DILEMMA
Off meeting reports@Cruel Audio

Dilettante12.1:lmstくん
Title:Lyricism
Date:2006/2/19
 

 




 部屋の狭さで言えば、ウチもかなり上位にランクされる小ささだけど、lmstくんの勉強部屋兼オーディオ・ルームもカナリ小さい。もし、ニール・パテルがココを訪れたら、あまりの部屋の狭さに、こう言うに違いない。
「インド人もビックリ・・・。」
しかし、所詮ステレオフォニックはイリュージョンの世界、ハイエンド・オーディオの音場形成は部屋を消してナンボの世界なので、やりようによってはハンデをメリットに変えることは可能だと思う。限られた環境で最大限何が出来るか、どこまで出来るかと試行錯誤するゲーム感覚の楽しさもあるだろう。






System Outilne

CDT:WADIA WADIA7
DAC:CHORD DAC64
PRE:AYRE K-1x
PWR:CLASSE CAM-200
SP:AVALON ECLIPSE
Cables:STEALTH NBS・・・etc
 (詳細




 スピーカーがリスニング・ポイントから立ち上がって1歩踏み出せば触れるという至近距離に存在するので、視覚的な違和感があり、聴き始めの10分ほどは、どうしても脳内DSPによる補正機能が働くけれど、じきに慣れてくる。天井方向は若干詰まる傾向もあるようだけど、綺麗に後方展開し、横方向の広がりが見事だ。目を瞑って聴けば、どこに壁があるか分からなくなる。かなり入念に調整された痕跡が伺える緻密な音場展開だった。


 音色的には「lmstトーン」ともいうべき、独特の「濃さ」が特徴的で、一切、嫌な音やキツイ音を出さないマイルドな特性を兼ね備えている。CD再生にありがちな硬い筆で描いたような輪郭線はない。音像の内側に有機的に密度感高くギュッと詰め込まれた音像、生身の硬さが分かるような表現だ。特に男声とベースラインが良く映える。ヒップホップ系のTB-303を使ったベースラインが、シールド1本で直結されたパワードモニターから再生されるような生々しい音で聴けた。金B氏がスピーカーの間でニカっと笑いながら、ヒンズースクワットをしているような黒光りしたマッシブで熱いベース・ランニングがカッコイイ。この日は持参しなかったけれど、緻密でありつつ音がちょっと黒っぽい感じは、マーヴィン・ゲイ、ダニー・ハザウェイ、アル・クーパーあたりを鳴らしたらシビレそうな感じの陰影感、有機的なウネリのある肉感的な音が素敵だった。エアーとクラッセで作るFMアコっぽい音と一言で表現できるかもしれないけれど、密度感と躍動感溢れるlmstトーンは、初めて聴く人にとっては、彼のいつも冷静で分析的な文体からは想像出来ないほど、叙情的で熱い音に思えるかもしれない。。

 

 lmstくんが最近聴き始めたというクラシックは概ねニュートラルな音調ながら、温度感が少々高い分、クラシック特有の清廉な空気感や天井方向への拡散感はやや出にくい感もあるけれど、地面からニョキっと生えたように楽器群が揺ぎ無く定位し、熱い演奏を繰り広げる様は説得力が漲り思わず引き込まれる吸引力があった。
 それにしても、やはり彼のメインソースであるJ-POPは抜群に良い。素晴らしい。オーディオ・ターム、言葉によって細分化された各項目、要素ではなく、POPS、フォークはもとより、ヒップホップであっても、日本的な叙情性、ニ短調的なノスタルジア感など、土着的なファンダメンタルな部分で魂を揺さぶる要素など、説明しづらいけれど、グッとくるJ-POP再生の源だと私は思っている。こういった要素をlmstくんも大事にしているのがヒシヒシと伝わってくる。音を聴いていると、なんだか嬉しくて「そうだよ、そうだよ、この感じだよね、いいね、いいよね。」と思わず同調してしまう。J-POP好きの私としては、野暮なオーディオ・タームを弄せずとも、「音」だけで意思疎通が出来たような気がして嬉しく思うのだった。


 聴き終わった後、J-POPにおいてはツボが近いなぁと思うと同時に、今後、彼のセンスでどうクラシックを料理していくのだろうと期待が膨らむ。
音作りにおいて、「J-POP時々クラシック」と「クラシック時々J-POP」では人によって音の傾向が随分違う。なんとなくではあるが、クラシックは再生に一つの「正解」があるのに対して、J-POP再生は「解釈」の自由が許される気がする。言い換えれば「正しい音」と「気持ち良い音、或いは泣ける音」とのせめぎ合いのバランスなわけだけど、音作りの「基準」、その洗練性を高めていくと、概ねニュートラル傾向に音が収束していくような気がするし、聴きたいジャンルが増えれば、ある程度平坦化せざるをえない必要に迫られもする。それをツマラナイ音に感じさせないようにするには、(機材の)クオリティあるいは使いこなしのテクニックがポイントになってくるのと、自分の嗜好を深く再確認して、それを反映させるセンスが重要なんだろうねぇと、ジンギスカンなぞつつきながらlmstくんと話をしたりした。




lmstくん

お疲れさまでした。
ケツメイシ、すばらすぃデス。
夕焼けの中、
多摩川の川べりで
好きなあのコを想いながら聴いているような、、
叙情性溢れる泣けるイイ音でした。。

う〜む、lmstトーン恐るべし・・・

また遊んでくださいねぇ
(・x・)ノ
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