福井・大飯原発:フル稼働に6週間 節電前、間に合わず
毎日新聞 2012年05月17日 大阪朝刊
加えて「補助ボイラー」は3、4号機共用で、一度に作れるのは1基分の作業に必要な蒸気で、1基をフル稼働にしてからでないと別の1基の再稼働の作業に入れない。このため、2基がフル稼働となり、出力236万キロワットとなるのは、政府が再稼働を決定してから約6週間後になるという。
政府や関電は大飯原発が再稼働したら電力は不足しないとの試算を示したばかり。だが、再稼働を巡っては福井県議会での手続きのほか、周辺自治体への政府の説明などが残っており、再稼働の決定時期が6月末にずれれば、試算の前提が崩れ、再稼働分をカウントできないまま夏を終える可能性もある。
関電によると、11人が死傷した04年の美浜原発3号機蒸気噴出事故から約2年後に同機を再稼働する際にも、作業は約3週間かかったという。京都大の吉川栄和名誉教授(原子炉安全工学)は毎日新聞の取材に対し、「停止期間が長かった分、配管洗浄などに時間がかかるのは仕方のない事情」と話す。原発関連メーカーも「トラブルがないように稼働するには必要な時間なのではないか」と指摘する。【横山三加子】