［事件］高村光雲の木彫を勝手に転売　横領容疑で美術商の男逮捕　警視庁（2012.5.15 17:49）

　彫刻家、高村光雲の木彫を美術館に販売するよう委託を受けながら、別の美術商に勝手に売却して着服したとして、警視庁捜査２課は１５日、業務上横領の疑いで、鳥取市桂見、元美術商、山本麿（まろ）容疑者（４７）を逮捕した。同課によると、山本容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているという。

　同課によると、山本容疑者はほかにも、東山魁夷や横山大観、平山郁夫ら国内の有名画家の絵画１１点の販売委託を受けながら、作品を質入れすることを繰り返して借金返済などに充てていたという。

　逮捕容疑は昨年６～９月、東京都練馬区の美術商から高村光雲の木彫１点を静岡県内の美術館に販売するよう委託されながら、東京都中央区の別の美術商に２５００万円で転売し、着服したとしている。

　山本容疑者は知人を介して美術館側とも接触していたが購入を断られていたという。

　同課によると、山本容疑者は平成１４年に美術関係会社の社員から美術商として独立したが資金繰りに困り、１８年ごろから販売委託された作品を質入れして借金返済にあてる自転車操業を行っていたという。昨年１０月ごろ、山本容疑者が販売委託を受けていた美術商ら複数の関係者宛に「作品を販売せず質入れしていた」とする趣旨の謝罪の手紙を送付、発覚した。