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■ 数学で用いられる「必要条件」「十分条件」という用語は,日常生活で用いられる”必要","十分"とは異なるものです. 数学上の必要条件,十分条件は,pならばq(記号では,p→q)という関係が成り立つかどうかで決まります. pならばq が成り立つとき, 「qはpであるための必要条件」 ■
十分必要条件とはいいません.
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p→q と p←q のどちらも成り立たないとき pはqであるための必要条件でも十分条件でもありません. |
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2つの命題(1つの判断を述べた文章や式で,正しいか正しくないかが定まるものを命題といいます.)があるときに,一方が他方の必要条件あるいは十分条件といういい方をし,ある命題1つについてそれ自体で必要条件とか十分条件とかということはいえません. [例1] |
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2つの命題が与えられたとき,一方が他方の何条件であるかを判断するには,矢印を2つ作ってみて,どちら向きの矢印が成立するかで考えます.正しい推論で一方から他方が選られるとき,その矢印は「成立」すると考えます. 図示できるときは,中に入っている方が十分条件です. |
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[例3]
「ma=mb は a=b であるための何条件ですか」という問題があるとき, ○ ma=mb → m(a−b)=0 → m=0またはa−b=0 [a=bに行くとは限らず,m=0に行くこともある] ○ a=b → ma=mb (両辺に同じ数を掛けても等しい), だから, ※ 上の説明において,「ma=mb → a−b=0」が成り立たないことは,1つの例 m=0,a=1,b=2 を示すだけで証明できます.このように,ある命題(主張)p→qが成り立たないことを示す例は「反例」と呼ばれます. ○ p→q の反例としては,「pが成り立ち」かつ「qが成り立たない」ものでなければなりません. ○ p→q は (すべての)「pについてqが成り立つ」の省略なので,「1つでもpであってかつqでないもの」があれば,p→qが間違っていることになります.しかし,「あるpについてqが成り立つ」ことを示しても他のpについてqが成り立つことは示せていないから,p→qが成立することの証明にはなりません. このように 例を幾つ示しても成り立つことの証明にはなりません. |
1
x=1 は x2+3x−4=0 であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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2
a=1かつb=1 は ab=1 であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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3
a+b=2 は a=b=1 であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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4
a=b=0 は a+b=0かつab=0 であるための ( )条件 |
ヒント↓ |
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5
a=b=0 は a2+b2=0 であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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6
a=b は a+c=b+c であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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7
x2=9 は x=3 であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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8
(x−y)(y−z)=0 は x=y=z であるための( )条件 |
ヒント↓ |
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9 整数nについて
nが3の倍数であることは,nが6の倍数であるための ( )条件 |
ヒント↓ |
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10 整数nについて
nが3の倍数であることは,nが2の倍数であるための ( )条件 |
ヒント↓ |
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11
整数nについて n2が奇数であることは,nが奇数であるための( )条件 |
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12 整数nについて
n2が3の倍数であることは,nが3の倍数であるための ( )条件 |
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