記者の目:「ウソ」で原発交付金=古関俊樹

毎日新聞 2012年02月23日 00時22分

 ここで町は、交付金の支給をあてこみ、国への申請で最初の「ウソ」をつく。

 業者は年間来場者を約6万人と予測し事業計画(総額約59億円)=仮にA計画=を立てた。一方、町が事前に作った計画(同約60億円)=仮にB計画=では、年間来場者を10万5000人と予測した。町は実際はA計画を正式採用し準備を進めたが、交付金申請の際は、利用者予測が多かったB計画を国に提出した。当時、交付金で建てた各地の施設の運営が低迷、批判されており、「採算性を低く見積もると交付金が出にくい」との判断が、この虚偽申請の背景にあったと見られる。

 さらに町は2度目の「ウソ」をつく。B計画、すなわち虚偽の計画を基に交付金給付の可否を審査してきた国は、事業費のうち約10億円の削減が可能だと判断。町にこれを求めた。だが、すでにA計画で事業を進めてきた業者が「我々の計画(A計画)では削減は無理だ」と反発。結局、町は国が求めた削減分のうち約7億円をひそかに自ら負担することにし、つじつまを合わせた。無論、国には当時この「秘密工作」を知らせていない。

 これで国の審査は通り、国は交付金25億円を支給。ホテルは09年完成したが、昨年度の稼働率は3割にすぎない。

 ◇透明性を高める外部審査委公開

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