原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の在り方を検討してきた内閣府原子力委員会の小委員会(鈴木達治郎座長)は16日の会合で、使用済み核燃料の再利用や、地中に埋め捨てる直接処分などの各選択肢に対する評価をまとめた。(1)全量再利用(2)再利用と直接処分の併存(3)全量直接処分―の三つの選択肢について、原発依存度0〜35%の4段階を想定。経済性や政策変更に伴う課題など七つの観点から優劣を示したが、どれを選ぶべきかの判断は明示しなかった。
原子力委はこの選択肢評価を整理し、月内に政府の「エネルギー・環境会議」に報告。政府は国民に示した上で、今夏をめどに決める新たなエネルギー政策に反映させる。
鈴木座長は会合後の記者会見で「どの選択肢を選ぶかは原発規模に大きく依存する。そこが決まらないとなかなか選べない」とした上で、「どの選択肢を選んでも課題は多い。(政府は)難しい選択を迫られている」と強調した。
選択肢の評価では、現行政策を継続する(1)の全量再利用について、ウラン使用量が抑えられ、放射性廃棄物の量も少なくなるなどの利点を挙げる一方、経済性は劣ると指摘。青森県六ケ所村の再処理工場の稼働や高速増殖炉の実用化を課題に挙げた。
(2)の併存は、再利用しない使用済み燃料の保管や処分について、自治体や国民の理解を得ることが課題としたが、原発依存度がはっきりしない場合、当面の政策としては柔軟性があり最も優れるとした。
(3)の全量直接処分は、原発依存度を0%にする場合に最も有力と指摘。処分技術の確立が必要とする一方、経済性は最も優位とした。
[時事通信社]