「現職議員の受け入れもある」--橋下徹の妙手に浮き足立つ民主党「離党予備軍」

2012年05月14日(月) 田崎 史郎
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「民主党という“破れ傘”で選挙を戦うよりも、新党で戦った方がはるかに戦いやすい。別に、民主党への愛着はありませんから」

 こう割り切る民主党議員は少なくない。

 民主、自民両党の体質の違いは、自民党が地域に根を生やした保守勢力に下支えされているのに対して、民主党には組合ぐらいしかないことだ。かつ、議員同士が助け合う、先輩議員が後輩の面倒を見るという政党内の人間関係が、民主党は自民党より希薄だ。だから、逆風にさらされると、脱出して新天地を探そうという動きが起きやすい。

 もちろん、自民党でも従来に比べ地域、議員同士の結びつきは弱まり、特に関西の候補者には維新が巻き起こした風に動かされる人もいる。しかし、維新の影響を受けやすいという点では、民主党の方が切実だ。

期待感は坂道を転がる雪だるまのように膨らむ

関西ブロックの小選挙区選出で、選挙運動もまじめに行っている民主党若手はこう言う。

「今年初め、自分で世論調査を実施した。維新の候補者が決まっていないのに、維新の候補者が出馬したら、という条件で調査したら圧倒的に負けていた。私の選挙対策は維新の候補者が出ないようにする、その一点だ」

 また、ベテラン議員でも「もし、維新が出馬したら吹き飛ばされてしまう」と嘆く。維新候補出馬による落選への恐怖心が衆院選を先送りしたいという心理となっている。だが、先送りしたら、状況が改善するのだろうか?ある選対関係者はこう言う。

「維新への期待感は坂道を転げ落ちる雪だるまのように膨れあがっていくのではないか。橋下はいろいろ問題があっても、実に良いタイミング、たとえば原発の再稼働、消費増税などで強いメッセージを発信して耳目を集めている。これが続いて、来年になったらどうなるのか。今なら50議席でも、100議席を超えるかもしれない」

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