同盟強化妨げ 米は改憲歓迎「反対まったくない」
2012/04/25 12:06更新
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記事本文
【ワシントン=古森義久】日本が現行憲法を変えようとする動きを同盟国の米国はどうみるのか-憲法第9条に基づき、日本は集団的自衛権を行使できないとの解釈が日米同盟強化への大きな障害になるとする認識はいま米側で広範に強まり、改憲自体にも長年の多様な対応を経ながら、現在では党派を問わず反対はなく、むしろ暗に歓迎するという姿勢が大勢となったといえる。
◆「反対まったくない」
東京都の石原慎太郎知事が16日にワシントンでの討論会で憲法破棄を提唱したとき、米側の討論者のリチャード・ローレス元国防副次官は「日本の憲法は確かに米軍占領時代の遺物であり、日本はそれを変える権利も自由も有している」と述べ、日本の憲法改正にいまの米側には抵抗がないことを明示した。同じ討論者のジム・アワー元国防総省日本部長はさらに「米国が反対することはまったくないだろう」と確言した。
米側には日本の憲法はあくまで主権国家としての日本自身が決める課題であり、米国が是非を表明する立場にはないという建前に近い大前提がある。前記の2元高官もその点を強調した。だがなお米国は日本憲法の起草者である。そのうえ主権中枢の自国の安全保障を現憲法で制限した日本の国家としての欠落を補ってきたのが同盟国の米国だという事実は重い。改憲では米国の意向を考えざるをえない歴史であり現実だろう。
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記事本文の続き ローレス、アワー両氏は共和党系の識者だが、日本の改憲を受け入れる基調はすでに党派を超えた。2007年4月、訪米した当時の安倍晋三首相が米側主要議員と会談した際、民主党リベラル派のトム・ラントス下院外交委員長は「日本が安全保障でも大国にふさわしい役割を果たすために安倍首相が憲法を改正しようとすることを強く支持する」と述べたのだった。
◆より緊密に防衛協力
連邦議会の調査機関として中立性を保つ議会調査局も一昨年5月に作成した日米関係の報告書で「日本の憲法が日米防衛協力への障害となる」という見解を記していた。正確には「米国が起草した日本の憲法は日本に集団的自衛を禁ずる第9条の現行解釈のために日米間のより緊密な防衛協力への障害になっている」という記述だった。
■揺れ続けた改憲賛否
米国の日本憲法への態度は長い年月、錯綜(さくそう)する変遷をたどってきた。記者(古森)が長時間インタビューした憲法起草者で連合国軍総司令部(GHQ)の民政局次長、チャールズ・ケーディス氏は憲法の最大の目的が日本から全ての軍事能力を永久に奪うことだったと率直に回顧した。だからその「日本封殺のための憲法」保持という思考は戦後の長い期間、米側のコンセンサスだった。
民主党のケネディ政権に重用されたリベラル派の知性ジョン・ガルブレイス氏に1992年に日本の憲法について問うと、「日本は現憲法を絶対にそのまま保つべきだ」という答えがすぐ返ってきた。その数年前のエドウィン・ライシャワー元駐日大使への同様の質問にも、「日本の振り子は激しく揺れすぎる」という表現での改憲反対の見解が示された。
だが同じ米国でもほぼ同時期に保守系識者の間では日米同盟の強化のために日本が憲法での防衛面での自縛を解くことが米国をも利するという意見が広がってきた。92年にはヘリテージ財団が「米国は非公式に日本に改憲を促すべきだ」とする政策提言を発表した。「マッカーサー憲法は現実の世界で欠かせない力の行使や戦争を全て否定することで日本に例外意識を与え、国際社会の正常な一員となることや日米同盟に十分な寄与をすることを妨げてきた」と説いたのだ。当時の先代ブッシュ大統領も公式会見でこの提言を認め、日本が改憲を求めるならば問題はないと言明した。
一方、21世紀にもニューヨーク・タイムズ紙社説のように「日本の憲法改正は危険な軍国主義志向」とする日本不信の改憲反対論は一部に存在した。だが国政レベルでは日本が日米同盟を堅持し、民主主義国として米国との共通の価値観を保つという前提での改憲の容認あるいは奨励の見解がここ数年、大多数となった。
そうした見解の識者でも日本の改憲への賛否を正面から問われると、当面は日本が憲法解釈を変え、集団的自衛権を行使できるようにするだけでも日米同盟強化への効果は十分に大きいと答える向きが少なくない。
だが民主党クリントン政権で国防総省日本部長を務めたポール・ジアラ氏は「日本の現行憲法は日本の政府や国民に防衛力は保持しても実際の戦闘に使うことは決してないのだという政治心理の枠をはめている点で明白に日米同盟への障壁であり、改憲が好ましい」と述べた。このへんが米側対日安保政策関係者の本音だといえそうである。
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