在日韓国民団主催の新年会が11日、東京港区のホテルニューオータニで開かれた。各地から参集した団員のほか韓日両国国会議員や各界の来賓合わせて500人が参加。民団は、東日本大震災とその復旧・復興に地域住民団体として全力で取り組んだ経験から、日本の安全と発展なくして在日同胞の安全と繁栄もありえないとし、共生理念を掲げる地域住民団体として復興に協力し、自治体を担う若者の隊列を強固にし、地域社会の発展に尽くすと表明した。新年会は各地で開かれている。
地域社会の発展に全力尽くす
あいさつで鄭進団長(写真中央)は、初の韓国国政選挙への参加を活かすと述べるとともに、在日同胞は地域社会の一員であるとの立場から永住外国人への地方参政権付与を必ず実現したいと考えていると表明した。
日本側からはまず鳩山由起夫元首相が朝鮮王朝儀軌の返還に触れて「両国の距離感が近くなっていることに双方の尽力に感謝する」とあいさつ。永住外国人の地方参政権付与には超党派で臨みたいと述べた。
韓国側からは申珏秀駐日大使が李明博大統領の新年辞を紹介。韓日議員連盟の李相得会長が「韓日関係は懸案があるが過去に戻るようなことはあってはならず、未来志向で進むことを祈る」とあいさつした。韓日親善協会の金守漢会長、在外同胞財団の金慶根理事長も祝辞を述べた。
江田五月・民主党最高顧問は「昨年の支援では本当にお世話になった。地域社会を一緒に作り上げて仲間としてがんばってほしい」と述べた。
日本側国会議員は与野党あわせて33人が出席。自民党からも5人の議員が参加した。
自民党を代表して河村建夫選挙対策局長が「日韓議員連盟の形で友好を長い間続けてきた。未来志向の関係を築いていきたい」と述べ、民団に向けて「日本におけるさまざまな問題に正面から取り組んでいただき共存共栄の関係を祈念する」と祝辞を贈った。
公明党の大田明宏氏は「平和・経済・地方参政権付与は人権日本をつくるために必要」、日本共産党の志位和夫委員長と社民党の福島瑞穂代表も「地方参政権付与の超党派での推進、従軍慰安婦問題の政府間協議による解決に努力」と述べた。
各地の本部や支部でも新年会
◆京都本部
民団京都本部は12日、京都市内のホテルで新春年賀交歓会を開いた。200人が新年の門出を祝った。昨年度大統領表彰を受けた韓国・中央大学校国楽大学舞踊グループが豊作を願う伝統舞踊を披露、民団京都の活動DVDなども紹介。
王清一団長は「人類の歴史は教育によってつくられてきた。100年の節目を終えた私たちは、民族教育によって生まれ変わる時期を迎えた。李明博大統領は大阪生まれ、一方、金正恩は在日・高英子の子と、南北の指導者が在日をルーツにしている。在日と韓半島は常に深い絆で結ばれており、未来は同じ同胞として一つになるべき定めだ」と語り、韓国の国会議員と大統領選挙に必ず有権者登録するよう呼びかけた。
一方、京都本部主催の成人式は8日、京都市内のホテルで行われ、新成人15人が祝福された。色あざやかなチマ・チョゴリに身を包んだ新成人代表の金高子さん(京都国際学園卒業生)がウリマルで、父母への感謝と成人の決意を述べた。
◆新潟本部
民団新潟本部は15日、新潟市内のホテルで新年会を開催。雪の中、県下から60人が参加。今年の新年会は韓国の国旗と日本の国旗を掲げた。
金慶昭団長は「東日本大震災による大きな災難はこれで終わってほしい」と述べた後、バブル崩壊と圧倒的な情報共有化をもたらしたグローバル社会化によって創団65年の民団を取り巻く環境は変わり、在日同胞も変わらなければならないと問題提起。「在日同胞は多文化共生と日本国憲法の遵守をうたい、日本の安定・安全に寄与することを明示したい」とあいさつした。民団組織への功労者に対して民団表彰と韓国政府褒章の授与も行われた。
◆東京荒川支部
民団東京荒川支部(金昌世支団長)は14日、東京・荒川区で新年会と成人式を開いた。来賓を含め270人が出席。
金龍濤・民団東京本部団長や西川太一郎・荒川区長らも参席した。
金支団長は「今年は民団にとっても皆様にとっても安寧の年であってほしい」とあいさつ。また在外選挙への積極的参加も呼びかけた。西川区長は「双方で努力して、教育、福祉、防災などでこれからもやっていけると思います」と述べた。
民団表彰の授与式や100歳長寿者へのお祝いも行われた。またこの日は成人式も開催され、金美奈さん(獨協大学2年)と呉浩実さん(学習院大学2年)の二人の成人の門出を祝った。
◆東京台東支部
民団東京・台東支部(夫奉秋団長)の新年会が13日、上野のパークサイドホテルで開かれた。80人が新年を祝った。夫団長のあいさつのあと、祝辞が披露され、李鍾燮常任顧問の音頭で乾杯。公館からは金辰植総領事、鄭載男公使参事が出席。東京日韓親善協会の保坂三蔵会長と台東区日韓協の安藤敬一会長に民団東京本部から功労賞が贈呈された。 |