貢がせること6億円−。破格の大金をせしめたキャバクラ嬢が注目を集めている。会社のカネを横領してつぎ込んだ男は警視庁に逮捕されたが、女は“無傷”のまま。そればかりかあの手この手でかすめ取った手腕を見込み、夜の街から「ぜひうちに来てほしい」と妙なラブコールが相次いでいるのだ。
警視庁に、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕、起訴されたのは工業用ゴム製造大手「シバタ」(東京都)の元社員、栗田守紀被告(33)。経理係長として勤務していた2003年ごろから7年間にわたって計約6億4000万円を横領。そのほとんどをなじみのキャバ嬢につぎ込んでいた。
「2人が知り合ったのはJR亀有駅北口にあったキャバクラで、栗田被告は、01年ごろに店を訪れて通い詰めるようになった。キャバ嬢は『胃がんになった』などと偽ってカネの無心を続けてました」(捜査関係者)
捜査関係者などによると、キャバ嬢は現在、30代前半。栗田被告からだまし取ったカネは、当時住んでいた東京・西新宿の高級マンションの家賃や旅行代、入れあげていたホストとの交際費にあてていた。栗田被告からカネの返還を求める民事訴訟を起こされたが、資金回収の見込みが立たず、訴訟は取り下げられたという。
ほれた弱みにつけこんで大金をせしめたこの女。夜の世界では貢がせ続けたその接客術が話題の的だ。
「見返りを求めてこない客をちゃっかり選別している。トラブルになりにくい相手を選んで、カネを引き出すのはホステスとしても、かなりの上級テクニック」と感嘆するのは、銀座で指名ナンバーワンになった経験を持つ元ホステス(32)。銀座では、長引く不景気で業務縮小や廃業を余儀なくされる店が相次いでいるだけに、このキャバ嬢の手腕に注目する声は絶えない。
「あれほどおカネを落としてくれる太客を連れてくるホステスはそういない。今は、大口の援助をしてくれるパトロンも結構離れていってますから。あんなコが店に来てくれたら大助かりですね」(銀座の元ママ)
行方を探すのは水商売にかかわる人間だけではない。闇社会もねらっている。
「ケタ違いのカネをだまし取った女だからね。詐欺師の才能があるのは間違いない。美人局の片棒を担がせるのもいいし、店を任せてもいい。手元に置いておけば、絶好の金づるになるはずだよ」(暴力団関係者)
事件発覚以降、忽然と姿を消した謎多き女。余波は当分、収まりそうにない。