記者の目:「ウソ」で原発交付金=古関俊樹

毎日新聞 2012年02月23日 00時22分

 問題点は二つある。まず、当然ながら町の対応だ。一連の経緯は07年、町議会の全員協議会に報告され、町幹部が「国にウソをつきました」と告白した。だが問題にならず、2日後の本会議で事業は承認された。当時の町議らは「事業が進展しており、今さら反対できなかった」と弁明するが、それで約7億円もの町税が浪費された。議会のチェック機能が全く働かなかった背景には、交付金に長年依存し、公金感覚がマヒした町の体質があるのは間違いない。

 次に国の対応だ。「行政(町)が行政(国)を欺く」という構図の中、国は一義的には被害者だが、改善の余地はあると思う。例えば、透明性を高めるため、交付金の給付を審査する経済産業省資源エネルギー庁の外部審査委員会を公開してはどうか。同庁は「委員が自由に意見を言えるためにも、公開にはなじまない」と話すが、今回、公開されていれば、町の虚偽申請を見抜く可能性は十分あった。

 交付金支給後の検証体制にも触れたい。同庁は「検証は会計検査院の役目」と話すが、それでは遅きに失する可能性がある。やはり外部審査委員会の審査体制を見直すべきだ。今回、町議会や業者にあたれば簡単に虚偽申請はわかったはずだ。審査体制が強固になれば、虚偽申請の防止にも役立つ。建物の工事終了後に不正が見つかった場合、失われた交付金を回収するのは非常に困難になる。

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