 

しかし歌は超ウマイ

 

そしてエアーギター世界一

クールでお洒落なデブおおち

「嫁が恐いから」と言って先に帰りました。

全然クールじゃねえぜ。

 

そしてみんなが裸になったおかげで

こんなものまで見れました。

教祖様です。

ハイキングウオーキングのキューちゃんです。

こんだけ教祖っぽいんだから

座禅のまま飛べるんじゃねえか。

と言うことでジャンプ

ちょっとだけ飛んだ。

すぐ着地です。

 

そしてモノマネもいっぱい見れました。

僕は名前も知らない後輩の子です。

スラムダンクの安西先生です。

タプタプタプ

そして、RGのえびぞう

宮地の羽賀研二

 

 

いやあ、それにしても

面白かった。

歌って、叫んで、踊って、笑った。

絶対に昨日の夜中

世界で一番楽しかったのは俺らだった。

 

そんな楽しい会でしたが

僕がトイレに行こうと外に出ると

金成がフラフラと歩いていました。

 

「おい、楽しんでいるか」

「はい、酔っぱらちゃいました」

「めずらしいな」

金成は普段はあまりお酒を飲まないんですが

よっぽど楽しかったのか酔っていました。

「品川さん、僕、絶対売れますから、品川さん」

突然の後輩の熱い言葉

「大丈夫だよ。お前は面白いから売れるよ」

僕は思ったままを口にしました。

すると金成は

「すいません。品川さんにそんな事言われたら、俺・・」

と言って目に涙をためたのです。

金成とは10年以上の付き合いです。

「調子に乗んじゃねえ」と言って思いっきり殴ったこともあります。

スゲエがんばってんのも知ってます。

でも普段はスゲエ明るくて、楽しい奴です。

ネガティブなことを言いません。

結構、金成のことは知ってるつもりでした。

しかし、10年間で初めて見る涙でした。

僕もつられて涙がこみ上げてきて

でも、泣いてる顔を後輩に見られたくなくて

だって、僕は泣くとスゲエ不細工なんです。

超気持ち悪い顔になるんです。

だから僕は金成を抱きしめました。

泣きながら抱き合う二人の男

30過ぎのおっさん二人がカラオケボックスの廊下で

甲子園で優勝したバッテリーのような甘酸っぱいことをしている。

 

最近、よくある芸人の噂とか書いてる本あるじゃないですか

あんな本に、もしも「準ちゃん会」の写真を撮られたら

見出しにはこんな風に書かれるでしょう。

「吉本興業のカラオケ

笑えない、裸踊り

下ネタに頼る芸人達」

そんな勝手な記事を書く人は

金成の涙を知ってますか?

 

この僕の知らない若手芸人の子が

ネタバレしないように廊下で隠れてモノマネの衣装に着替え

ネタを終えたら、

次の衣装に着替えるために廊下に出て行くのを知っていますか?

この男がいつでもえびぞうを出来るように

鞄に着物を入れて持ち歩いているのを知っていますか?

この男がカラオケのためのネタ帳を作り持ち歩いているのを

知っていますか?

この男が本当はスゲエ礼儀正しくて気を使う奴だと

知ってますか?

この人は本当はシャイで絶対にこんな事する人じゃないんです。

僕と一緒でどちらかといえば少人数で

語りながら飲みたい人です。

最初は脱ぐのをためらっていたのに

みんなの空気を壊したくないから

この格好になったんです。

こんな馬鹿な格好をしているけど

このブリーフ一丁が優しさと決意からだと知っていますか?

 

みんなただはしゃいでいるのではなくて

目の前の人を笑わせたいから

必死になってはしゃいでいるのを知っていますか?

 

何よりも「めちゃめちゃ笑える」って知ってますか?

 

準ちゃん会は

笑えて泣ける「男はつらいよ」のような会です。

準ちゃんは10万円以上の支払いをして

後輩達にタクシー代を出してやっていました。

僕達は吉本興業です。

ギャラが安いです。

10万はつらいです。

「準ちゃんはつらいよ」でした。

 

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