大阪地検特捜部の不祥事を受けて組織改革を検討してきた最高検は8日、東京、大阪、名古屋各地検の特捜部について、政界汚職などを手がける独自捜査部門を縮小する方針を発表した。国税局や証券取引等監視委員会からの告発や、警察が手がける汚職事件などの送致を受ける財政経済部門を強化する形で、特捜部は存続させることにした。
法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」の提言を受けて、検討を進めていた。8日に記者会見した笠間治雄検事総長は、大阪地検特捜部が独自に捜査した郵便不正事件について、「何としても厚生労働省の局長を立件したいという意識があった」などと総括。「今後は(国税や警察など)関係機関との連携を深め、特捜部は独自捜査をやらないといけないという考えを緩和する」と組織再編の狙いを説明した。
特捜部を「財政経済部」や「特別刑事部」に改称する意見もあったが、捜査現場の抵抗が強く、今後も独自捜査は必要との考えから、当面は変えない。
3班態勢の東京地検特捜部については、10月から独自捜査をする「特殊・直告班」を2班から1班に縮小。国税局や監視委から告発を受ける「財政経済班」は、脱税事件専門の「財政班」と、監視委の告発を受ける「経済班」に分けて拡充する。経済班は、知能犯罪を担当する警視庁捜査2課の送致も受け、起訴するかどうかを判断する。
大阪地検特捜部は9月に、脱税事件や大阪府警捜査2課の事件を扱う「財政経済」の班を新設。独自捜査の担当班と2班態勢にするが、独自捜査に関わる検事は減らすとみられる。名古屋地検特捜部も10月に「財政経済」の担当検事を増やす。
このほか最高検は同日、外部の有識者が加わる「金融証券」などの専門委員会や、捜査・公判の不適正な行為を調べる監察指導部を新設。知的障害者が容疑者の事件について、取り調べの全過程を含めた録音・録画(可視化)を試行するよう全国の地検に通知した。